○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私も、本震翌日の四月の十七日、また二十四日、二十九日、そして昨日五月一日と、延べ四日にわたって熊本市、益城町、西原村、南阿蘇村、阿蘇市、大津町、菊池市、また甲佐町などを訪ねまして、被災者の皆さんの声を伺い、また、各自治体の対策本部の皆さんや関係団体の皆さんの御要望を受け止めて、その実現のための活動を続けております。
そうした中で、大臣に、まず避難生活の改善は急務だという、この問題についてお尋ねをしたいと思うんです。
十万人を超えるという避難者の数が大きく減っているというような報道があり、先ほども二万七千人ほどという数字が示されたのですけれども、例えば、政府の災害報でも二十九日のお昼十三時三十分の時点で三万人を超えると。これは、夜避難所に宿泊をされるという方でいうと相当な数に膨れ上がるわけですよね。実際、避難所をお訪ねしますと、自宅が危険で帰れない、あるいは恐怖で帰れないという方々が大勢いらっしゃいます。
加えて、身寄りをたどって、例えば娘さん、息子さんのところに身を寄せているという被災者の方々がいらっしゃるんだけれども、そうした身寄りがない、あるいは民間の不動産屋さんで言わば転居先を探して何とか暮らしているという方々がいらっしゃるんだけれども、そうした経済的な資力がないといった、これからの避難生活が長期化するという特に災害弱者の方々が多くなっているように思うんですね。
そうした皆さんは、水道や電気、ガスといったインフラが通ったとしても、地震で壊れた調理器具などの買換えも困難で、実際、技術者も回ってこないという状況がありますから、自宅で温かいものを作って食べるということがそもそも到底不可能、外食やあるいはスーパー、コンビニで買って食べるということも経済的には余裕がないというそうした方々が私は本当に大変なんじゃないかと思うんですね。
大臣は、前回の御報告の中でも、被災者生活支援チームを設置され、その活動をリードしておられると思うんです。その避難生活の目標とする水準というのは何なのかと。
皆さんのお手元に四月十五日付けで発せられている内閣府の通知をお配りしていますけれども、良好な生活環境の確保が目標であって、プライバシーの確保、暑さ寒さ対策、入浴及び洗濯の機会の確保など生活環境の改善対策を講じるという目標を掲げて、具体的に、例えば簡易ベッドなど、あるいは炊き出しでいうとメニューの多様化、適温食の提供、高齢者や病弱者に対する配慮などがうたわれているわけですね。
ところが、大臣、私が訪ねた昨日の朝も夜も、おにぎり一個だけ、パンが届くだけと、そうした避難所が多くあるんですよ。この四月十五日付けの通知の考え方に基づいて、今改善のための課題は何なのか、どう打開をしていこうとされているのか、この点についてまず大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 発災直後は、なかなか自治体の機能の回復というわけにはいきませんから、国から物資あるいは水などをプッシュ型で送るというオペレーションを続けてまいりました。それと同時に、コンビニやスーパーが一般的な物流を回復できるよう、警察が車両を先導するなどということもやってまいりました。
ようやく一般経済、物流は回復の兆しが見えておりますし、それなりに物資、水が行き渡っているという報告を受けておりますので、先週から、避難所支援システムを搭載をしたタブレット型端末を各避難所にお配りをして、避難所ごとに細かいニーズを上げてもらう、そういうオペレーションに順次切り替えております。そこから上がってくる要望のある物資のほとんどは現地あるいは現地の近くで今調達ができるようになっているというふうに伺っておりますので、国といたしましては、災害救助法でしっかりと財政的なバックアップをしながら、避難所のニーズに基づいたきめ細かなプル型の支援ということをやってまいりたいというふうに思っております。
ただ、委員おっしゃるように、余震などがあるものですから、昼間と夜の避難所の数というのが、避難されている方の数というのがやはり大きく振れているのが現状でございます。政府といたしましては、高齢者ですとかあるいは障害を持っていらっしゃる方、妊産婦、そのほか支援が必要な方につきましてはなるべく早く二次避難をしていただきたいというふうに思っております。
熊本県、大分県だけでなく近隣の各県からホテル、旅館の提供のお申出をいただいております。佐賀県、長崎県などは、要支援者に限らず一般の方でも二次避難所としてホテル、旅館を提供するというお話をいただいております。今日現在、そうしたところに約千五百名の方が二次避難として受入れをお願いをするということになっておりますので、まず、支援が必要な方から早急に二次避難をしていただいて、避難所の中でしっかりとしたスペースをつくり、状況を改善をさせて、そして避難所ごとにしっかりと個別のニーズに合った対応ができる体制を取ってまいりたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 今お話のあったプル型の保護、支援、それから二次避難所の活用で避難所の状況を改善すると、極めて大事な方向性だと思うんです。
加えて、物資が届くだけじゃなくて、温かいものを提供するということになったときに、例えば共同自炊ができるように調理室や調理設備を確保を、これはしようと思えばできるはず。あるいは自衛隊の給食支援が行われていますけれども、私どもが現場で伺うと、おにぎりだけというふうにしておられて、だけれども、自衛隊は調理の施設は持っておられるんですね。これ使えないのかというふうに被災者が尋ねると、指示を受けていないというふうな返答があって、使わせてくれたらいいのに、あるいは温かいものを作ってくれたらいいのにと。これは調整をすれば、自治体も含めて、可能だと思うんですよね。
