○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、盗聴法の大改悪など刑事訴訟法等改定案について、関係大臣に質問いたします。

本法案は、我が国の刑事司法に問われてきた根本問題である冤罪の根絶を、取調べ及び供述調書への過度の依存からの脱却とか世界一安全な日本創造などとすり替えて、盗聴法の大改悪と司法取引導入を柱にした憲法違反の治安立法というべきであり、その本質をいささかも変えるものではない修正によって成立を図ることは断じて許されません。

今回の刑事司法改革の直接の契機となった厚生労働省村木厚子さんの事件では、特捜部主任検事自ら、関係者に虚偽の自白を強要し、証拠を改ざんした重大な違法捜査が明らかとなりました。静岡県警の自白強要と証拠捏造、検察による無罪証拠隠しによって死刑囚とされた袴田巌さんへの歴史的な再審開始決定は、国家機関が無実の個人を陥れ、四十五年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いことと言わなければならないと厳しく断罪をいたしました。

まず、法務大臣と国家公安委員長に伺いたい。冤罪は、偶然の不幸だとか刑事司法に内在的に付きまとう弊害などではありません。違法捜査によって、つまり、憲法と刑事訴訟法に反する警察と検察の違法捜査によって生み出されてきたという認識がありますか。

なぜ冤罪が後を絶たないのか。そこには、捜査機関に都合が悪ければ、客観的証拠を隠してでも、描いたストーリーに従ってまず被疑者に自白を強要する根深い自白偏重主義があります。その温床となってきたのが、長時間、密室の取調べと、長期の身柄拘束を可能とする人質司法、代用監獄制度、調書裁判など、我が国刑事司法の構造的問題です。

志布志事件で、鹿児島県警は、多数の被疑者に自白を強要し一致させていきました。無罪判決は、あるはずもない事実がさもあったかのように自白をさせたたたき割り、追及的、強圧的な取調べを厳しく指摘しています。

法務大臣、政治に迫られているのは、捜査機関から独立した第三者機関を設け、繰り返されてきた数々の冤罪事件とその原因を検証、究明し、刑事司法の構造的問題を抜本的に改革することではありませんか。

違法捜査を厳格に禁止し行えないようにする大きな一歩、喫緊の課題として、冤罪被害者と多くの国民が求めてきたのが、捜査全過程の録音、録画による可視化であり、捜査機関の手持ち証拠の全面開示の導入でした。

ところが、法案は、可視化の対象事件を全事件の僅か三%にとどめ、しかも取調べ官の裁量的判断による広範な例外を認めるものです。これはなぜですか。修正後の法案附則九条も、「取調べの録音・録画等に伴って捜査上の支障その他の弊害が生じる場合がある」としていますが、密室取調べへの反省はないのですか。

さらに、法案は、可視化を刑事裁判の証拠にできるかどうかの要件としていますが、証拠にしなければ違法な取調べがあってもいいのですか。専ら都合の良い調書だけを認めさせる手段として録音、録画を利用させることにもなりかねません。こうした濫用はどのように防止されるというのですか。二度と違法捜査を許さないという立場に立つなら、取調べの可視化は、憲法三十八条の黙秘権の実効性を保障するものとして、全事件、全過程の録音、録画を捜査機関に対して直接義務付けるものとするのが当然ではありませんか。

布川事件の元被告人桜井昌司さんは、警察も検察も何も反省しないのに、冤罪をつくらないなんてあり得ないではないかと述べています。法務大臣、国家公安委員長、こうした冤罪被害者の怒りの声にどうお応えになりますか。

次に、司法取引は、自らの罪を免れようと他人を罪に陥れ、引っ張り込む危険を本質的に持っています。衆議院における参考人質疑では、長く司法取引を行ってきた米国で、取引に応じた密告者の供述によって重罪とされながら、後にDNA鑑定によって無実が判明する事件が相次いでいるという深刻な実態が明らかになりました。

