○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
質問に先立ちまして、本日未明、島根県西部を中心に震度五強の地震が発生し、けがをされた方、住まいが壊れた方を始め、避難と緊急対応が行われております。心からお見舞いを申し上げますとともに、全閣僚おいでですけれども、政府に万全な対策と支援を求めるものでございます。
イラク日報について質問をいたします。
国会に対して防衛省がないとしていた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が実はあったということが先週二日の防衛大臣会見で明らかになり、さらに四日夜には、陸上自衛隊研究本部教訓センターで見付かっていたのは昨年三月二十七日だったという驚くべき会見が行われました。さらに、六日、航空自衛隊にも、ないとされてきた日報があったことが明らかとなって、さらに先ほどは、南スーダン日報まで膨大なものが見付かったと。実力組織である自衛隊が、一年以上にわたって、あるのにないと隠蔽を続け、国民と国会を欺いてきた重大な隠蔽事件であります。
まず確認をいたしますが、隠蔽されていたイラク日報の文書の体裁、作成、取得年度と保存期間はどうなっていますか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
今般、陸上幕僚監部衛生部及び研究本部で確認されたイラクの日報でございますけれども、いずれも保存期間満了前でございます。両者とも行政ファイルとして管理されておりまして、衛生部で見付かりました方につきましては、作成、取得年度は二〇一五年、保存期間は五年、それからもう一つの研究本部で見付かりました方につきましては、作成、取得年度は二〇一三年度、保存期間は特定日以後一年という形の保存になってございます。
また、もう一つ御指摘ございました航空自衛隊航空幕僚監部で確認されましたイラク日報におきましては、いずれも保存期間一年の行政文書の位置付けですが、いずれも行政文書として登録しておりませんでした。これは適切でなかったと考えております。
いずれにせよ、こうしたこれらの文書につきましては、統幕に一元化すべく検討をしているところでございます。
情報本部で先ほど言及がございました文書につきましては、今調査中ということでございます。
○仁比聡平君 つまり、いずれも保存期間中の公文書だということなわけです。(資料提示)
このイラク日報について、大臣は三月の二十七日に見付かったという趣旨の答えをされているわけですが、この間、私どもに四月の五日付けで防衛省統合幕僚監部が説明したところでは、防衛省への情報公開請求がこの同じ昨年三月二十七日受理でされております。その請求件名は、イラク復興支援活動で現地に派遣された部隊が作成した日報等の報告文書で陸上自衛隊で保管している文書全て、ただし教訓レポートは除くというものであって、つまり、イラク日報そのものを開示請求を求めるという国民の要求なわけです。これは事実ですね。
開示、不開示の決定は、これはどうなったんでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) まず、昨年の三月二十七日の件について私の方からお話をさせていただき、その後、事務方の方から今回の情報公開請求についてお話をさせていただきます。
私のところに今回イラクでの日報があったという報告が来たのは、三月三十一日土曜日の午前中だと思います。速やかに内容を精査して、月曜日、四月の二日でありますが、公表をさせていただき、おわびをさせていただきました。
その後、どうもほかにあるんじゃないか、どうして去年の二月から三月に分からなかったのかということを指示をして、もう一度調べさせましたら、実は昨年の三月二十七日に研究本部の方でありましたということで報告を聞きました。
全く、この件については、私どもとしては大変遺憾なことだと思っております。
今、情報公開請求がございました、その点については事務方から説明させます。
○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
昨年三月にございました情報公開請求につきましては、現在、その情報公開請求に対する回答日、これがまだ到来しておりません。それにつきまして、今、開示、不開示の作業をさせまして、開示させていただくという形になると思います。もちろん、その中には、今回見付かりました、確認されましたイラクの日報につきましても当然含まれることとなっております。
いずれにいたしましても、今回、先ほど申し上げました陸幕衛生部及び陸上自衛隊研究本部で確認されましたイラク日報につきましては、これは小野寺大臣の御指示により、四月の半ばに、先ほど申し上げました開示、不開示の作業をして公表させていただくということになってございます。
