○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、統一協会による重大な反社会的不法行為についてお伺いをします。
大臣は所信の中で、社会的に問題が指摘されている団体としか述べられませんでした。そこで、資料をお配りしていますけれども、十月二十七日の当委員会の質疑で私の方で紹介をさせていただいた一九九九年の日弁連意見書から、宗教的活動にかかわる人権侵害についての判断基準という部分を抜粋をさせていただいたものです。
今日、文化庁が所管をされている統一協会に対する解散命令請求、あるいはその前提としての質問権の行使について、民法の不法行為の判決が二十二件把握されていると。あるいは、その下で被害総額十四億円に上ると。それがあの質問権行使を初めて行う大きな根拠という趣旨で文科大臣が繰り返し発言をしておられるわけですけれども、そうした不法行為判決というのは既に四半世紀以上前から、やむにやまれぬ当事者の闘いによって勝ち取られてきたものなんですね。
この一九九九年の日弁連意見書は、八四年のヨーロッパEC議会の取組や、その時点、九九年時点での各地の判決例などを深く分析をしながら、御覧いただきますように、反社会的な宗教的活動がもたらす消費者被害等救済のための指針として示されています。
一番の献金等勧誘活動について。ここには、献金等の勧誘に当たって、次の行為によって本人の自由意思を侵害していないかと。先祖の因縁やたたり、あるいは病気、健康の不安を極度にあおって精神的混乱をもたらす。二、本人の意思に反して長時間にわたって勧誘する。三、多人数により又は閉鎖された場所で強く勧誘する。四、相当の考慮期間を認めず、即断即決を求めるなどなど。今日、統一協会による被害者、高額献金や霊感商法という、被害者の言葉で皆さんがよく共有するようになった指摘が既に九九年にされています。
二の信者の勧誘について。勧誘に当たって、宗教団体等の名称、基本的な教義、信者としての基本的任務、特に献金等や実践活動等を明らかにしているか。本人の自由意思を侵害する態様で不安感を極度にあおって、信者になるよう長時間勧めたり、宗教的活動を強いて行わせることがないか。統一協会は、正体を隠して巧みに近づく、そして人々の人生めちゃくちゃにすると。ここに対する厳しい批判がここにあるわけですね。
信者及び職員の処遇の問題として、外部との連絡を保障しているか。施設から離れようとする者の意思を妨げていないか。
そして、四項目めに、未成年者、子供への配慮という項目があります。親権者、法定保護者が反対している場合には、未成年者を長期間施設で共同生活させるような入信を差し控えているか。逆に、親権者、法定保護者が未成年者本人の意思に反して宗教団体等の施設内の共同生活を強制することはないか。小中学校の教育を受けさせているか。本人にとって到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を確保するよう配慮されているかと。
この九九年の時点から考えれば四半世紀がたって、成人をされた二世被害者、祝福二世などと呼ばれる方々が当時からどんな状況に置かれていたかと。それは、今日の私たちにとっても真摯に受け止めるべき、そして今に生かすべき基準だと思うんですが、まず文化庁、いかがでしょうか。
○政府参考人(小林万里子君) お答え申し上げます。
今、先生の方から御紹介いただきました指針の中の基準につきましては、今御紹介いただきましたような消費者被害事件や、市民や信者、とりわけ未成年者に対する不当な人権侵害の事案に対して、弁護士が適正に対処し、被害を抑止することを目的に作成されたものと承知しておりまして、法律家の視点から具体的な事例などに基づき検討された御提言であると認識しております。
私ども、現在、報告徴収・質問権の行使に当たりまして、その内容の検討を行っているところでございますが、情報収集が極めて重要であると考えておりまして、長年にわたり旧統一教会の問題に携わってこられました弁護士の方々や被害者の方々にお会いして情報収集を進めているところでございます。
今御紹介いただきました意見書の内容も参考にしつつ、十分な収集を行い、効果的な報告徴収・質問権の行使になるよう検討してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 弁護団の方では、そうした一連の事件の証拠を政府に提供するということも考えておられるということですし、本当にもうこの機に力を合わせて質問権の行使を成功させて、速やかな解散命令請求、そして解散命令に至るように全力を尽くしていただきたいと心からお願いを申し上げたいと思います。
そこで、大臣、この四半世紀の間の政府の不作為は重いと私は申し上げてきました。社会的に問題が指摘されているというこれまでの、これ、岸田総理もそうなんですが、そしてほかの関係大臣に御答弁をお願いしてもそういう表現を使われることが間々あるんですけれども、この社会的に問題が指摘されているというような人ごとのような表現はもうおやめになるときが来たんじゃないですか。大臣の思いはいかがでしょう。
