盗聴法改悪や司法取引の導入を盛り込んだ刑事訴訟法等改定案が、8月21日の参院本会議で審議入りしました。法案は、刑事司法に問われてきた「冤罪(えんざい)根絶」を「世界一安全な日本」づくりにすりかえ、捜査権限の拡大を図るもの。衆院で自民、公明、民主、維新の4党で修正し、参院に送られました。日本共産党の仁比聡平議員は「憲法違反の治安立法であり、その本質をいささかも変えない修正によって成立を図ることは断じて許されない」と主張しました。
このなかで仁比氏は、盗聴は通信の秘密、プライバシー権、令状主義を侵害する明白な憲法違反だと指摘。法案は、盗聴対象を4種の組織犯罪に限定し、通信事業者の常時立ち会いを求めた現行法の制約すら取り払うもので、「人権侵害を広げる『盗聴の自由化』だ。盗聴の違憲性をさらに重大にする」と厳しく糾弾しました。
上川陽子法相は「(盗聴は)必要やむを得ない範囲に限定されている。通信の秘密の保障に反しない」などと強弁。しかし、法案の修正にかかわった政党からも「通信の秘密を侵害し、憲法に違反する」(民主・小川敏夫議員)との指摘がなされ、法案の危険性が改めて浮き彫りになりました。
仁比氏は繰り返される冤罪の根底に、捜査機関の筋書きに沿う自白を強要する「自白偏重主義」があると指摘。冤罪被害者が強く求めてきた取り調べの録音・録画について「全事件・全過程の録音・録画を義務付け、冤罪被害者の声に応えるべきだ」と迫りました。(しんぶん赤旗 2015年8月22日)