○仁比聡平君 いや、開示期限が到来していないって、これおかしな話じゃありませんか。今年の三月二十七日じゃないですよ。去年の、去年の三月二十七日なんですからね。
私、確認しますけれども、つまり、去年の三月二十七日に開示請求を受け付けて、去年の四月二十七日に開示期限の延長手続をやった。一回目の開示期限が五月二十七日に来たが、このときにはイラク日報は開示しない、ほかのもの、恐らく墨塗りで出したんでしょうけど。それで、更に開示期限を延長して、それが今年の六月二十九日に来る。ここに向けてイラク日報も含めて幅広に対応していると。これ、総括審議官、そういうことですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
開示決定、開示のその期間の延長につきましての経緯については、ただいま御指摘にありましたような形で延長をしておるというところでございますが、これにつきましては、そもそもの開示要求そのものがイラクに関する活動の文書全てというような非常に大量な文書を特定し、開示、不開示の作業をするということがございましたので、そうした形で今度の、今年の六月に開示延長をさせていただいているというのが元々ございました。その経過の中で今回の事案が起きたということでございます。
○仁比聡平君 いや、それはおかしな話でしょう。だって、一部墨塗りでも、あるものは出せばいいわけでしょう。三月二十七日に、去年の三月二十七日に研究本部で見付かったと言っているわけでしょう。それ以降、一年以上にわたって、この情報公開請求の手続の中で、このイラク日報を開示、不開示のこれ決定もしていない。これ一体何をやっているんですか。
これ国会で、いや、政府で問題となっているのは南スーダン日報だと思っていたというような言い訳がこの間、先週聞かれていましたけれども、これは通用しないんですね。イラク日報と特定して請求をしているわけですよ。それがあったというのだったら、これ出すのが当たり前じゃないですか。
これ、去年の南スーダン日報に関する特別防衛監察の報告書を拝見しますと、この情報開示請求に対しては内局と統幕、陸幕が関わった手続をすることになっています。これ、実際一年以上にわたって、イラク日報があるというのを分かっていて、この統幕、陸幕も一緒になってこれ隠そうとしていたんじゃないんですか。これ、統幕、陸幕が知ったのはいつなんですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
イラク日報につきまして、元々、衛生部と研究本部、こちらのものにつきましては、昨年夏からの統幕への日報の一元化、こういうプロセスの中で出てきたものでございます。そして、これは、繰り返しになりますが、小野寺大臣に三月三十一日に報告をし、直ちに大臣から公表し、そこで、こうしたものを、それらについて四月の半ばをめどに全て公表するようにという御指示を受けました。
他方、三月二十七日の研究本部にそのイラク日報があったということを確認されていたということは、研究本部の教訓課長以下数名だけがその確認、存在を承知していたということでございます。
そこで、ただこれは、元々大臣から、なぜそもそも研究本部にはなかったんだろうかというような御下問を受けまして、そうしたことから出てきた事実でございます。これにつきましては、現在、大野大臣政務官をヘッドといたしまして、省内において調査をしているという状況でございます。
○仁比聡平君 大臣、おかしな話だと思いませんか。今、もしかしたら初めてお聞きになっているのかもしれないけれども。
まず、この特別防衛監察の結果について、これを見れば、内局情報公開・個人情報保護室が陸幕、統幕、南スーダンの件については防衛政策局関係職員にこれ開示請求書を送付するというところからこの準備が始まって、そのプロセスの中でこの南スーダン日報を表に出さないという様々な隠蔽工作が行われたわけですね。ですから、情報公開手続というのは、そういうふうに陸幕や統幕が関わっているわけですから、現に南スーダン日報の問題で。
そのさなかに、三月二十七日に出てきたというわけでしょう、見付かったというわけでしょう。だったら、そのイラク日報を公開請求をされたら、そうしたら、このイラク日報がどこにあるのか、南スーダン日報の大騒ぎのさなかなんですから、これ見付けてちゃんと出す、もちろん、皆さん墨塗りにするかもしれないけれども、ちゃんと開示決定するというのがこれ当然であって、これ何で去年、一年前にやっていないんですか。それ、おかしな話だと思いませんか、大臣。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 申し上げますが、三月二十七日に研究本部の教訓課長以下数名がそのイラク日報の存在を確認していたという事実につきましては、四月、今年の四月になりまして改めて、改めてというか、初めて分かった事実でございます。その当時確認されておりますのは、その昨年の三月二十七日の時点では、その事実につきましては当時の稲田防衛大臣を始めとした政務三役、内部部局、統幕には少なくとも報告されていないと、こういう中での出来事でございました。