○国務大臣(齋藤健君) 私の認識は、旧統一教会について、悪質商法に関する問題ですとか、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘されていると。このような状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体という表現を使っているというふうに認識しております。
○仁比聡平君 やっぱりそういう答弁にとどまるんですね。
法務相が座長になって相談が続いています。その相談を、つまり、生きている今の現在の相談を解決していくためには、その当事者、被害者や家族がどんな被害を受けているのかということをちゃんと認識し、相談に乗る人たちが共有していかないことには問題の解決に至らない。ずっと声を上げられないで、初めてやっと電話をしたけれども、この宗教活動に関する人権侵害という問題について、この感覚を持っていないということになったら、話しようもないじゃないですか。やっぱりこの問題が指摘されているってなったら、一体誰がどう指摘しているんですかという話になるじゃないですか。これはもう改めるべきだということを、今日はもうそこまでにしておいて、法案の質疑に入らせていただきたいと思います。
文化庁審議官、ありがとうございました。御退席いただいて結構です。
○委員長(杉久武君) 文化庁小林審議官は御退席いただいて結構です。
○仁比聡平君 給与法関連の、裁判所の報酬法、検察官俸給法の質問ですが、今回の法案は、若手、特にですね、特に若手、五年目までの裁判官や検察官のお給料を上げようというもので、賛成です。
ただ、僅か四百円とか、そういうことですからね、上がるのが。これは、今の御苦労や、それから抜本的な賃上げがこの日本社会に求められているということを考えても、これは私はもっと抜本的に引き上げるべきものだというふうに思っております。
関連して、最高裁の概算要求、来年度、令和五年度概算要求の重点事項についてという資料を最高裁からいただいて、お配りをしています。
御覧のとおり、裁判手続等のデジタル化関係経費として、これ六十七億円が計上されているわけです。今後、デジタル化が民事を始めとしていろんな形で裁判所の中で行われる中で、この経費というのはもっともっと増えていくということが当然想定をされるわけですね。
けれども、先ほど川合先生の議論の中にもありましたけれども、今でも事件をさばいていく事件関係経費というのはこれいっぱいいっぱいなわけですよね。私は、もういっぱいいっぱいを超えているじゃないかと、もうぎりぎりを割っているじゃないかと言ってきました。
事件数見たって、その民事事件のところに出てくる労働審判というのは高止まりですし、家裁の審判事件も増えていますし、あるいは成年後見の事件というのは、開始決定がされればそれはずうっと後見事件として積み上がっていくわけですから、どんどん増えていくわけですよね。
こういう中で、このデジタル関係の経費が増えていくんだけれども、これは事件関係の経費や施設や人件費とは別枠、外枠で確保されなければ、ちょっと裁判維持できないじゃないですか。最高裁、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(氏本厚司君) お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘のとおり、裁判手続等のデジタル化は喫緊の課題でありまして、これを実現するために必要な予算を確保することは重要なことであると考えております。
あわせまして、もとより、ただいま委員御指摘のとおり、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために、事件処理のために必要な経費、人件費や施設費等の確保も重要であると考えているところでございます。
いずれにいたしましても、裁判所といたしましては、引き続きこれら必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 つまり、このデジタル化以外のところの予算、とりわけ事件の経費、裁判事務処理の経費、この予算を削るというのは、これはあり得ないですよね。
○最高裁判所長官代理者(氏本厚司君) お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘のとおり、適正かつ迅速な裁判を実現するために必要な予算を確保することは重要なことであると考えております。裁判所といたしましては、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○仁比聡平君 いや、あり得ないと思うんですよ。最高裁は、もうあり得ないと、財務当局やあるいは法務大臣に言うべきなんですよ。つまり、デジタル化が進んでいく中でも、裁判の経費を削るということはあり得ないと。