法務大臣、米国ではこうした害悪の実証的究明と見直しが進んでいます。これをどう捉えているのですか。にもかかわらず、我が国に導入しようとするのはなぜですか。そもそも、反省や悔悟もないのに刑事処分を減免する法理上の根拠は何ですか。結局、自らの罪を免れんための虚偽供述の危険を高めるだけではありませんか。

続いて、盗聴法の大改悪について聞きます。

盗聴の本質は、犯罪に無関係の通信をも根こそぎつかむ盗み聞きです。人々の電話やメールなどの通信、会話は、生のプライバシーを含む語り合いであり、その内容は縦横に発展していきます。その盗み聞きは当事者の内心を深く無限定に侵害するのです。

法務大臣、憲法二十一条二項が保障する通信の秘密、十三条が保障するプライバシーの権利は、盗聴によって一たび損なわれれば取り返しが付かないという重大性をどう認識しているのですか。

また、憲法三十五条は、強制捜査の対象を特定した司法審査、すなわち令状主義を求めています。ところが、盗聴は、その性質上、事前に特定の当事者間や特定の犯罪関連事項に対象を限定することは不可能です。これは、同条及び三十一条の適正手続の保障を侵害する明白な憲法違反ではありませんか。

通信の秘密を絶対的に保障する憲法二十一条二項は、戦前の治安維持法の下、特高警察を始めとした、国民の思想、良心、内心の自由の侵害と弾圧に対する深い反省に立つものです。

現行通信傍受法は、一九九九年、厳しい国民的批判に国会が包囲される中、対象を四種の組織犯罪に限定し、通信事業者の常時立会いを求めるという与党修正によって強行されました。それを、捜査機関にとって使い勝手が悪いからと取り払い、対象犯罪を一般的犯罪にまで拡大し、常時立会いをなくせば、重大な人権侵害を更に広げ、盗聴を日常的な捜査手段とする盗聴の自由化につながりかねません。

法務大臣、現行法のこうした限定をも取り払う大改悪は、盗聴の違憲性を更に重大にする憲法違反ではありませんか。また、修正により、通信事業者の常時立会いに代えて警察官の立会いを検討するといいますが、身内の立会いは何の歯止めにもなりません。明確な答弁を求めます。

盗聴が更に拡大されるなら、犯罪に無関係の一般市民生活の通信やプライバシーも、刑事裁判の証拠とされなければ、盗聴されたことの通知さえないまま丸裸にされます。

国家公安委員長に伺いたい。戦前の反省に立った憲法の下、政治警察は廃止され、発生した犯罪を捜査する司法警察活動と犯罪予防の行政警察活動は厳密に区別されることとなりました。ところが、未発生の犯罪の事前捜査という性格を持つ盗聴の日常化は、この区別を崩壊させ、両者を融合することになるのではありませんか。刑事事件の捜査のためとして盗聴で取得された情報が警備公安警察活動に利用されない法律上の保障がありますか。

日本共産党国際部長宅盗聴事件の被害者、緒方靖夫元参議院議員の衆議院における参考人陳述は、重大な権力犯罪をあえて行う警備公安警察の卑劣さを党派を超えて共有させるものとなりました。今もその事実を認めず謝罪もしない警察に盗聴の自由を認めるなど、断じて許すわけにはいきません。国家公安委員長の認識を改めて伺います。

最後に、七月末、ウィキリークスの公表で発覚した、米国家安全保障局、NSAによる経済産業大臣や官房長官秘書官、財務省など日本政府、日銀総裁、大手商社などを対象とした盗聴問題は、憲法二十一条二項に明白に反する非合法の盗聴を米国家機関が行ったのではないかという重大問題です。安倍政権にその認識はありますか。

総理は、八月五日、バイデン米副大統領との電話会談を行ったとのことですが、抗議したのですか。その際、米国に求めたという調査と説明はどうなっているのですか。官房長官の明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