したがいまして、今、そこについて、なぜそれが上に上がってこなかったのかということについて調査をしているという次第でございます。
○仁比聡平君 いや、その説明そのものが本当ですかと私聞いているんですよ。
五日、陸幕長が記者会見をしました。そこで陸幕長が言っているのは、特別防衛監察の過程において、平成二十九年三月二十七日時点で当該日報の保管を研究本部が発見したものの、その事実を防衛大臣まで報告されていないという事実なんでしょう、判明したと。そもそも、この保管を発見したというのもよく分からない話ですけれども、大臣まで報告されていないという事実が判明したんであって、陸幕、統幕はどう関わっていたのか。これもう分かったんですか、大臣。
○国務大臣(小野寺五典君) まず、情報開示請求がまだ期限が来ていないということで、今までの一連の流れについては今事務方の方からの説明があったんだと思っております。
そして、いずれにしても、私どもとしては、私の方に説明があったというのが、三月二十七日時点で研究本部がこの文書を見付けたということ、それを私の方に報告があったのは四月の四日ということになります。
○仁比聡平君 いや、それが不自然じゃありませんかと言っているんですよ。
元イラク派遣航空部隊指揮官の織田邦男氏は、新聞のインタビューでこうおっしゃっています。日報は、軍事用語で言えば戦闘速報、速報がまとめられ戦闘詳報になり戦史につながる、歴史的な一次資料であり、研究本部など教訓をまとめる部署に保管されるべきだと。これはそのとおりなんだろうと思うんですよ、自衛隊の現場の感覚からしたら。
教訓をまとめる部署、それが陸自においては研究本部であり、次の派遣に備えて教訓要報などを作成していくわけでしょう。だったらば、イラクの日報がそこにあるのではないかと。南スーダン日報の問題であれだけ大問題になった、今度の公開請求についてはちゃんとここに聞いてみるというのは当たり前のことであって、それが一年以上にわたって、しかも開示期間の請求期限を延長するという手続は、これ統幕、陸幕関わらないとできないんじゃないですか。
○国務大臣(小野寺五典君) まず、三月二十七日にその研究本部の方で見付かったときの経緯その他、これは私ども今内部の調査をさせておりますが、全体、今一体どこまで関わって、そして、本当に知っていたのにもかかわらず、例えば稲田防衛大臣を始め上の方に連絡をしなかったというその経緯については、今、大野政務官が調べております。
今委員から御指摘がありました、情報公開請求が昨年の時点であったにもかかわらずの経緯についても、私ども、あわせて、どのような状況だったか、それは今回の調査チームの中で明らかになっていくものだと思っております。
○仁比聡平君 つまり、昨年の特別監察を経てもなお、今回の事態において今なお統幕、陸幕どう関わったのか分からないという状況なわけですよ。調べているんでしょう、調べているんだからまだ分かっていないんじゃないですか。
この図も見てもいただきたいと思いますが、総理、強大な実力組織が、国民の情報公開請求に対して廃棄したことにしようとまでして隠蔽した、国会の質問に政府は残っていないと確認したという明白な虚偽答弁を行った、これで国民と国会を欺いてきたわけです。その焦点は、非戦闘地域だと言って初めて戦地に派遣したイラク、安保法制が踏み出した、憲法違反の海外における武器使用の可否が焦点となった南スーダンPKOの部隊が置かれた言わば戦場の真実だと思います。
海外に派遣された部隊は恐らくありのままに報告しているんだろうと思いますが、ところが、国民と国会には何としても隠し通そうとする、南スーダン日報を隠し通せなくなってもイラク日報は隠蔽する、この軍事の闇、秘密主義、これは重大じゃありませんか。そうした認識ありますか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) イラクの日報に係る問題は、防衛省・自衛隊における情報公開、文書管理の問題のみならず、シビリアンコントロールにも関わりかねない重大な問題であり、極めて遺憾であります。また、防衛省・自衛隊にとどまらず、行政全体への信頼を損なうものであります。自衛隊の最高指揮官として、また行政府の長として国民の皆様に深くおわびを申し上げたいと思います。
本件について小野寺大臣から報告を受けた際、私からは、事実関係をしっかりと精査し、情報を公表するよう指示をしたところであります。どこにこの問題の根源があるのかを明らかにした上で厳正な対処を行い、情報公開、文書管理への取組の徹底を図るとともに、シビリアンコントロールに対する疑念や不信感にもしっかり応えられるよう、信頼の回復に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
