性犯罪規定を見直し、「不同意性交等罪」を創設する刑法等改正案が9日の参院本会議で審議入りし、日本共産党の仁比聡平議員が同法改正の意義と課題に対する政府の認識をただしました。(質問動画はコチラ)
仁比氏は、日本では、性犯罪を男性(夫・父親)の「財産」への犯罪と位置付け、女性の命がけの抵抗などがなければ強姦(ごうかん)罪が成立しないといった明治刑法の規定が戦後も引き継がれてきたことを告発。「男性優位の身勝手な観念をとり払わなければならない」と訴えました。
今回、罪名を、2017年の改正の「強制性交等罪」から「不同意性交等罪」へと変え、「同意の有無」を成立要件の中核としたことは、被害当事者や性暴力の根絶を求める運動の成果であり、前進だと強調。「さらに性的行為には相手の積極的同意を必要とし、広く『個人の尊厳』を保護するよう捉え直すべきではないか」と呼びかけました。
また、仁比氏は、16歳未満への性的行為を処罰対象にしたのは前進だが、5歳以上年長の者に限定する要件には疑問が残るとして、さらなる法改正の検討を提起。さらに、今回の改正による公訴時効の延長の意義を認めつつも、本法案によっても、幼少期の被害を認識し、捜査機関に相談した時点で公訴時効が成立している事態が起こるのではないかと指摘し、実態調査を求めました。斎藤健法相は「ご指摘のような事態が生じないとは言えない」と認め、法成立後適切に対応したいと述べました。
仁比氏は法案に盛り込まれた、被害者の聴取結果の録音・録画記録媒体を証拠として認める例外規定は、対象が性犯罪に限定されていないなど、このままでは捜査機関が供述を誘導し、その録音・録画が事実上反対尋問をさせない有力証拠として裁判を誤らせてしまう危険があると指摘しました。(しんぶん赤旗 2023年6月10日)