長崎県の国営諫早湾干拓事業をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決(2010年)を強制しないよう国が求めた請求異議訴訟の差し戻し審は12月1日、福岡高裁(岩木宰裁判長)で最終弁論があり結審しました。判決は来年3月25日。

 口頭弁論で意見陳述した佐賀県太良町の漁業者の男性(69)は、解決に向け努力しない国を批判し「漁業被害に目を背け、このまま漁業がなくなるのを待つような態度をとる国には怒りしかない」と訴えました。

 今年4月、同高裁は「話し合いによる解決の外に方法はない」と国と漁業者に和解協議の開始を提案。そのための進行協議が続けられていましたが、国は「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」と話し合いを拒否し、協議は打ち切りとなりました。

 結審後の報告集会で馬奈木昭雄弁護団長は「われわれは長崎地裁で開門しないことを前提にした協議にも応じ、その上で問題点を明らかにしてきた。今回、国は頭から席に着こうともしない」と厳しく批判。今後も、高裁が示した和解に向け、訴訟外での話し合いを国に求めて声を上げ続けようと呼びかけました。

 支援団体からの発言が続き、「よみがえれ!有明海訴訟」を支援する長崎の会の本田純一事務局長は「問題を解決するためにはこれからのたたかいが大事だ」と訴えました。

 弁護団の一員として日本共産党の仁比聡平前参院議員が参加しました。(しんぶん赤旗 2021年12月3日)