【16.05.12.】法務委員会『密告者の情報非公開は防御権の侵害』

190回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

一昨日、私は通信傍受の対象犯罪の拡大について大臣と御議論させていただいたわけですが、その議論の中でも、大臣が組織犯罪として前回確認をされた四類型というふうに限定をされるとおっしゃるんだが、その厳格な要件という組織犯罪性というのは、この法案上の対象犯罪の要件にも、そして令状審査の傍受の要件にも反映されないと。だから、盗聴が広く窃盗や詐欺の一般犯罪の捜査にまで広げられるのではないかという懸念は法文上全く払拭されないではないかということを明らかに私はなったのではないかと思うんですね。

そうした下で、傍受令状が発付された場合、今度の法案によりますと、言わば特定電子計算機という機械あるいは技術というものに絶対的な信頼を置いて、人間の第三者の立会いという目による監視は一切ない。しかも、これまでは通信事業者の限られた傍受場所に行かないとできなかったけれども、これから先、警察の特定電子計算機の開発と予算の確保次第では、いながらにしてどの都道府県警あるいは警察署でもこの通信傍受が可能になると。その下で、第三者の目の全くない秘密処分にほかならないではないか、ここで膨大な侵害されるプライバシーというのは、これは極めて捜査機関による濫用のおそれというのがあるではないかと指摘をしてまいりました。

その通信傍受の問題について今日続けてお尋ねをしたいのは、この傍受を実施する場合に、小川議員が繰り返し問われてきたスポット傍受というのがあります。

改めて申し上げると、令状で傍受を認められた罪というのは具体的な疑われている組織犯罪の事実であるはずなわけですね。実際、傍受する通話が組織犯罪として疑われている事実に関連するのかどうか、ここを通話の場合判断しなければならない。これ判断して初めて傍受をすることができるということになるわけです。それをスポット傍受というふうに言っているんですが、私どもの委員会の視察において警察は、例えば令状をもって傍受を始めると。ここで通話が始まったときに三十秒間この通話を聞いて、この間に犯罪に関連する通話はないということになったらば一定の時間のインターバルを空けて、更に例えば三十秒スポット傍受を行って、ここでもまた犯罪関連の通話がないとなると一定のまたインターバルを置いて、これを繰り返す。これをどれだけ繰り返すか、あるいは一旦傍受をやめて、けれども通話がずっと長く続く場合は、改めて、犯罪関連通信が行われているのではないかという容疑の下にこのスポット傍受を再開するなどの説明をされたわけですね。

このスポット傍受の、例えば何十秒スポット傍受をする、あるいは何秒置いてスポット傍受を再開するというようなことというのは、これ警察庁に伺いますが、どんなふうにして決まるんでしょうか。

○政府参考人(三浦正充君) お尋ねのいわゆるスポット傍受の詳細のやり方につきましては、国家公安委員会規則において定めがございまして、例えばそのスポット傍受における傍受中断の時間については、あらかじめ警察本部長が指定をすると、そのようなことになっております。

○仁比聡平君 今御紹介のあった国家公安委員会の規則というのがここにあるわけですが、もちろん規則なんですから、文字の体裁といいますか条文の体裁を取っているわけですけれども、ここには、スポット傍受を何秒行う、インターバルの時間を何秒とするという、そうした規定はないわけです。先ほど三浦局長が御答弁になったように、それは警察本部長が決めるということですね。

この警察本部長が決めるというのは、これ、何かその決め方についてのルールというのがあるんですか。

○政府参考人(三浦正充君) どれぐらいの時間まず聞くかといったようなことについてのある程度の標準的なものというのはあるわけでございますけれども、ちょっとそれを対外的に、具体的にそれが何秒ですといったようなことを明らかにいたしますと、当然それは犯罪組織の側に対抗措置を講じられてしまうといったことになりますので、その具体的な時間ということについてはお答えは差し控えているところではございますけれども、あらかじめ本部長が、そのスポット傍受の時間、どれだけの時間を聞いて、そしてどれだけの時間インターバルを空けるかということについては具体的に指定をするということになっているところでございます。

