○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私、今日は、甚大な被害からはや二年四か月が過ぎた二〇二〇年七月球磨川大水害からの生活再建について尋ねたいと思います。
十月、改めて人吉市、球磨村、相良村、五木村を訪ねてまいりましたけれども、家やお店が解体撤去されたままの更地があちこちに広がって、本当に痛々しいものがございます。
そうした下で、一枚目の資料に、内閣府からいただいた仮設住宅の関係の資料をお配りをいたしました。二枚目も同様ですけれども、つまり、十月末の時点で応急仮設団地が七市町村、二十四団地のうち二つがこの間解消されていますから、二十二団地、加えて、みなし仮設を含めて、ピーク時のなお四割、七百八十五戸、千六百五十一人の被災者の方々が仮設住宅で暮らしていらっしゃると、そういう状況です。
まず、大臣にお尋ねしたいと思いますのは、今後の見通しが決まっていない被災者が安心して生活できる基盤ができるまで応急仮設住宅で生活ができるように、期間の延長、これは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷公一君) 御心配されております応急仮設住宅の供与期間の延長でございますが、東日本大震災などでも数多くそういった実例はございます。
今回の場合、河川等の災害復旧工事の範囲内に自宅があり、復旧工事は完了しないため、自宅の再建ができない等々の理由があるやに聞いております。必要がある場合には、原則二年間とはされておりますけれど、一年ごとに延長できる仕組みもございます。
今後とも、熊本県ともしっかり連携して、被災地の復旧復興の状況、また被災された方々の実情などを踏まえながら、生活の再建が進むよう努めてまいりたいと思います。
○仁比聡平君 最後のところで大臣もおっしゃったとおり、個々の被災者の実情をしっかり捉えて、提供、つまり仮設住宅の提供も含めた支援が必要だということがこの間取り組まれていることだと思います。是非よろしくお願いいたしたいと思います。
私ども日本共産党のアンケートでも、被災者の方のおよそ六割超える方々が、元住んでいたところに住まいを再建したい、あるいは商売を再建したいとお感じになって、お考えになっておられるんですが、一方で、治水の不安、そして再建費用、そうした中で、自宅の再建がままならないと。あるいは、賃貸物件が払底しておりまして、家賃も大変高騰しているという状況で、住むところが見付からないという被災者の方々が多くいらっしゃいます。
その中で、公営住宅の建設も進んでいるわけですが、資料の二枚目に、熊本で取り組まれている事業を紹介をいたしました。
つまり、このまま木造仮設住宅に住み続けたいという被災者の皆さんの強い要望があるんですね。県が木造仮設住宅を市町村へ譲与し、市町村有住宅として活用するという取組ですけれども、熊本では、現実に相良村で十六戸のこの譲与が行われまして、とても喜ばれているということを相良村で伺ってまいりました。
大臣はどうお受け止めでしょうか。
○国務大臣(谷公一君) 仮設住宅は様々なパターンがあります。二十七年前、私が神戸で経験したときは言わばワンパターンでした。建設型、まあ一部に借り上げ型がございましたけれども、その後、新潟中越、また東日本大震災では木造の仮設住宅というあれも相当出ております。そして、東日本でもそれをそのまま恒久化といいますか、そういう事例もあるということも承知しているところでございます。
今回の熊本県の取組も、その一環といいますか、そうした流れの中で、くまもとモデルとして熊本県は取り組んでいるというふうに承知しております。
確かに、熊本県が言われるように、木造住宅だから再利用できる、あるいは、被災市町村の人口流出をとどめることが、食い止めることができるといったメリットがあると伺っているところであります。
供与期間終了後の仮設住宅の取扱いについては、基本的には被災都道府県において判断されるものでございますが、有効活用という選択肢の一つとして、内閣府としても事例紹介も含めながら引き続き周知をしてまいりたいと思います。
○仁比聡平君 ありがとうございます。木造仮設が積極的に活用されてきた流れというのは、さっき、もう大臣の御答弁のとおりだと思います。
今回のこの熊本県で行われている譲与あるいは市町村有住宅という取組が、被災者の、解体、建物解体した後の更地にも移築して住まいが再建していけるというふうに更に踏み込んだ取組もされれば、特に高齢の被災者、お一人になってしまったとか、老老のお二人になってしまって僅かな年金で再建ができない、だけど土地はあるという、そうした方々の住まい確保のためにもとても有効だと思いますので、そうした検討も含めて、それから大臣の御答弁にあった全国への周知、これ是非お願いしたいと御要望申し上げておきたいと思います。
これまでもこうした取組もあったんですが、流域住民が安心して生活再建を進めるために、一日も早く、二〇二〇年七月四日豪雨の水位以上の高さへの高台移転、堤防、宅地のかさ上げ、防水壁の設置などが、地域住民の声をよく聞いて進められるということは当然の願いだと思います。
