国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐって、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決の無効化を国が求めた訴訟の差し戻し審判決が3月25日、福岡高裁でありました。岩木宰裁判長(梅本圭一郎裁判長代読)は国の請求を認め、確定判決に基づく強制執行は許さないとの不当判決を出しました。
判決では、2010年の確定判決後に漁獲量が「増加傾向にある」とし、排水門を常時開放した場合、水害の被害が一層深刻となる可能性があるなどとしました。
「よみがえれ!有明訴訟」弁護団の馬奈木昭雄団長は判決後に開かれた報告集会で、「確定した判決を実行させないという驚くべき判決。横車を押して確定判決を足蹴(あしげ)にした国の態度を裁判所が追認するもの。『漁獲量が増えている』『開門すると災害が増える』など事実誤認だ。上告し、話し合いのリーダーシップを最高裁にとってもらい、和解を目指す」と述べました。
漁業者の男性(69)=佐賀県太良町=は「国は、有明の海に来て潜ってみらんか。生き物がとても住めない海にしておいて責任を取らないのか」と悔しさをにじませ、「ここで私たちが声を上げなくなったら、ますます国民の声を聞かない国になる。これからも頑張りたい」と力を込めました。
報告集会には、弁護団として日本共産党の、にひそうへい参院比例予定候補も出席しました。(しんぶん赤旗 2022年3月26日)
- 投稿タグ
- 公害・環境・脱原発