○仁比聡平君 ある程度の基準があるというのは、つまりスポット傍受を行う場合に、何秒という基準なのではなくて、言わば幅を持った基準であると。今の御答弁の中にありましたが、具体的に指定するということですから、個々に行う傍受の実施ごとにそれぞれ警察本部長が決めると、そういうことになるわけですね。

○政府参考人(三浦正充君) その時間の基準につきましては警察庁が示しておりまして、その基準の中でといいますか、それに基づいて個別の事件ごとに警察本部長が指定をすると、そのような仕組みになっております。

○仁比聡平君 個別の事件ごとに警察が決めるんだというふうにおっしゃっている。それで、ある程度の基準はあるんだけれども、けれどもこれは容疑者あるいは組織犯罪の集団に対抗措置をとられたらまずいから、これは言ってみれば捜査上の秘密だと、そういうことでしょうか。

○政府参考人(三浦正充君) それは捜査上の秘密ということに該当すると考えております。

○仁比聡平君 その捜査上の秘密であるところの、つまり傍受の実施の仕方ですね、これは傍受令状を請求するときに裁判所には説明をするんですか。

○政府参考人(三浦正充君) それは傍受令状の請求事項ではございませんので、裁判所に説明をするということはございません。

○仁比聡平君 大臣、今の警察の答弁、つまり、厳格な要件が定められている、これが裁判所の判断によって審査をされると、だから私が前回確認した四類型、これ以外の傍受が行われるということはこれは言ってみればないのだと、実際にこれらの厳格な要件を満たす事案は組織的な犯罪に限られることとなりますというふうに御答弁され続けているわけですが、令状を取ってどのような傍受を実施するかというのはこれは警察が決めることなのだ、捜査上の秘密なのだというわけです。しかも、令状発付のときに裁判所にどんな傍受をするのかということを説明することもないのだということなんですね。

それを前提に林局長にお尋ねをしますけれども、この傍受令状というのは一体何が記載事項になっているのか。この記載事項になっているというのは、つまり裁判所が何に対して証拠に基づく判断をしなければならないのかということになるわけですけれども、これ、警察や検察の請求に対して裁判所は何を審査するんですか。

○政府参考人(林眞琴君) 傍受令状の請求がありますと、法定の要件についてそれを満たしているかどうかを裁判官において判断し、かつ相当と認めるときに令状を発付するというわけでございます。

その際に発付されるのが傍受令状でございまして、傍受令状につきましては、現行の通信傍受法六条にありまして、その記載事項が定められております。その中で、被疑者の氏名でありますとか被疑事実の要旨、罪名、罰条、傍受すべき通信、傍受の実施の対象とすべき通信手段、傍受の実施の方法及び場所、傍受ができる期間、傍受の実施に関する条件、有効期間及びその期間経過後は傍受の処分に着手することができず傍受令状はこれを返還しなければならない旨、こういったものなどをこの傍受令状に記載するというふうに定められております。

それによりまして、実際の傍受の実施に当たりましては、例えばその中に掲げられている、傍受令状に掲げられている通信手段に特定して傍受を実施するのは当然でございますし、その際に、この傍受令状に掲げられている傍受すべき通信ということ、この内容に即して傍受を行うことができるという限定が掛かってくるわけでございます。

○仁比聡平君 条文の用語が続きますから少し分かりにくかったかもしれませんけれども、何だか限定が掛かっているかのように言うけれども、結局、令状の発付を受けた警察が実際に誰の目もないところで特定電子計算機を使って通話を傍受するときに何秒聞いていいのかということについては、裁判所は全く審査を行わないんですよ。令状にはそういう限定条件は記載をされません。

ちょっと引っかかるかもしれませんから、この第六条にそれにもしかしたら関わるかなと思われる条文として、「傍受の実施の方法」、「傍受の実施に関する条件」というのがありますけれども、この記載事項は何を意味しているんでしょうか、局長。

○政府参考人(林眞琴君) まず御指摘の傍受の実施の方法、記載事項の一つでございます傍受の実施の方法につきましては、これは、例えば電話の傍受の場合でありますれば、傍受録音機器を電話番号○○○○の回線に接続することにより実施するなどと記載されることとなります。

