国民そっちのけで党内抗争のあげく、小沢系議員16人の会派離脱届など「管退陣必至」の声が飛び交った先週末、ある民主党中堅議員は「こんなレベルの低い政党だったのか。16人にも執行部にもがっかりだ」と語ったといいます。「がっかり」どころか国民は怒り心頭です。

 1カ月前、「TPP・消費税増税突破内閣」というべき菅第2次改造内閣を発足させ、「この議論に積極的に参加しないなら歴史への反逆者だ」とまで息巻いた菅首相。その姿に、「いったい何様のつもりか」と強い憤りを覚えたのは私だけではなかったと思います。

 「政治を変えたい」と、深刻なまでの思いで自民党政治を終わらせた国民。その意思も期待も裏切った「主権者への反逆者」こそ民主党政権ではありませんか。国民の審判に反省するどころか、「自民党返り」する民主党政治の中身が国民の要求との矛盾を激しくしているのです。

 それでもなぜ一自民党返り」か。その正体が財界の号令にあることが、はしなくも当事者の言葉で明らかになりました。

 先日、日本経団連の米倉会長は自民党の谷垣総裁と会談し、「TPPの早期締結など待ったなしの課題で超党派の取り組みを展開してほしい」などと来年度予算案、関連法実の早期成立に協力を求めたというのです。

 カネ余りの大企業に法人税減税、その穴埋めに消費税増税などをはかる「税と社会保障の一体改革」について谷垣総裁は、「自民党の考え方とそう変わらないものになる。衆院選を打つならその後の協力関係には道が開かれている」と述べています。

 結局、民主党も自民党も財界要求の同じ土俵の上にいるからこそ、政治の中身に何の垣根もなく、表向きはののしり合いながら、実は大連立のタイミングを計っているのです。

 こんな「二大政党による政権交代」の行き詰まりを乗り越えるのは主権者の力、市民・県民の力です。政治を前に進めるために、ご一緒に力を合わせましょう。(しんぶん赤旗 2011年2月23日)