統一協会と国葬問題で、岸田総理は、「総裁として率直におわびする」「自ら国会で説明したい」(8月31日、記者会見)と大見えを切りました。本気でそう思うなら、なにより野党が憲法53条で求める臨時国会をただちに召集し、徹底審議に応ずるのが当然です。

ところが、あくまで衆参議院運営委員会での短時間の閉会中審査のみでお茶を濁し、幕引きを図ろうとする自公与党。統一協会関与の「点検」結果公表も先送りです。「関係を断つ」といいながら口先だけ。「被害者の救済」をいいながら底をついた反省がありません。

統一協会との癒着が明るみにでた多数の現職大臣、副大臣、政務官、自民党三役はむろん、統一協会票を差配までして頂点に立ってきた安倍元首相の癒着を証言した元参議院議長や議員も国会招致し、カルト集団と戦後自民党政治の深い闇を徹底して明らかにし、膿(うみ)を出し切ることなしに岸田総理のいう「政治への信頼回復」はないでしょう。

国民多数の反対を押し切って安倍元首相の「国葬」を強行するなどあり得ません。

「国葬令」は、戦前、日本が侵略と植民地支配の戦争に向かう時期に発せられた勅令です。絶対的な天皇から「たまわり」、国民の精神的総動員のテコとされたからこそ、日本国憲法のもと失効し、廃止されたのです。それを「閣議決定で『国の儀式』と決めればできる」などとうそぶいて復活させることはできません。主権在民を根底から傷つける憲法違反の暴挙です。

支持率急落。岸田政権を窮地に立たせているのは国民世論です。そこには深い民主主義の力があります。

猛烈な台風に伴う大雨で異常高温が少しだけ和らぎ、すだく虫の声に秋の気配も。迎えた9月、いよいよ終盤を迎えた沖縄県知事選・統一地方選でのオール沖縄完全勝利、6人全員当選した高知県香美市議選をはじめ、草の根からの一票一票と国会論戦を結んで、民主主義の回復を期します。(しんぶん赤旗 2022年9月7日)