「現場は待ったなしだ!」。2月4日、日本共産党の仁比そうへい議員は参院決算委員会で、介護現場の深刻な実態を取り上げました。この質問準備で仁比議員は、1月31日、福岡県内の複数の介護施設を訪ねました。

 「助けてください…」。福岡県田川市の女性(78)は、介護ベッドに横たわったまま、開口一番、仁比さんにこう訴えました。

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 女性は、63歳のとき、脳梗塞(こうそく)を患い、左半身が不自由です。一昨年秋、転倒して左大腿(だいたい)骨を骨折。ほぼ寝たきり状態です。

 これまでの介護度は「3」。毎日ヘルパー訪問か、デイサービスを受けていましたが、この2月から介護度は「2」に切り下げられ、サービスは週6回に。日曜のサービスが完全になくなり、実質2日間、寝たきりの状態で一人過ごすことになります。

 女性は涙を浮かべました。「薬を飲ませてもらってポッと逝ったほうがマシです」

 女性は生活保護を受けています。電気代節約のためか、部屋の電気をつけようとしません。カーテンは閉めたまま、日中でも部屋は真っ暗。「朝から晩まで寝たままで、日を拝むことがない」と話します。

 県介護保険広域連合の冊子では、2006年度の高齢化率は23・1%、11年度には25%になると推計。一方で、要支援・要介護認定率(高齢者に占める認定者数)は、06年度の21・5%から、11年度には18・8%に認定率は「減少傾向」としています。

 これに対し生活介護支援センター「まごころ」(田川市)の岩田艶子施設長は、認定率を下げる介護予算のあり方に疑問を呈し、サービス切り捨てが逆に「重度化」を招くと警鐘を鳴らします。

 仁比議員は、「介護の『水際作戦』だ。制度を破壊している」と語っていました。

 介護老人福祉施設の従事者の平均給与額は28万1800円(今年1月、厚労省発表)。同省は昨年4月の介護報酬改定後、約9千円増えたとしています。

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 「どういう施設を調べたのか」。福岡市東区の特別養護老人ホーム「いきいき八田」で働く男性職員は首をかしげます。

 同施設では、勤続年数「3年未満」の職員が約6割を占め、生活実態が「苦しい」「やや苦しい」とした職員が8割を超えました。

 32歳の女性介護職員は、「夜勤帯は2人勤務。1時間で二十数回のコールがなり、座る間もない重労働です」と話します。利用者の横で仮眠することもしばしば。「看護も、介護も、同じ命にかかわる仕事です」と訴えます。

 和田峯ゆき江事務長は、「介護で必要とされるのは、医療とはまた違った『専門性』、その人を熟知する『個別性』だ」と強調していました。(しんぶん赤旗 西日本のページ 2010年2月6日)