そこで、五枚目の資料に熊本日日新聞の記事を御紹介しているんですが、つまり、この球磨川中流域で甚大な被害を受けた八代市坂本町で、坂本支所を含む一帯の土地を三メートルかさ上げして、郵便局や消防署、銀行などを整備するという専門家、有識者の方々の提言があります。そうした考え方の下、八代市は、ちょっと資料にお配りできればよかったんですけれども、すまいの安全確保支援事業というのをこの間具体化をされました。個々の被災者の御自宅について、災害リスクの低い場所への移転、現地再建の安全対策工事、例えばかさ上げをするとか、あるいは止水板を設置するとか、いざというときに屋根に逃げるためのはしごや天窓を作るとか、そうした工事に対して上限三百万円、坂本地区では上限三百五十万円の支援をすると。これを過去に遡って行えるようにする、申請できるようにするという事業なんですけれども。私、こうした取組というのは政府としても支援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐々木俊一君) お答え申し上げます。
熊本県八代市においては、令和二年七月の球磨川流域の豪雨災害からの復興を期すため、八代市において坂本町復興計画を策定し、この計画に基づき町づくりを推進していると伺っております。現在、こうした町づくりの中で、復興計画の中に位置付けられた各種事業の具体化に向けた検討、調整が行われているものと承知しております。
私ども国交省といたしましても、引き続き、地域の実情やニーズをお伺いし、被災地の復興に向けて、安全な地域づくりのためにしっかり支援を行えるように対応させていただきたいと考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございます。
この八代市の取組というのは、すなわち、新たなダムや既存の市房ダムの改良がなくとも、浸水しない高さにまで用地をかさ上げしようという考え方なんですね。昨年六月に八代市、芦北町、球磨村が国に対して要望書を提出をしておりますけれども、住み慣れた地域に戻り安心して暮らせる環境づくりを進めるためには、令和二年七月豪雨時の被災水位を踏まえた輪中堤、宅地かさ上げ、高台移転などが必要不可欠だとされているとおりだと思うんです。
こうした取組が是非必要だという観点で、ちょっと、一方での河道掘削についてお尋ねをしたいと思います。
資料、五枚目の資料になります、あっ、ごめんなさい、四枚目の資料になりますが、読売新聞の八月八日付けですけれども、この記事の中にありますように、土木学会は調査の上、分析結果をまとめられました。そこでは、人吉の氾濫は中川原公園という中州にある公園が一因だという正面からの指摘がされています。当時の流量では川の水が公園付近でせき止められ、水位が約二メートル上昇するということが判明したと。
この中川原公園のせき止めによって水位が二メートル上昇することが判明したというこの土木学会の知見について、政府はどんな認識ですか。
○政府参考人(岡村次郎君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、土木学会水工学研究委員会の令和二年七月九州豪雨災害調査団報告書では、この中川原公園の影響により、令和二年七月豪雨と同規模洪水、八千トンが流れてきた場合、大橋上流で二・〇八メートル程度の水位上昇があったというふうに報告されているというふうに承知しております。国土交通省でも、この中州の公園が河川増水時に水位の上昇の影響を及ぼすということについては、同様の傾向があることを確認しております。
このため、治水対策としましては、この公園の地盤高を下げる必要があるということから、公園管理者の人吉市と相談をした上で、利用者の利便性等からも考慮し、公園の地盤高を約二メートル下げる掘削を行うことといたしました。この公園の掘削を含め、流域全体の治水対策を取りまとめた河川整備計画をこの八月に策定したところでありまして、一日も早く地域が安全になるよう着実に対策を進めてまいります。
○仁比聡平君 今の御答弁は、つまり、この土木学会の指摘を認めながら、土木学会は二メートル上がると言っているわけじゃないですか。だけども、今御答弁のあった整備計画では水位は二十二センチしか下がらないというふうに市議会で市は説明しているんですね。この中川原公園という中州があることによって水位が二メーター上がるでしょうと科学的に指摘をされていると。先ほど与党の御質問の中で紹介された人吉の浸水位、そのことを考えたって、二十二センチ下がればいいという話にはならないじゃないですか。
しかも、この中川原公園というのは、県管理の山田川という、今回も大氾濫をして亡くなる方も出ました、その山田川の本川への合流点の真正面にあるんですね。ですから、上流からの水位のせき上げだけじゃなくて、この山田川からの流下ということを考えても、この中川原公園は完全に撤去すべきだという声が市民の皆さんから上がっています。
そうした経過の中で、私ちょっと伺うと、市議会で国土交通省が、平水位、ふだんの水位まで四メートル切削してしまうということが可能だという趣旨の説明をされたと思うんですが、それは事実ですか。
○政府参考人(岡村次郎君) 誠に申し訳ございません。ちょっと手元に資料がないので、確認次第御報告申し上げます。
○仁比聡平君 是非国として検証していただきたいと思うんですよ。その市がいろんな状況の中で物考えるということは当然あるわけですけれども、河川管理者としての国がこの本川の河道掘削確保をどう進めるのかという観点で是非検証をしていただきたいと思います。
私が我が党市議団から伺った市議会に提出された資料では、今整備を進めようとしている二メーター切り下げる案と、それから四メーター、更に二メーター切り下げる案というのがちゃんとあって、で、それを住民の皆さんの中で徹底してちゃんと議論するという、そういう検証を是非国が責任を持ってやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。