安倍晋三元首相の「国葬」をめぐる閉会中審査が9月8日、衆参両院の議院運営委員会で行われました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員と仁比聡平参院議員は、「国葬」は憲法14条の法の下の平等と19条の思想及び良心の自由を侵害すると指摘。岸田文雄首相が統一協会(世界平和統一家庭連合)との「関係を断つ」と言いながら、協会と深い関わりを持つ安倍元首相の「国葬」を実施する矛盾をただしました。

 

塩川氏は、「そもそも『国葬』は現行の憲法と相いれない。法の下の平等に反し、思想及び良心の自由を侵害し、弔意の強制につながる」と指摘。統一協会と深い関わりを持つ安倍氏に対し「敬意と弔意を国全体として表す儀式」である「国葬」を行うことは、岸田首相が関係を断ち切ると言う統一協会の活動を是認することになると批判しました。

ところが岸田首相は「本人が亡くなった今、協会との関係を十分把握するのは難しい」としてまともに答弁せず、調査すら拒否しました。

塩川氏は、安倍氏が反社会的団体の統一協会の広告塔で、選挙応援の司令塔だった疑惑を指摘し、協会と安倍氏の関係について調査もせず、あいまいにしたまま「国葬」を強行することには「国民の理解が得られない」と中止を求めました。

仁比氏は、山口県内での安倍家の葬儀の際、県当局から各教育委員会を通じて学校に半旗掲揚が要請され、周南市内を除く県内全ての学校で弔旗が掲揚されたと指摘。岸田首相が「国葬」は「故人に対する敬意と弔意を国全体として表す」と述べたことを挙げ、「この『国全体』に国民は入るのか。国民全体に事実上弔意を求め、内心の自由を侵す憲法19条違反だ」と迫りました。
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岸田首相は「国民とともに安倍元首相に弔意を示すことは重要だ」と述べつつ、「一人ひとりに弔意の表明を強制的に求めるものではない」と答弁。仁比氏は「国民が入らない『国全体』などあり得ない。民主主義の根幹に関わる『国葬』を閣議決定で強行することは許されない。中止を」と求めました。(しんぶん赤旗 2022年9月9日)