○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
亡くなられた安倍元総理に御冥福を改めて心からお祈りを申し上げます。
岸田総理に伺います。
安倍元総理のみを特別扱いして国民多数の反対を押し切って国葬を強行することは、法の下の平等を求める憲法十四条に反することです。総理は、国葬の理由として安倍元総理の功績あるいは評価を挙げられています。その評価に大きく関わるのが、今大問題になっている統一協会の問題です。正体を隠して巧みに近づき、人々の資産を狙い、忌まわしい教義を強要して、霊感商法、そして高額献金で多くの人々の人生をめちゃくちゃにしてきたのが統一協会の卑劣な反社会的不法行為です。
大阪のある被害者家族の被害総額は十五年余りで二億円に上りますが、私もお話を伺いました。とりわけ、二〇一四年頃から協会で安倍さんが私たちを後援してくれているという言葉を何度も見聞きしてきたとおっしゃいます。特に、政府が家庭連合へと名称変更を認めた二〇一五年以降、協会は露骨な自民党、安倍応援団だったとおっしゃいます。被害者から見れば、統一協会と深く癒着し、言わばお墨付きを与え、後ろ盾になってきた責任、これ極めて重いんですね。
総理は八月三十一日の記者会見で、過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つと述べられました。
そこで伺いますが、これまでの関係のどこが問題で、なぜ関係を絶たなければならないと考えているんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今日は国葬儀の議論ですので、国葬儀については、先ほど来申し上げておりますように、この安倍元総理の在任期間、功績、国際的な評価、そして民主主義を守るという毅然とした態度、こうしたことを考えて判断をしたということであります。
そして、その委員の御質問については、私は今日は内閣総理大臣としてここの場に立っております。本来であれば、この自民党の総裁としての発言については控えなければならないのかもしれませんが、ただ、昨今の国民の皆さんの関心等を考えますときに、あえてこの御質問にも答えさせていただきたいと思いますが、このどこが問題なのかということにつきまして、社会的にこの旧統一教会をめぐる様々な問題、これは多く指摘をされています。これは御案内のとおりであります。かつ、広く社会全般で解決に向けた取組を望む声、これも大きくなっている、こうした認識をしております。
そういったことから、政治家は社会的に問題が指摘されている団体との関係には慎重であるべきであり、旧統一教会をめぐる現下の状況を踏まえ、自民党においては、政治に対する国民の皆様の信頼を回復するために旧統一教会との関係を絶つ必要がある、このように考え、そして今、各国会議員の点検の結果を取りまとめるべく努力をしている、作業を進めている、こうした状況にあります。
○仁比聡平君 指摘をされているとか解決を求める声があるというふうにおっしゃっているだけで、何を反省しているのか、どうもはっきりしないわけですね。統一協会と深い関わりを持ってきた安倍元首相を国葬にするということに、国民の皆さんの怒りが私、沸騰していると思うんですよ。
被害者の、協会で安倍さんが後援してくれていると何度も聞いたという声は、安倍元首相から統一協会票の差配を断られて七月の参議院選出馬を断念されたという自民党宮島喜文元参議院議員が朝日新聞に語っている実態ともつじつまが合っているんですね。統一協会の支援を受けて当選した二〇一六年の冬、宮島元議員は熱海で一泊二日の研修を求められたと、そこで、国際勝共連合の歴史や岸信介首相とのつながりも聞いた、安倍元首相が登場するビデオを見せられ、安倍さんは我々の目標とする反共を理解してくれているとの話もあったと記事に書かれています。
安倍元首相と統一協会のそうした関係について、先ほどの衆議院の審議の中で、その当時の御本人の判断だったと思うと総理は答弁をされました。しかし、安倍元首相のそうした時々の判断の結果、何が行われたのか、その事実関係はこれ当然調べれば分かることなんですね。
政府・自民党として責任を持って安倍元首相関係者への調査を行い、その結果を公表すべきではありませんか。そうしてこそ、関係絶つと言えるんではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、国葬儀の判断については、先ほど来再三申し上げている理由によって政府として判断をした、こうしたことであります。
そして、自民党総裁としてこの場でお答えするのが適切なのかは分かりませんが、あえて御質問にお答えするとしたならば、この問題について、やはりそれぞれのこの関係議員が、国会議員がそれぞれの過去を振り返り、点検をし、それを国民に向けてしっかり説明することが大事だと再三申し上げています。そして、その結果を是非、党として取りまとめを行い、そして国民の信頼につなげていきたいということで取組、手続を進めている、これが自民党のありようであります。
この安倍元総理についてどうかということでありますが、御指摘のように、こうしたその様々なかつての判断については、それぞれのこの判断があったと想像いたしますが、本人が亡くなられた今、それを十分に把握することは難しいと思います。
是非、今活動している国会議員がそれぞれの立場でこの過去についてしっかり説明を行い、党としてそれをしっかりと取りまとめて国民に説明をする、このことによって国民の信頼回復に努めていきたいと思っています。
○仁比聡平君 安倍元首相のこの統一協会との関与を不問に言わば付して、国民の信頼回復なんかあり得ないですよ。その下で国葬を強行するというのは到底国民の納得を得られるものではないと思います。やるべきは国葬ではなくて徹底した調査ですよね。
山口県では、七月の安倍家の葬儀の際、県当局から各教育委員会を通じて学校に半旗掲揚が要望されました。周南市内の小中学校を除く県内全ての学校で弔旗が掲揚されました。
総理は、故人に対する敬意と弔意を国全体として表す、これが国葬だとおっしゃったんですね。この国全体に国民は入るんですか。国民全体に事実上弔意を求めて内心の自由を侵す、これは憲法十九条に違反することですよ。そんな国葬は今からでも中止すべきだと思いますが、総理、いかがですか。国民は入るんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国民の皆さんとともに安倍元総理に対して弔意を示すこと、これは重要であると思います。ただ、国民一人一人に弔意の表明を強制する、強制的に求めるものではない、こうしたことは強調をさせていただいています。
今般の国葬儀、国民一人一人に喪に服することを求めるというものではない、こうした点について様々な形で説明をさせていただいております。よって、この今般の国葬儀の実施によって内心の自由が侵害される、こうしたことはないと考えております。
○仁比聡平君 国民主権の日本でですよ、国民が入らない国全体なんてあり得ないですよ。
事実上、あれこれの形で弔意を強要することになる、そうした民主主義の根幹に関わる国葬を一閣議決定で強行するなど断固あり得ないと中止を求めて、質問を終わります。