日本共産党の仁比聡平議員が6月9日の参院本会議で行った改悪入管法に対する反対討論の要旨は次の通りです。

 審議するほど立法事実の根幹にかかわる大問題が噴き出し続けたのは、政府案が底深い人権侵害の構造にあるからに他なりません。

 立憲民主・社民、日本共産党、れいわ新選組、沖縄の風の4会派による野党対案は、難民条約と国際人権基準の実現を求めてきた市民社会の力が結集され、実ったものです。野党対案こそ希望の道です。

 政府案に反対する理由の第一は、3回目以降の難民認定申請者の強制送還が難民条約のノン・ルフールマン原則に反する国際法違反にほかならないことです。政府案が土台とする「わが国に難民はほとんどいない」との認識は崩れ去りました。

 第二に、極めてずさんな難民認定の実態が明らかになったのに、政府案に抜本的改善策がないことです。政府案は1次審査に弁護士の立ち会いも録音録画も認めていません。世界で当たり前の透明性・公平性からかけ離れていると言うべきです。

 第三に、法案が立法事実として「送還忌避者」と一くくりにする人たちの中に、さまざまな事情で帰国できず、日本社会に根ざして暮らす多くの人たちがいることです。入管庁が送還ノルマまで設け、仮放免や収容を帰国せざるを得ない状況に追い込む道具としてきたのは許されません。

 裁判でも難民と認められなかったLGBT当事者について、法相は「私なら庇護(ひご)したい」と答弁しました。ならば、民主主義の届かない闇のなかで人権侵害の構造をつくり出してきた通達を廃止し、ブラックボックスを根本から打破すべきです。

 第四に、政府案が日本で育ち学ぶ子どもと家族までも強制送還の対象とし、恐怖にさらしていることです。

 第五に、司法審査の導入を拒否し、入管庁だけの判断で無期限に収容する構造を変えないことです。収容に代わる監理措置は、監理人を入管側の動静監視の協力者に組み込むもので、本来の当事者支援とは相いれず、破綻しています。「医療体制の改善に取り組む」との法相答弁の陰で、大阪入管の常勤医師が患者への暴言、不適切な投薬、酒酔いで診療に従事していないと明らかになりました。

 入管行政の源流には、戦前の植民地支配、戦後の在日朝鮮人の排斥の歴史があります。1982年に難民条約を批准してもなお、入管職員研修の法務省の教材には次の記述がありました。「自ら好んで外国人を招き寄せてこの調和のとれた環境を破壊することは避けなければならない」

 差別と排斥の歴史を終わらせ、保護と共生へ。日本共産党は、若い世代を先頭に語られてきた非正規滞在者への思い、「つないだ手を絶対に離さない」という強い決意をともにし、これからも頑張り抜きます。(しんぶん赤旗 2023年6月10日)