○仁比聡平君 今日、そう繰り返しておられますけれども、シビリアンコントロールというのは、戦前、軍部が強大な権限を持って暴走し、国民の自由も生活も圧殺してあの戦争に突き進んだ痛恨の教訓から生まれました。
昨年、稲田大臣は、今おっしゃったように、私が指示したから探して出てきた、シビリアンコントロールが利いているかのように繰り返しましたけれども、それは全く間違っていたわけですよ。週末の世論調査では、文民統制はできていないという国民の皆さんが七八%に上っているわけです。特別監察の報告書でも、誰が、あるいはどの組織が、何のために、誰の指示で隠蔽したのか、その真相は明らかにされていません。
総理も防衛大臣もうみを出し切る必要があると言っているけれども、政務官のチームで調査するだけでしょう。そんな政府や防衛省任せにすることは、私は断じてできないと思います。当委員会を始めとして国権の最高機関である国会がその真相と責任を明らかにしなければなりません。一体何を隠そうとしているのか。
パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、イラク派兵はその報告書でも純然たる軍事作戦と言われました。イラク人道復興支援行動史は、これは当初真っ黒の墨塗りで、激しい国会論戦の上でこの赤枠のところが墨を外されたわけですけれども、例えばその二つを抜粋しました。
ルメイサのサドル派事務所付近において群衆による抗議行動、投石などを受け、車両のバックミラー等が破壊された、この際、小隊長以下警備小隊の隊員は、投石する群衆のほかに銃を所持している者を発見し、これに特に注意を払うなど云々と。そうした下で、派遣される部隊は至近距離射撃等を重視した訓練を行っていたということも墨塗りが剥げて明らかになったわけです。
さらに、報道では、サマワの宿営地に十三回、二十二発のロケット弾が発射されたのではないか、遠隔操作爆弾の攻撃を受けた部隊の隊員が機関銃に実弾を装填した、こうしたことが報道をされてきましたけれども、イラク日報にはその生々しい現地情勢の詳細な記述があるはずです。
総理、集団的自衛権容認の閣議決定や安保法制の審議においても、この無法なイラク戦争の検証が強く求められてきました。本来なら、その国会審議の中で自ら示すべきだったのではありませんか。私は、今日までこれを隠蔽してきた、まだ出さない、その政府の責任は極めて重いと思いますが、総理、いかがですか。総理。
○国務大臣(小野寺五典君) まず、今回のイラクの日報を含めて様々なことが省内にあったことが分かったというのは、実は、今、様々な日報文書を一元化する過程の中で見付けて、むしろ私どもの方からこういうものがありましたということで御提示をさせていただき、そして、三月二十七日、昨年でありますが、あったにもかかわらず報告してこなかったということも、私の方から指示をして実際の状況が分かったので報告をさせていただきました。これからも様々な状況については報告をさせていただきます。
そして、今御指摘のイラクの日報につきましては、これは今私どもが持っている日報、一万四千ページでありますが、これを今月のなるべく早いうちに、半ばあるいはできる限り早くの期間に開示、不開示のところをしっかり示させていただいて、そして御提示をさせていただきたい、そのように思っております。
いずれにしても、私どもとしては、このイラク派遣についても法令にのっとった形での対応をしているというふうに確信をしております。
○仁比聡平君 これまで隠してきておいて何の反省もないと言うべきだと思います。
空自のバグダッドへの米兵や装備の空輸は、名古屋高裁で憲法九条一項違反と判決をされ、確定をいたしました。この日報隠蔽問題の真相の究明、そしてイラク派兵の徹底検証が必要です。
この委員会に全面的に今の問題の資料を開示をするとともに、稲田前防衛大臣、そして当時の黒江哲郎防衛次官、岡部俊哉陸上幕僚長と現職の山崎幸二陸幕長ら関係者の招致を是非求めたいと思います。
委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
○委員長(二之湯智君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
○仁比聡平君 さらに、米軍岩国基地における空母着艦訓練についてお尋ねしたいと思います。
住民の反対を押し切って、この間、米空母艦載機部隊の移駐が前倒しで完了され、岩国基地は所属機数で極東最大級の航空基地とされました。その中で、この空母艦載機の着艦訓練が行われるのではないか、これは市民の不安と疑心暗鬼の焦点になってきた重大問題です。
