国のハンセン病隔離政策は患者の家族に対しても差別的被害をもたらしたとして561人が国に謝罪と損害賠償を求めた集団訴訟で、熊本地裁が6月28日、違法な人権侵害だったとして国の責任を認めた判決を出したことを受け、原告らの報告集会が7月2日、東京都内で開かれました。原告からは喜びとともに、「国は控訴断念を」との声が相次ぎました。
ハンセン病家族訴訟弁護団の小林洋二弁護士は「隔離政策が家族に対しても偏見を広げ、らい予防法廃止後も国が差別・偏見の除去を怠ったという原告の主張が全面的に認められた」と評価。一方、2002年以降の国の違法行為については認めず、一部の原告の請求を棄却したことは不当だと述べました。
両親を隔離された女性は「勝訴の日は、母の命日だった。4歳で私と暮らせなくなった親2人の思いが届いたと感じた」と目頭を押さえました。
福岡県の原告の女性は差別の体験について「取材で地元の地名を聞いてゾッとした。まだ自分の中にトラウマがある」と話し、「生まれ変われるなら、もう一度父のもとに生まれ、一緒にたたかいたい」と声を詰まらせました。
野党の国会議員があいさつ。日本共産党の仁比そうへい参院議員と畑野君枝衆院議員が参加し、仁比氏は「国は家族の人権を侵害し、人生を丸ごと奪った。国会は責任をもって、ハンセン病補償法などの抜本改正を含めて対応しなければならない」と話しました。
原告らは同日、東京都内で与野党の国会議員と面会し、国への控訴断念の働き掛けなどを求める要請書を手渡しました。(しんぶん赤旗 2019年7月4日)
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