○国務大臣(上川陽子君) 仁比聡平議員にお答え申し上げます。

まず、冤罪は、憲法と刑事訴訟法に反する警察と検察の違法捜査によって生み出されてきたという認識があるのかとのお尋ねがありました。

犯人でない人を処罰することはあってはならないことと認識しています。無罪判決が言い渡される理由は様々であり、その原因を一概に述べることは困難ですが、いずれにしましても、検察当局においては、今後とも、法と証拠に基づく基本に忠実な捜査、公判の適正な遂行に努めることが必要であると考えています。

次に、誤判の原因を検証、究明するための第三者機関を設置することについてお尋ねがありました。

個別の事件につき第三者機関が裁判所による誤判の原因究明等をする制度については、裁判官の職権行使の独立性の観点から問題が生じ得ますし、原因究明の過程で刑事事件の記録や証拠を第三者が使用することは、関係者の名誉、プライバシーの保護の観点から問題を生ずるおそれもあります。したがって、御指摘のような第三者機関の設置については慎重な考慮を要するものと考えています。

次に、取調べの録音・録画制度について、密室での取調べへの反省を踏まえると、捜査上の支障が生じるなどとして、対象事件を限定したり録音・録画義務の例外事由を設けるのは不当ではないかとのお尋ねがありました。

本制度は、裁判員制度対象事件及び検察官独自捜査事件を対象としています。これは、本制度が捜査機関にこれまでにない新たな義務を課すものであり、捜査への影響を懸念する意見もあることなどから、制度の対象とならない事件についても運用による取調べの録音、録画が行われることをも併せ考慮した上で、録音、録画の必要性が最も高いと考えられる類型の事件を対象としたものです。制度と運用とを併せて見ると、録音、録画の範囲は必ずしも狭いものではないと考えています。

また、本制度においては、原則として取調べの全過程の録音、録画を義務付けつつ、録音、録画の拒否等の言動により、録音、録画をすると被疑者が十分に供述できないと認められる場合などを例外事由としています。本制度については、録音、録画により、取調べで供述が得られず、真犯人の検挙、処罰ができなくなることがないようにするとの観点も重要であり、このような例外事由は不可欠であると考えています。

次に、冤罪を生み出す危険のある恣意的な録音、録画は防止されるのかとのお尋ねがありました。

本制度においては、対象事件について、原則として取調べの全過程の録音、録画を義務付けた上で、先ほどお答えした理由から一定の例外事由を設けることとしていますが、公判で例外事由の存否が問題となったときは、裁判所による審査の対象となり、捜査機関側の責任で例外事由を立証する必要があります。そのため、捜査機関としては、例外事由を十分に立証できる見込みがない限り、例外事由に当たると判断して録音、録画をしないことはできません。したがって、取調べの録音・録画制度が恣意的に運用される余地はなく、御指摘のような懸念はないものと考えています。

次に、黙秘権の実効性を保障するものとして、全事件、全過程の録音、録画を義務付けるべきではないかとのお尋ねがありました。

先ほどお答えした理由から、本法律案の取調べの録音・録画制度においては、対象事件を裁判員制度対象事件及び検察官独自捜査事件とし、原則として取調べの全過程の録音、録画を捜査機関に義務付けつつ、一定の例外事由を設けることとしているところであり、その内容は適切であると考えています。

次に、冤罪の防止には不十分であるとの声にどう応えるのかとのお尋ねがありました。

取調べの録音、録画には、被疑者の供述の任意性等についての的確な立証に資する、取調べの適正な実施に資するという有用性があります。本制度は、このような録音、録画の必要性が最も高い類型の事件を対象として、一定の例外事由を設けつつ、原則として取調べの全過程の録音、録画を捜査機関に義務付けるものであり、真犯人の適正、迅速な処罰とともに、誤判の防止に資するものと考えています。

次に、米国の司法取引の運用上の問題点をどのように捉えているかとのお尋ねがありました。

米国においては、誤判事例の中に、司法取引に基づき犯行告白を聞いた旨の供述を同房者から得た事例が存在することや、司法取引の事実が陪審に開示されていないという問題があることなどを指摘する民間団体の報告があるものと承知しています。

