旧優生保護法下で障害を理由に不妊手術を強いられたのは違憲だなどとして被害者が国に損害賠償を求めた訴訟が始まって5年。昨年2月の大阪高裁を皮切りに今年3地裁2高裁で国の責任を認め、賠償を命じる判決が続いていることを受け、旧優生保護法問題の早期・全面解決を求める集会が3月28日、国会内でありました。優生手術被害者・家族の会や全国優生保護法被害弁護団などが主催し、オンラインを含めて1000人以上が参加しました。参加者は集会後、首相官邸前で、「命を分けない社会をつくろう」「これ以上引き延ばすな」などとシュプレヒコールしました。

「良い判決をいただき本当にうれしく思っている」。23日に大阪高裁で勝訴したばかりの原告はそう話しました。今でも通院のたびに恐怖を覚えるなど、不妊手術を受けた記憶が強く残っています。「議員の人にお願いしたい。私たちが普通に暮らせるように法律をつくってほしい」

熊本訴訟原告の川中ミキさん(76)=仮名=は「母の日はつらい日」と語りました。長女がダウン症で、第2子妊娠時に医師から「第2子にも障害があるかもしれない」と言われ、人工妊娠中絶と不妊手術を受けました。長女はその後3歳で亡くなりました。「勝訴はうれしかったが国に控訴されてしまった。高齢で体調も良くないが生きているうちに解決して」と訴えました。

損害を受けても20年たつと請求権がなくなる「除斥期間」という民法の規定が大きな障壁でした。この間、除斥期間を適用せず国に損害賠償を命じる判決が相次ぎました。

同弁護団の新里宏二弁護士は「戦後最大の人権侵害の旧優生保護法の被害については除斥期間の適用はないと、すでに司法の判断は固まっている」と強調。「いま決断しなければならないのは司法ではなく政治だ」と岸田文雄首相による被害者への直接謝罪を強く求めました。

参加者は、▽今すぐ控訴、上告を取り下げる▽被害者への謝罪―などを国に求める集会アピールを採択。岸田首相と加藤勝信厚生労働相宛ての要請書を参加した与野党の国会議員に手渡しました。

日本共産党から倉林明子、仁比聡平両参院議員が参加し、宮本徹衆院議員があいさつしました。(しんぶん赤旗 2023年3月29日)