次に、傍受の実施に関する条件については、これは、例えば裁判官が傍受の実施をすることができる時間帯を一日のうち午後五時から午後十一時までの間というように限定する条件を付する場合、その条件の内容がこの令状に記載されることとなります。

○仁比聡平君 今の御答弁でお分かりのとおり、そもそも令状発付の要件であるところの組織犯罪性というのは、これは極めて曖昧なものであって、二人以上の容疑者があらかじめ共謀しているというふうに、役割分担を共謀しているというふうに捜査機関から疑われれば、そうすれば窃盗あるいは詐欺という、罪名はそうした一般的な犯罪に当たり得るという、そういう容疑で令状請求ができる。その被疑事実を裁判所がああそうですかということになれば、現にその令状をもって傍受を実施するところでの該当性の判断、つまり犯罪に関連していない通話でも聞くことのできる時間というのは、これは裁判所の審査は全く受けていない、それを個々の事件の捜査において決めるのは警察であると。局長、つまりそういうことですね。

○政府参考人(林眞琴君) スポット傍受の時間の間隔について申し上げれば、それについて裁判所の審査は経ていないわけでございますが、法律で必要最小限度の範囲で行うとなっておりますので、警察が定めたスポット傍受の時間の間隔は、必ずそれが必要最小限の範囲であるということを認めているわけではございませんので、結局、そのスポット傍受の時間間隔の定め方のいかんにかかわらず、結果としてなされた該当性判断の傍受が必要最小限のものであったかどうかについては後に事後の検証の対象となるということでございます。

○仁比聡平君 そこを次にお尋ねしたいんですよね。

現行法なんですけれども、十三条の一項に、これに必要な最小限度の範囲に限り通信傍受をすることができるという規定があります。けれども、その主体は誰かというと、検察官又は司法警察員なんですね。傍受令状が発付される、具体的に実施の現場に臨むその検察官、警察官が、これに必要な最小限度の範囲に限り傍受をすることができるというふうな規定ぶりになっています。

この必要最小限度というものを判断するのは、この現行法十三条一項の上では一体誰なんでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) この現行法の十三条では、傍受ができるという権限を検察官又は司法警察員に与えているわけでございますが、この該当性判断のための傍受の権限を与えているわけでございますが、その際に、必要最小限度の範囲に限りという限定をこの規定で加えているわけでございます。

したがいまして、この該当性判断の傍受について必要最小限度の範囲に限りというまず判断をするのは、当然その実施する検察官又は司法警察員となります。その上で、法の限定を守っているかどうかということが後に検証の対象となるということでございます。

○仁比聡平君 その必要最小限度の範囲に限りというのは、つまり、捜査官が個々の傍受ごとに判断する、先ほど来警察に伺っている国家公安委規則だとか個別具体事件ごとに警察本部長が定めると言っているのは、つまりそれの中身は、法十三条一項の実施はこれは警察の捜査の秘密の下でやっていくんだという、そういうことなんでしょう。

○政府参考人(三浦正充君) 先ほども御答弁がございましたように、通信傍受法第十三条第一項では、司法警察員が必要な最小限度の範囲に限られた中で該当性判断のための傍受を行うと、このように定めがございます。

具体的には、いわゆるスポット傍受と呼ばれる方法により行うわけでありますけれども、このスポット傍受の時間、中断の時間も含めまして、これはあらかじめ警察本部長が指定をし、その枠の、そのように定められた時間をきちっと守って現場で実施をされると、そのようなことになっているわけでございます。

更に申し上げると、警察本部長は警部以上の警察官を傍受実施主任官として指名をすることとされておりまして、この傍受実施主任官の指揮監督の下、捜査員があらかじめ定められた手順に従って犯罪関連通信の該当性の判断を行いつつ傍受を行っております。

また、この時間というのはあくまで現場で勝手に変えられるものではございませんで、あらかじめ指定をされた時間に従って基本的には機器をそのようにセットするわけでありまして、その定められた時間が来るともう自動的にその通話が中断をされる、そこでインターバルに入ると、そういう機械の設定を初めからそのようにするわけでございますけれども、そうしたやり方に従って傍受を行っているところであります。ですから、現場の裁量で勝手にその時間を引き延ばしたりとか、そういったことは一切できないと、このような仕組みになっております。