ですから、一つ一つの避難所ごとにニーズを把握しようとしておられるというそのお立場をもう一歩進めて、この通知の求める水準が現実にはできていないという上でのそれぞれの避難所ごとの課題、これを一つ一つ国が県と協力してつかんで解決していくという、そういう取組を是非お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) なかなか自治体だけでは避難所の運営が難しいというところは、積極的に専門的なNGOに入っていただいて避難所の管理運営をやっていただく、そんな試みもしておりますので、あらゆる使えるリソースはしっかりと使えるようにしてまいりたいと思っております。
今、JMATですとか看護師さんのチームですとか様々なチームが避難所を回っております。各県警からの支援をいただいて、女性警察官も避難所を回っております。そうしたチームが吸い上げてきた要望を現地の対策本部で的確につかんで、おっしゃるように、可能な支援はしっかりと今後やってまいりたいと思います。
○仁比聡平君 どうぞよろしくお願いいたします。
農業被害についての通告をしておりましたが、ちょっと残り時間との関係で次回に譲らせていただいて、先ほど大臣が触れられた二次避難所の提供に関して少し御提案があります。
せんだって、阿蘇の阿蘇温泉観光旅館協同組合の役員さんたちと懇談をさせていただく機会がございました。
御存じのとおり、阿蘇も大きな地割れが起こって泉源が壊れている、ですから一時的に温泉が出なくなっているというような深刻な状況があり、このゴールデンウイークだけで十万人を超えるキャンセルが生まれているということなんだけれども、実際に建物の安全性を確認をして、そして水、電気、ガス、このライフラインがちゃんと届くということが確認をされれば、被災をしておられる方々の二次避難所として、あるいはみなし仮設として、阿蘇だけで四千人のキャパシティーがあるんだそうです、これを是非実現をできるように調整を願いたいと。
ただ、そのためには、今、水道の技術者などが阿蘇ですごく不足をしていて、旅館のそれぞれのところの水漏れがないかなんというのをチェックができないという現状にあるんですね。ですから、せっかくの旅館なんですから、これからの復興の力にしていく上でも、この旅館の安全点検などを急いで二次避難所としての活用を進めてはどうかと。ここに保健師さんだとかあるいは介護士さんだとか、救助法の特別基準を適用したりしながら高齢者や障害者の見守りをすることができるという、そうした避難施設をつくればみんなが安心できるようになるのではないかと思うんですが、大臣、そうした方向はいかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 今、水道の復旧は厚労省関係団体で一生懸命やっていただいているところでございますが、益城あるいは南阿蘇といったところはまだまだ時間が掛かりそうでございます。
しかし、水に関して言えば、様々な給水車を利用すればいいわけでございますから、避難所の人数が多くてなかなかいい環境を保つことができないような場合は、御提案のように、空いている旅館、ホテルの施設に移っていただくということは非常に有効だと思っておりますので、そこはしっかり調整をして進めさせていただきたいと思います。
○仁比聡平君 農業施設についてちょっとだけ、一問だけ伺える時間がありそうです。
私、訪ねて、地割れあるいは深い亀裂がちょっと気の遠くなるような規模で起こっていると。少し山間地の田んぼを見せてもらいましたけれども、山から地すべりを起こさんとしているんだが、これがどういうふうになっているのか、まだ調査はこれからだと思うんですね。
水が来るか、水を張って漏れないか、実際に二次災害は起こらないかと、やっぱりここは国が本当に乗り出して調査をしないと、自治体ではつかみようがないというのが現状だと思うんですね。この全容把握を自治体任せにせずに国が乗り出してしっかりつかむ、作付け、田植の時期も迫っているわけですから、営農再開に向けたあらゆる支援を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(天羽隆君) お答え申し上げます。
ただいまお話ございましたとおり、熊本県阿蘇の地域ではこれから田植の時期を迎えるところでございます。本日も、森山大臣が現地を訪れて調査を行っているところでございます。これまでのところ、水路やパイプラインの損壊、水田の地割れやのり面の崩壊などなどの被害が確認されておるところでございます。
農林水産省といたしましては、これから本格化する田植に向けまして、査定前着工制度の活用により水路や農地等の早期復旧を支援してまいりたいと思っております。
また、地域によっては、今御指摘があったとおりでございますが、水の確保ができなかったり水田に水を張るということができず、水稲の作付けが困難となる地域が出てくる可能性がございます。そのような地域においては、大豆やソバといった他の品目への転換などにより営農ができますよう、熊本県と連携して最大限支援を行ってまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
被災者の住まいとなりわい、この復旧復興に向けていく生活の基盤を何としても取り戻すために、政府、皆さん、是非力を尽くしていただきたいと心からお願い申し上げまして、質問を終わります。