決算委員会 2019年4月4日

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

下関北九州道路構想をめぐる塚田国土交通副大臣発言について、西日本新聞の四月二日の夕刊をパネルにいたしました。(資料提示)御覧のとおり、「安倍・麻生氏の意向忖度 利益誘導認める」と。地の記事には、塚田さんが、私は物分かりがいい、すぐそんたくすると話した、さらに、私は筋金入りの麻生派だとも強調したと。次は昨日の朝刊ですけれども、福岡県知事選は自民党分裂の選挙です。塚田副大臣が麻生派候補の集会で必勝鉢巻きを締めて演説をしておられるという写真ですね。副大臣は昨日から、事実と異なる発言などと釈明をしますが、丸ごと否定するには、これ余りにもリアルな発言です。

主な発言内容をお手元にもお配りをしましたけれども、かわいい弟分の大家参議院議員の要請があり、おやじ、つまり麻生副総理の顔が浮かんで応援に来たと。大家さんが、私が逆らえない吉田自民党参議院幹事長と一緒に、地元の要望があると副大臣室に来たなど、参議院自民党の様子を少しばかり知る人なら、さもありなんというところだと思うんですね。

吉田幹事長が、塚田、分かっているなと言ったかどうかは、副大臣室にいた人間だけが知るところですけれども、今回の話の核心は、この事業を再スタートすると、そのために新年度で国直轄の調査計画に引き上げた、それは総理の地盤下関と麻生副総理の地元北九州の道路計画だからという部分なんですね。これ、塚田副大臣、そこは正直なお話なんじゃありませんか。

○副大臣(塚田一郎君) 四月一日、福岡県の会合におきまして、下関北九州道路にめぐる発言、私が事実と違う発言をしましたことによって大変な御迷惑をお掛けしました。改めて撤回をし、謝罪を申し上げたいと申します。本当に申し訳ございませんでした。

本件事業につきましては、関門トンネル、関門橋は慢性的な渋滞が発生しており、また、平成三十年七月豪雨では、関門橋から続く高速道路が四日間通行止めになるなどの状況がございました。こうした状況の中で、下関北九州道路は、道路ネットワーク上大変重要性の高い事業だということで今回の形になったというふうに理解をしております。

○仁比聡平君 何だか言い方を変えてこられたようですけれども、関門橋はこれ設計交通量の半分しか通行していないんですよ。なのに二千億円、あるいは二千七百億円とも言われる事業費を掛けてもう一本橋を架けるのかと。NEXCO西日本は、トンネルも橋も阪神・淡路大震災並みの地震に十分耐える、健全で安全に使える、関門橋はあと百年使用も夢ではないというふうに言っている。不要不急の上、採算が取れる見通しはない。結局、国民にその負担がツケ回されるということになるわけですね。

このパネルは二〇〇八年の時点で国土交通省が提出をしていた資料です。私が、十一年前、この委員会室でこうして質問をさせていただいたときのものなんですけれども、下関北九州道路、いわゆる第二関門橋計画というのは、政府がかつて進めた全国六つの長大架橋海峡横断プロジェクトの一つです。東京湾口、伊勢湾、紀淡海峡、豊予海峡、そして島原・天草・長島ですね。

道路特定財源を聖域化して採算を度外視したこの構想に猛反対が起こりまして、私も委員会で取り上げて、二〇〇八年三月に中止するということになりました。そのとき、当時の冬柴国土交通大臣は、今後調査は行わない、格上げするときは国会に諮ると力んで繰り返し答弁されました。私の質問に対しては、一本一本法案にして国会に諮るとまで言われたんですよ。ところが、それを復活させてきたのが第二次安倍政権です。

今日、午前中の小川議員の質問に、総理は、総理大臣でございますから、当然そういう要望をすることはないとおっしゃいましたけれども、それは本当でしょうか。

私の手元に、平成二十八年三月三十一日付けの石井国土交通大臣宛ての下関北九州道路の早期実現に向けての要望書というのがございます。これは関門会という名前で出されていますけれども、その筆頭に安倍総理のお名前があるんですよ。