しかしながら、米国と我が国では刑事司法制度や事実認定の在り方などが異なる上、本法律案の合意制度の下では、一般に、被疑者、被告人の事件と他人の事件との間に何らの関係もない場合には、被疑者、被告人が当該他人の事件について信用性が認められるような具体的で詳細な供述をすることができるとは考えられないため、基本的に合意をすることは想定されないと考えています。また、合意に基づく供述が他人の公判で用いられるときは、合意内容が記載された書面が当該他人にも裁判所にもオープンにされ、供述の信用性が厳しく吟味される仕組みとしています。

これらのことなどから、米国の司法取引の実態と言われるものが我が国の合意制度にそのまま当てはまるものではないと考えています。

次に、合意制度を導入する趣旨についてお尋ねがありました。

合意制度は、組織的な犯罪等について、手続の適正を担保しつつ、首謀者の関与状況等を含めた事案の解明に資する供述等を得ることを可能にするものであり、証拠収集に占める取調べの比重を低下させ、取調べ及び供述調書に過度に依存した状況の解消に資すると考えています。

次に、合意制度の理論的な根拠についてお尋ねがありました。

合意制度は、現行法上、検察官に広範な訴追裁量権が認められており、被疑者、被告人が他人の刑事事件の捜査、公判に協力したことをも、刑事訴訟法第二百四十八条の犯罪後の情況として被疑者、被告人に有利に考慮し、これを訴追裁量権の行使に反映させることができることを根拠とするものです。

次に、合意制度の下での虚偽供述の危険についてお尋ねがありました。

合意制度については、いわゆる巻き込みの危険が生じないようにするため、協議、合意の過程に弁護人が常に関与する仕組みとすること、合意に基づく供述が他人の公判で用いられるときは、合意内容が記載された書面が当該他人にも裁判所にもオープンにされ、供述の信用性が厳しく吟味される仕組みとすること、合意をした者が捜査機関に対して虚偽の供述等をした場合について罰則を新設することといった制度的な手当てをしています。したがって、御懸念は当たらないものと考えています。

次に、通信傍受が通信の秘密等を制約するものであることに関する認識についてお尋ねがありました。

通信の秘密を侵されないことは、憲法で保障された重要な権利であると認識しています。通信傍受は通信の秘密等を制約するものでありますが、犯罪捜査という公共の福祉の要請に基づいて、必要最小限度の範囲でこれを制約することは許されると考えています。最高裁判所も、通信傍受法制定前に実施された検証許可状による電話傍受について、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許容されないものではないと解すべき旨判示しています。そして、通信傍受法による通信傍受については、厳格な要件の下で裁判官の発する傍受令状により行うことが許されるもので、通信の秘密の制約は必要やむを得ない範囲に限定されていることなどから、通信の秘密等の保障に反しないものであると考えています。

次に、通信傍受は、あらかじめ強制捜査の対象を特定し得ず、憲法第三十五条等に反するのではないかとのお尋ねがありました。

先ほどもお答えしたとおり、最高裁判所も、電話傍受が憲法上およそ許されない捜査手法であるとの考え方は取っていません。憲法第三十五条の特定性の要請の趣旨は、捜索する場所及び押収する物を令状に明示することにより、裁判官が捜索や押収によりプライバシー等の権利利益を制約する正当な理由があると認めた場所や物を明らかにし、それ以外の場所や物について捜索や押収の処分が行われないことを保障することにあります。通信傍受の場合には、令状に捜査機関がその内容を知ることにより通信の秘密を制約することが許される通信を明示することが要請されますが、この点は、傍受令状に傍受すべき通信が記載されることにより明らかにされます。したがって、通信傍受は憲法第三十五条等に反するものではありません。

最後に、通信傍受法改正案が対象犯罪を拡大し、立会人を要しない傍受の手続を導入することの合憲性等についてお尋ねがありました。

本法律案において通信傍受の対象犯罪に追加することとしている罪は、いずれも通信傍受に伴う通信の秘密への制約に見合う重大性を備えたものであると考えています。さらに、これらの罪については、傍受令状の発付要件として、現行通信傍受法の厳格な要件に加えて、一定の組織性の要件を満たすことを要することとしています。また、捜査機関の施設において立会人を置かずに通信傍受を行う場合でも、特定電子計算機の機能などにより、立会人がいる場合と同様に、傍受の手続の適正が保障されることとなります。