ところが、概算要求における定員がどうなっているかと。下の方に七十人という大きくくくった数字があるんですけれども、これ内訳見ると、事務官は六十五人の増員なんですが、うち四十六人は最高裁のデジタル化検討、準備のための配置になる。それ、そうですね。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
委員御指摘いただきましたその四十六人という数字、これですけれども、御指摘いただきましたとおり、最高裁における、失礼しました、もう一度やり直させていただきます。
増員を要求する事務官に関しまして、最高裁、これ五十一人がトータルの増員数ということになります。うち、ワーク・ライフ・バランスに関するものが五人、それからデジタル化対応等を含むものについて四十六人ということになってございます。
○仁比聡平君 すぱっと答弁してください。通告はしております。
つまり、デジタル対応で最高裁に四十六人が必要だというわけですよ。それはそうでしょうね。
一方で、下級審はどうなるかというと、十九人増員の要求なんだけれども、それは事務官から事務官への振替というのが十九人。一方で、先ほども議論のあった定員合理化のために二十八人マイナスというのがあって、下級審において二十五人減。さらに、裁判所共済組合の統合に伴って下級裁から最高裁への事務官振替が二十五人。ですから、合計、下級裁から五十人の減員になると。これは事実ですね。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 だから、デジタル化対応の人員は別枠で確保すべきなんですよ。最高裁にその対応をしてもらうために下級裁の人員が、ただでさえもうぎりぎりを割っているのに、そこから五十人引き剥がすというのは、それは駄目ですよ。
その下で健康を害して長期に休職をせざるを得ない職員の皆さんがどんな推移になっているかと、資料の二枚目をお配りをいたしました。
私の方でちょっと申し上げると、つまり、二〇一八年九十人、二〇一九年八十七人、二〇年百五人、二一年八十六人で、二〇二二年は百二十三人と。これが九十日以上の長期病休取得者数、そしてその割合と。
割合としては、今年度、書記官さんで〇・五五%、家裁調査官で〇・二五%、事務官で〇・六九%と。これまでの経過に比べても増えていっているという、こういうことになっているわけですが、最高裁、これどういうふうに評価しているんですか。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、令和四年につきましては、確かにそれまでよりもやや高い数字となっております。ただ、年によって波もあるところでございまして、ここは引き続き状況をよく注視してまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、裁判所といたしましては、これまでも全ての職員が心身共に健康に職務に精励できるよう職員の健康保持に取り組んできたところではございますけれども、メンタルヘルス対策も含めて、引き続き職員の健康保持に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 注視している場合じゃないでしょう。よく注視してまいりたいとおっしゃるけど、見詰めていてどうするんですか。
この数字は、先ほども申し上げたとおり、九十日以上の長期病休取得者ですから、つまり三か月超えているという方なんですよね。それはよほどのことですよ。裁判所の大変繁忙なそれぞれの現場の下で、書記官さんや事務官さん、あるいは家裁の調査官さんたちが休むということ自体がとても大変なことだろうと思います。
ですから、三か月以上と、そして三か月以上になるとこういう形で最高裁にも数字がつかまれるという状況になりますから、そこに至らない、三か月に届かないメンタルを含めた病休者というのはやっぱりかなりの数に上るのではないかと思いますが、その数字は把握しているんですか。
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
九十日に満たない病休者につきましては統計を取っていないところから、数の多少について正確なお答えはできないところでございます。
○仁比聡平君 それが今の裁判所での現実なんですよね。
その下で、私は特に心配をしておるのは、任官五年以内の若手の職員さんたちが周囲のサポートを十分に受けられないという状態の中で、とても責任の重い、しかも一つ一つの事件というのはそれぞれ個別の事件ですから、とても幅の広い仕事に心痛めておられるのではないかということなんですね。
