日本に暮らす外国人の人権を無視し、命を危険にさらす改悪入管法が6月9日の参院本会議で、自民、公明、維新、国民などの賛成多数で可決・成立しました。日本共産党、立憲民主、れいわ、沖縄の風などは反対しました。日本共産党の仁比聡平議員は反対討論で、法改悪によって迫害の恐れのある母国への強制送還におびえる外国人たちがいるとして「若い世代を先頭に語られた『つないだ手を絶対に離さない』という強い決意をともにし、これからも頑張りぬく。入管法改悪は断固廃案とすべきだ」と力を込めました。国会前には雨のなか多くの市民が集まり「入管法改悪反対」「野党対案が私たちの望む未来の姿だと、あきらめずに言っていこう」などと声をあげました。

 
 反対討論で仁比氏は、「審議すればするほど、立法事実の根幹にかかわる大問題が噴出し続けてきたのは、政府案そのものが根深い人権侵害の構造にあるからにほかならない」と指摘しました。野党は難民認定を独立した難民保護委員会で行うなど、国際人権法と憲法にかなった対案を提出したとして、「野党対案こそ希望の道だ」と主張。入管行政の源流には、戦前の植民地支配、戦後の在日朝鮮人の排斥の歴史があるとして「差別と排斥の歴史を終わらせ、保護と共生へ」と呼びかけました。

 本会議場には、名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの遺影を抱えた妹のワヨミさん、ポールニマさんの姿がありました。採決後、ワヨミさんは記者団に、大阪入管の常勤医師の酩酊(めいてい)問題などが明らかになったのに採決されたとして「人の命を無視した政府の姿勢が表われている」と批判。「強行採決をとても遺憾に思う。政府、入管が人の命を守る責任をとることを求め続ける」と語りました。(しんぶん赤旗 2023年6月10日)