これらのことから、本法律案は、現行通信傍受法と同様に、通信の秘密等を保障する憲法の規定に反するものではないと考えています。

なお、警察において、通信傍受の実施に関し、当該事件の捜査に従事していない警察官等による必要な指導が行われることは、手続の適正について万全を期する上で望ましいものと考えています。(拍手)

〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕

○国務大臣(山谷えり子君) 仁比聡平議員にお答えいたします。

警察の捜査といわゆる冤罪との関係についてお尋ねがございました。

警察においては、当然のことながら、憲法や刑事訴訟法を始め、法と証拠に基づき、緻密かつ適正な捜査を遂行することとしていますが、裁判において捜査上の問題を指摘され、無罪判決を言い渡された事案があったことも事実であります。こうした事実を重く受け止め、この種事案の再発防止を図るため、引き続き、緻密かつ適正な捜査が推進されるよう警察を指導してまいります。

次に、いわゆる冤罪の被害者の方の声にどのように応えていくかとお尋ねがございました。

犯人ではない人を犯人と誤認して、その人が刑に服するようなことはあってはならないことは当然であります。捜査に重大な問題が認められた場合などには、その原因を明らかにし、これを教訓として全国警察に対して指導することにより、同種事案の再発防止を期することが肝要と認識をしております。

次に、通信傍受の刑事手続以外の目的での使用についてのお尋ねがございました。

通信傍受は、裁判官の発付する令状に基づき、具体的な犯罪の捜査として行うものであり、過去に具体的な犯罪が何ら発生していない場合に、情報収集等を目的として通信傍受を行うことはできません。また、捜査上の必要がないにもかかわらず、捜査のためであるとして通信傍受を行い、それを情報収集活動に使用することは通信傍受法上認められていないものと承知しておりまして、現にそのような運用は行っておりません。

最後に、いわゆる緒方宅事件と警察による通信傍受の是非についてお尋ねがございました。

お尋ねの事件については、国賠訴訟の控訴審判決では、警察官である個人三名がいずれも県の職務として行ったものと推認することができると判示されておりますが、組織的犯行と断定した判決ではなかったものと承知をしております。

また、通信傍受法には、極めて厳格な要件、手続が定められており、裁判官の発付する令状に基づかなければ傍受を実施することはできず、恣意的な運用が行われないよう制度上の手当てがなされております。警察としても、法の定める厳格な要件を満たすかどうか厳しく吟味した上で令状を請求しており、裁判で違法な傍受が行われたと判断された事例の報告もないと承知をしております。

新たな制度の下でも慎重かつ適正な運用がなされるよう、私としてもしっかりと警察を指導してまいりたいと考えております。(拍手)

〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕

○国務大臣(菅義偉君) 米国国家安全保障局による通信記録の収集問題についてお尋ねがありました。

この問題については、先般の安倍総理とバイデン副大統領との電話会談において、安倍総理からバイデン副大統領に対し、仮に日本の関係者が対象となっていたことが事実であれば、同盟関係の信頼関係を揺るがしかねないものであり、深刻な懸念を表明せざるを得ない旨を述べました。米国において調査の上、結果を日本側に説明するよう強く求めるところであります。

バイデン副大統領からは、オバマ大統領共々、日本政府に御迷惑をお掛けしていることを大変申し訳なく思う旨の発言があり、二〇一四年にオバマ大統領が発出した大統領令を踏まえ、現在、米国政府は日米同盟の信頼関係を損なう行動は行っていない旨の説明がありました。

政府としては、本件は日米同盟の信頼関係に関わる重要な問題であると認識しており、そのためにも適切な対応が必要であることから、米側と今後とも議論を継続していきたいと考えております。(拍手)