一年目の書記官さん、大臣御存じでしょうか、事務官として採用されて数年で書記官の採用試験を受けて書記官になっていくというようなプロセスになるわけですけれども、ですから、入職して数年間で書記官になって一年目という方は、毎日出勤準備をするときに体が重く、着替えるのに三十分掛かる、夢の中でも仕事をしていて深い眠りに就けない、何事にも興味を持てない、休日は一日中家で寝ている、周囲の職員も忙しそうにしているためSOSを発することもできない、あとどれぐらい自分が耐えられるか分からないとおっしゃっていて、先ほども議論があったように、地方裁判所から最高裁に人がどんどん動いていっているわけですね、あるいは大都市の裁判所に動いているわけですね。ですから、地方の裁判所では人が減っていっているわけです。
その下で、新任の例えば書記官さんが部に配属されるというときには、同時に過半数の職員が入れ替わって、みんながそこに来るのは初めての人たちという中で、先輩たちは大変な繁忙、忙しくなっていると。だから、これって、いろんなSOSを出したいと思うけれども、それが出せるような状況じゃないと。これは、裁判所の将来にわたって、これまで日本の裁判所が積み重ねてきた実務を継承していく上でも、とても重大な、重要な課題になっているんじゃないかと思うんですね。
同様の悲痛な声、例えば、あと一年同じ部署にいたらメンタル不全を発症していたかもしれないという若い皆さんもいます。こうした若い世代の皆さんがこのメンタルの心配なく、本当に安心できる、元気に働ける、そういう職場にしていくために、まず最高裁、下級裁を五十人減らすって、これ、あってはならないと思いませんか。
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
定員合理化を行う下級裁の事務官につきましては、これまで各庁各部署において事務の見直しや業務フローの見直しなどに取り組んできたところでございます。既存業務の見直しによる合理化が可能な部署について個別に減員を検討しているというところであります。
例えば、庁舎新営の終了に伴う事務の減少分などについて合理化による減員が可能と考えているところであり、今回の減員によって事務に支障が生じないものというふうに考えております。
また、裁判所共済組合の組織統合に伴います下級裁から最高裁への振替二十五人につきましては、下級裁内の組合支部を最高裁内の組合本部に統合することによるものでございますので、業務とともに定員が最高裁に移るというものでありまして、下級裁の事務に支障が出るものではないというふうに考えております。
○仁比聡平君 最高裁だからそうした細かい答弁をされるのかもしれませんけど、その合理化が可能なところを減員しているので、だから問題ないと言うんだったら、若手職員の先ほど御紹介したような声が出るはずがないじゃないですか。現場でそういう声が上がっている、よほどのことだと思うから国会で私は取り上げているんですよ。それを問題はないというふうに言おうとしても、それは無理があると思います。
最後に、大臣、そうした中で問題なのは、先ほど裁判所のことは私言えないというふうなお話があったけれども、日本の社会の司法予算の国家予算の中に占める割合が極めて低いということなんですよ。世界から見て異常なんです。全体の国家予算からすると、今年度〇・三一%。今度の概算要求でいうと、〇・三%も割っちゃって〇・二九%ということになるんですね。
こうした司法予算の現状を、これ抜本的に変えるべきだと私は思います。裁判あるいは司法というのは人で成り立っているわけで、この人を本当に大切にするという、それこそ法の支配を世界に発信しようという大臣の所信もありましたけれども、まず隗より始めよと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(齋藤健君) 個人的な経験になりますが、私は、実は経済産業省、通産省でしたけど、そこで大臣官房秘書課の課長補佐、それから人事企画官ということで若手職員の人事管理やっていまして、その中で仕事によって悩んでメンタルになる職員とも向き合ってきまして、人事当局にとってこれほど深刻で悩ましい話はないという認識を強く持っています。
その上で、恐らく想定されている答弁になってしまうのかもしれませんが、とりわけ裁判所の予算、とりわけ裁判所の予算ですので、これは司法権の独立に配慮する必要があると思っていまして、これは独立して国の予算に計上するものとされているわけです。裁判所の予算の原案は、独立の機関たる最高裁判所が独自の判断に基づいて内閣に提出するということとされていますので、したがって、予算編成過程における財務当局との協議も最高裁判所の事務当局が当たるということで、我々ではないわけです。
法務省として、これにいいとか悪いとか言うことは、司法権の独立に鑑みまして、私からはコメントを控えたいなと思っております。
○仁比聡平君 前段で大臣が述べられたこの認識がとっても大事だと思うんですよ。それを実現するためには裁判所予算の抜本的な拡充が必要だと、今日はいませんけれども、財務省にも含めて強く申し上げて、今日は質問を終わります。
ありがとうございました。