これまで、政府は岩国基地で空母着艦訓練を行うことは考えていないという趣旨の説明をしてきたと思いますが、大臣、そうですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 空母着艦訓練、いわゆるFCLPということでありますが、これはどうしても空母に航空機が着艦するために必要な訓練ということになります。
今回、岩国への移駐ということでありますが、これは私ども、やはり周辺の自治体からの要請もあり、あるいは沖縄の負担軽減もあり、岩国基地にかなりの御負担をお掛けしていること、これは岩国市、周辺自治体、そしてまた山口県民の皆様に改めて感謝を申し上げたいと思っております。
このFCLPについては、私ども、基本的に硫黄島で行うということ、これを繰り返し米側にも要請しておりますし、これからも引き続き米側にこのFCLPについては硫黄島での運用を依頼していきたいと思っております。
○仁比聡平君 それに加えて、恒常的訓練を行う施設を岩国に整備する考えはないという立場も繰り返し政府は地元に説明をしてきたわけですね。
けれども、果たして本当にそうなのかと。ここに米軍が作成した岩国基地航空運用マニュアルというものがあります。これ、二月二十一日の中国新聞で米軍がホームページで公表しているということが報じられ、私、これ読んで驚きました。政府は岩国でやることは考えていないとずっと言うけれども、驚くべきことに、このマニュアルには全く正反対のことが書いてあるわけです。スペシャルオペレーションズと。
つまり、岩国でできるようになっている特別な訓練の一つとしてFCLP、空母離発着訓練のやり方が詳細に書き込まれています。同時に三機までとか、六百フィート、つまりおよそ地上百八十メートルという本当に僅かな低空を周回しながらタッチ・アンド・ゴーを行うとか、昼間も夜間もやるとか、詳しく書き込んだ上で、このパネルを御覧いただきたいと思いますが、滑走路の一部を空母に見立てた模擬甲板、シミュレーテッド・エアクラフト・キャリアデッキ、この赤枠で囲んだところですけれども、この図面まで添付をしているわけですね。
これ、私が一人で英語読んだんじゃなくて、防衛省や国交省航空局の関係職員とも何度もレクを重ねて確認をしてきました。つまり、在日米軍は岩国基地で昼夜関係なく着艦訓練を行う準備を既に整えているということです。こんなことは住民は全く知らなかったことなんですね。
総理、これ、政府は知っていたんですか。これ、政府が地元に説明してきたこととは全く違うことがここ書いてある。これ、政府は知っていたんですか。
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
委員御指摘のこのマニュアルでございますが、これは、御指摘のとおり、今は削除されていると承知しておりますけれども、かつてホームページに公開されていたものと了解しております。
その上で、岩国基地におきますFCLPにつきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、我々としましては硫黄島で実施するようにこれまでも、そしてこれからも米側に要請しているところでございます。
ただし、米側は硫黄島が天候不良等により使用できない場合に備えまして、三沢、横田、厚木、岩国各飛行場をFCLPの予備飛行場に指定しております。これはこれまでもそうでございました。この旨は、防衛省から岩国市を含め関係自治体に累次御説明してきているところでございます。
さはさりながら、防衛省としては、今申し上げましたとおり、米側に対して、できる限り多くの訓練を硫黄島において実施するように申し入れてきているところでございます。
また、岩国について申しますと、平成十二年を最後にFCLPは実施されておりません。さはさりながら、防衛省としては、引き続き、岩国飛行場周辺における騒音軽減は重大な課題と認識しておりますので、今後とも硫黄島で行われるように米側と協議してまいりたいと思いますし、岩国市を始めとする地元自治体、現地米軍と緊密連携して騒音の軽減に努めてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、予備指定なんかと言うけれども、このマニュアルの中にはそんな限定、どこにもないですよ。どこにもそんなこと書いていないですよ。実際、米軍にとってみれば、硫黄島でやるのも岩国でやるのも、あるいは厚木でやるのも同じなんでしょう。
そうした下で、先ほどお話があったように、岩国市議会でもこのマニュアルが大問題になって、私が何度も説明を求めていたさなかの三月上旬に、米軍はこのマニュアルをホームページから削除したわけです。隠して着々と進めると、そんなことは絶対に許されないのであって、ちょっと総理、改めてお尋ねしたいんですよ。