また、このスポット傍受の結果といいますか実施の状況といいますのは、もちろん様々な書面に克明に記載をされるほか、原記録に残りまして、それはそのまま裁判官に提出をされるということでございますので、どのような時間スポット傍受を行ったか、最初にどれだけ聞いたのか、どれだけ間隔を空けたのか、そういったことについては事後的にその原記録において検証可能なような仕組みになっているわけでございます。

○仁比聡平君 今、三浦局長がおっしゃったような、つまり警察がやるんですということなんですよ。それは現行法でも、それから改定案で新たな機能を備えたと称する特定電子計算機が開発をされ、それがたくさん納品をされるという下でも同じなんですよ、暗号だとか民間事業者がちゃんと検証するだとか、そんなような議論があってきましたけれども。つまり、具体的に令状発付を受けてこの事件について通信傍受をしようとするときに、その個々の具体的な事件ごとにスポット傍受の時間というのは警察本部長が決めて、もちろんその傍受の前にセットするということなんでしょうけれども、その電子計算機にあらかじめ決められた個別事件ごとの傍受のやり方を設定する、セットするというのは、これは警察がやるんでしょう。

○政府参考人(三浦正充君) そうしたスポット傍受の具体的な時間でありますとか、そういった設定は警察が行うことになります。

○仁比聡平君 そして、それをどのような決め方でやるのかは捜査上の秘密だから裁判所にさえ明らかにしないというわけです。それは、つまり、第三者の目の全くない、監視のないところで秘密処分を行うということにほかならないんですよ。

これまでは通信事業者の立会いがありますから、何だかえらく長いこと聞いているなと、あるいはその間にメモをしきりに取っているなとかというのはこれはおかしいなという外見があるわけですけど、この改定案で特定電子計算機を持ち込んで、立会いなしに、いながらにしてということを可能にすれば、私が申し上げているようなことをやることはこれは可能になる、仕組み上は。しかも、さっきちょっと例示した三十秒というふうに限る必要もないわけでしょうから、個別事件ごとに何だかもっと幅のある、幅のあるというか、もうちょっと長いような時間だって設定もし得るのかもしれない。

そうはいっても、原記録に傍受したところが残るんだから、だから問題ないじゃないかと言われるけれども、これはもう繰り返しこの場で議論されてきたように、犯罪関連通信で傍受記録が作成をされなければ通話の当事者には通知もないんですから、裁判所には保管されているかもしれないけれども、それを誰かが検証するって、そんな機会はないんですよね。

そこで、林局長にお尋ねをしますが、現行法の二十六条に不服申立ての手続があります。これは、不服申立ての手続は、当事者が通知を受けない限り、知らない限り申立てのしようがないじゃないですかと私も小川議員も繰り返して質問してきたんだから、それはもう今日はいいんですが、この不服申立て手続以外に今議論をしている法十三条の必要最小限度性、これについてただされる機会、争われる機会というのがどこかにありますか。

○政府参考人(林眞琴君) スポット傍受というのは、必要最小限度の範囲に限るための一つの方法にすぎません。したがいまして、そのスポット傍受を、警察において定めた期間は必ず、その期間、時間だけは必ず該当性判断のための傍受ができるということになるわけではございません。したがいまして、その結果が必要最小限度の範囲に限られているかどうかというのは事後に検証の対象となります。

その検証の対象としての手続といたしましては、一つには、その該当性判断のための傍受が法律で言う必要最小限度の範囲に限られている適正なものであったかどうかは、まずは通信傍受法二十六条第二項の規定による不服申立ての手続等において争われますが、それ以外には、例えば傍受記録又は複製等の取調べの請求があった被告事件、実際の刑事事件でございます、こういった事件においてやはりその点が争われ得ると考えております。

○仁比聡平君 結局、通信傍受が行われたらば、その時点で即時にプライバシー侵害というのは完成するんです。ところが、その当事者に通知は行かないわけですから、そんな傍受はやめてくれ、おかしいではないかという不服の申立てはやりようがないわけです。