これ、冒頭部分読みますが、関門会は、関門すなわち下関、北九州にゆかりのある自民党、公明党国会議員の有志によって結成された会である。去る二月二十四日、安倍総理を囲み懇談会を開催させていただいたところ、その際、第二関門橋の早期建設促進の件が話題となり、関門会の総意として要請活動を行うこととなった。下関北九州道路の早期実現を図ること、具体的な検討を進め、調査を実施するとともに、これらに必要な予算を確保することと。

安倍総理が総理大臣なのに国土交通大臣に要望するというのは、これは異様な話でしょう。こうやってそんたくさせてきたんじゃありませんか。

大体、総理がこんなところに名前を連ねていいんですか。総理自身が加わった、まさに安倍、麻生道路ではありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この関門会というのは、今趣旨を読んでいただいたように、親睦会でございます。私自身、そういう要望書が出されたということは、実は今拝見するまで知らなかったのでございますが、メンバーではございますが、いずれにいたしましても、例えば、私が総理大臣としてそこに名前を載せているのではなくて、関門会のメンバーの名前が載っているということだけなんだろうと、こう思うわけでございまして、そもそも、私は陳情する立場には、総理大臣として陳情する立場にはそもそもないわけでございまして。

○仁比聡平君 御存じなかったということで、びっくりしましたけれども。

次回のこの委員会までにお調べいただいて、確認をいただきたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

○委員長(石井みどり君) 後刻理事会において協議いたします。

○仁比聡平君 安倍総理が総理大臣だということを知らない人はいないわけですよ。実際、去年の十月二十五日に、総理、官邸で吉田幹事長と大家参議院議員と会談をしていらっしゃいます。そこで、早期建設に向けた活動にしっかり取り組むようにと整備に意欲を見せたというのが西日本新聞の十月二十六日付けの記事なんですね。これは、そんたくというより、あからさまな指示なんじゃないですか。

麻生大臣にお尋ねいたしますが、先ほど下北道路は余り詳しくない、今選挙区じゃないものですからとおっしゃいましたが、平成二十八年の十二月以来、六度にわたる、一番最新は先月のものですけれども、政府に対する早期実現の要望書に下関北九州道路整備促進期成同盟会の顧問として名前を連ねておられるんじゃありませんか。

○国務大臣(麻生太郎君) 正直、地元のそういったものには名前がよく載っかるというのは、その他の、ほかにも、これに限らずいろいろで、地元選出の国会議員としては出ているんだと思いますが。

○仁比聡平君 いや、自民党というのはそういうところなんだと、ここから声が上がっていますけれども。そういう中で、利益誘導そのものという自民党の選挙の実態というのが図らずもあからさまになっているわけですね。今回の副大臣の発言は、そうしたいきさつの中で飛び出したものです。

大体、夏、昨年八月の概算要求に今度の国直轄の調査というのはなかったんですよ。この件について、まだ予算が成立もする前の三月の十九日に、県知事選挙の告示前、二日前ですよ、この日に石井国土交通大臣が福岡、山口両県の知事に伝えたと。先ほどのといいますか、十一年前の冬柴大臣のことを思い起こしますと、いや、公明党も変わったものだと思いますね。まさに政治家へのそんたく、政治路線なんじゃありませんか。

私は、四千万円を費やす国直轄調査はやめて、第二関門橋構想、下北道路構想というのは直ちに断念すべきだと思います。副大臣を罷免することは当然だと思いますが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 発言の詳細は承知をしておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めておりまして、そうした発言をしたことは問題であります。

既に本人から撤回し、謝罪したところと承知をしておりますが、まずは本人からしっかりと説明をすべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております。

○仁比聡平君 復活の理由も、中止される前のときとまるで変わらないわけですよ。御自身の関与もそれからむき出しの今回の副大臣の利益誘導発言も容認をするというんだったら、もう安倍政権が予算を私物化していると言わざるを得ないではありませんか。

この計画は断固として断念をせよと強く求めて、質問を終わります。