下関北九州道路(山口県下関市―北九州市)整備計画の調査を今年度から国直轄事業に移行させた決定について、自民党の塚田一郎・国土交通副大臣が「総理とか副総理が言えないので私が忖度(そんたく)した」と発言した問題で、日本共産党の仁比聡平議員は4月4日の参院決算委員会で、背景に安倍晋三首相の“陳情”や指示があったのではないかと追及するとともに、塚田氏の罷免と計画の断念を求めました。(質問動画はコチラ)

計画断念・塚田副大臣罷免迫る

 仁比氏は塚田発言の核心を、「下関北九州道路を再スタートするために新年度予算で国直轄事業に引き上げたことであり、それは総理の地元の下関市と麻生副総理の地盤の北九州市の道路計画だからだ」という内容だと強調しました。

 塚田氏は発言の中身を「事実ではない」と否定しました。仁比氏は第2関門橋計画で2008年に冬柴鉄三国交相(当時)が「今後は調査を行わない」と答弁していたことを指摘。与党国会議員有志で結成された「関門会」が16年に石井啓一国交相あてに提出した要望書に安倍首相の名前があることを明らかにしました。

 仁比氏は「同会は『下関北九州道路の早期実現をはかること』や『具体的な検討を進め、調査を実施するとともに必要な予算を確保すること』を要求している。そうやって忖度させてきたのではないか」と迫りました。安倍首相は、自身が同会のメンバーであることを認めた上で「要望書が出されたことは初めて知った。私は陳情する立場にはない」などと言い逃れました。

 仁比氏は「実際に安倍首相は官邸で推進議員と会談し、『早期実現に向けた活動にしっかり取り組むように』(昨年10月25日)と整備に意欲を見せている。これは(塚田氏の)忖度と言うより、あからさまな指示ではないか」と指摘。「麻生副総理も下関北九州道路整備促進期成同盟会の顧問に名を連ねている」として、この計画が地元で「安倍・麻生道路」と呼ばれていることの実態を明らかにしました。

 仁比氏は2000億~2700億円かかるとされる同計画は「不要不急の上に採算がとれる見通しもない。約4000万円の国直轄調査はやめ、ただちに計画を断念すべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2019年4月5日)