政府は、岩国で空母着艦訓練、これはやらないんだと説明してきたでしょう。それと違うことを米軍が基地運用のマニュアルに書いている。これ絶対にやらせないと。このマニュアルの記述そのものは、これはもう削除させる、撤回をさせる、こんな計画はやめさせるというのが当たり前じゃありませんか。
○国務大臣(小野寺五典君) 繰り返しになりますが、FCLP、空母の着艦、着陸訓練でありますが、これは、我が国が恒常的な訓練施設を提供するまでの間、米側は暫定的に可能な限り硫黄島を使用するということになっております。私どもとして、基本的に硫黄島を使う、岩国飛行場において実施することは基本的にないというのが今までの状況であります。
そして、今お話がありましたが、このホームページでしょうか、このマニュアルでありますが、これは米側に確認をしましたら、更新が行われるので今は削除しているというふうに私どもとしては報告を受けております。
○仁比聡平君 いや、ということならば、ここに書いてある運用方針は米軍にとっては全然変わらないということじゃありませんか。それはとんでもないですよ。
大臣、今、硫黄島で行うようにとおっしゃいました。けれども、昨年九月の一日から五日、厚木基地で強行されました。前日の八月三十一日に米軍が突如厚木でやらせろと言ってきた、通告をしてきた。大臣、硫黄島でやってくれと言ったでしょう、申し入れたでしょう、大使に。けれども、米軍は聞く耳を持たずに、一日当日の自治体への通告になって、それで実際に都合五日間の間に千四百五十二回、七十デシベル以上の騒音を発生する訓練を行った。うち二百八十六回は百十デシベル以上ですよ。これ、聴覚に異常を来すレベルでしょう。
こういう訓練を、つまり聞く耳を持たずに一方的にやる、聞き入れてもらえなかった。それが米軍の基本的な立場じゃありませんか。
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛省としましては、これまでも、FCLPについてはできる限り多くの訓練を硫黄島で実施するように米側に申入れをしております。
御指摘のFCLPは、在日米軍より当省に対して、昨年九月一日から九月六日までの日中、厚木飛行場においてFCLPを実施する旨連絡がありました。当該連絡に対して様々なチャネルを通じて硫黄島で実施するよう米側に申し入れてまいりましたが、米側からは、空母ロナルド・レーガンの出港に際し、洋上において行う予定であった訓練を台風等の影響により、やむを得ず厚木飛行場で緊急に実施せざるを得なくなったとの説明を受けております。その結果、昨年九月一日から五日までの間、日曜を除く四日間の日中、厚木飛行場においてFCLPが実施されました。台風等の影響があったとはいえ、最終的にFCLPが厚木飛行場で実施され、飛行場周辺の皆様へ多大なる御迷惑をお掛けする事態に至ったことは防衛省としても重く受け止めております。
昨年の厚木飛行場におけるFCLPを受け、私としましてはハガティ駐日大使に対し、FCLPは硫黄島で実施するよう改めて申し入れております。今後とも、様々なレベルを通じて、硫黄島で実施するよう米側に働きかけてまいります。
○仁比聡平君 つまり、聞き入れてもらえなかったということなんですよ。
総理、最後お答えいただきたいんです。
こうした爆音被害で日本の裁判所で確定判決を受けても、これまで過去、米国は一円たりとも一ドルたりとも払ったことありません。それは、普通の訓練をしているんだから責任はないんだという立場なんですよね。
こういう米軍が政府の説明と正反対の空母離発着訓練の準備を整えている。これ絶対やらせてはならないんだから、だったら、このマニュアルは撤回させるべきじゃありませんか。総理、どうするんですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に防衛大臣から答弁をいたしておりますように、このFCLPについては可能な限り硫黄島を使用することとしておりまして、基本的に岩国飛行場において実施することはないと考えています。
ただし、先ほど局長の方からも答弁しましたが、米側は、硫黄島が天候不良等により使用できない場合に備え、三沢、横田、厚木及び岩国の各飛行場をFCLPの予定飛行場に指定しているところであります。そして、その旨は政府から岩国市を含め関係自治体に累次説明してきております。また、政府から米側に対して、できる限り多くの訓練を硫黄島において実施するよう申し入れてきているところでありますし、今後も申し入れていく考えであります。
○仁比聡平君 このマニュアルの問題でも、そしてイラク日報の問題でも、国民に真相をひた隠しにし、戦争する国に変えようとする、そんな安倍政権、安倍政治は断じて許されません。
安倍政権を終わらせるために全力を尽くす決意を申し上げ、質問を終わります。
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