その不服申立ての手続以外に争われ得るというのは、今局長がもう一つおっしゃった、その情報を刑事裁判の有罪証拠として捜査機関が取調べの請求をするという公判廷において、その証拠は一体何だと弁護側が争って、前回もちょっと議論しましたけれども、違法収集証拠ではないか、必要最小限度ではないではないかといって、その証拠として使うことはおかしいという、そういう争いをするときだけなんですよね。

違法収集証拠として排除されることも現実の裁判の例では極めて限られているわけですが、更に問題は、そうやって一旦プライバシーを侵害することによって警察が得た情報は、前回も指摘をし、確認をされたとおり、取調べで当てて自白を迫ることもできるし、捜索、差押えのほかの令状を発付する資料としても使うことができるし、何でも捜査に利用できるわけです。第一、起訴して、そのひそかに盗み聞きした証拠を出して有罪立証するという場面にならないと通話が傍受されていたということが分からないみたいなそんな状況で、一体どれほど卑劣な捜査が行われるか。

しかも、今日も確認されたとおり、特定電子計算機というと、何だかそれが本当に技術的に信頼できるかのように思いがちだけれども、それを使うのは人間ですから、セットするのは警察なんですから、それも何か基準があっているんじゃなくて、個別の事件ごとに警察が決めるんですから。そこに濫用の危険を感じないというのは、私はとんでもない刑事裁判、そして捜査に対する認識不足だと思いますよね。

そうした下で、もう一つ確認をしたいのはメールの傍受です。

このメールの傍受、あるいはSNSもそうなのかもしれませんが、これは、今お話ししてきた通話の傍受とは法律上の性格が違うということになっています。

そこで、お尋ねするのは、メールというのは、これは皆さんも経験のとおり、一瞬にして一覧できるものなんですよね。メール全体が配信されるじゃないですか。だから、これを見れば全部一読できるわけだけれども、このスポット傍受というのは一体どうやって行うのか。三浦局長、何文字で該当性の判断をするというんですか。

○政府参考人(三浦正充君) メールにつきましては、傍受を行うと同時に順次内容を判断することができる電話とは異なりまして、当該通信に係るデジタル信号の全体を一旦傍受した上で一定の方式で復元処理を行わなければ、その内容を知ることは困難であります。そのため、メール等を傍受する場合は、外国語通信や暗号を用いて行われる通信と同様に、通信傍受法第十三条第二項の、傍受のときにその内容を知ることが困難なため傍受すべき通信に該当するかどうかを判断できないものに当たるものとして、その全体の傍受を行うこととなります。

もっとも、この全体の傍受を行うといいましても、それは警察の保有するメール傍受装置に当該通信を取り込むのにとどまりまして、この段階で捜査員が当該メール全体の内容を閲覧するという運用は行っておりません。すなわち、その全体の傍受を行ったメールが犯罪関連通信に該当するかどうかの判断におきましては、これも国家公安委員会規則で定めておりますが、必要最小限度の範囲で閲覧を行うこと、その閲覧を行った部分を記録しておくこと等を義務付けているところであります。

具体的には、音声の場合のスポット傍受の方法に倣いまして、まず一部に限って画面に表示をさせ該当性判断を行い、判断が付かない場合には一旦中断をするといいますか、閲覧しない部分を残してスポット中断をした上で次の一部をまた閲覧をすると、こういった方法を取ることとしているところであります。

○仁比聡平君 お分かりになりましたでしょうか。つまり、メールというのは何らかのソフトで文字化しないと中身が分かりませんから、これは法律上は、外国語での通話とかあるいはファクスの送受信とかと同じような性格のものとして扱われている。その通信は、これは全部丸ごと警察がまず取り込むんだというお話ですね。

〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕

でもって、これ、だけれども全部を閲覧するわけではないんだという局長のそこの御答弁のところに、全てを閲覧する運用は行っておりませんというふうにお答えになりました。運用は行っていないというのは、つまり、それは警察の運用としてそうしているのであって、法律上規制されているわけではないという御趣旨だと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(三浦正充君) そのとおりでございまして、確かに法律にそういった規定はございませんけれども、その法律の第十三条第一項の趣旨、つまり必要最小限度で行うといったこの趣旨に鑑みまして、私ども、内部規則等によりましてそうしたスポット傍受の方法に倣ったやり方でメールについても閲覧をすると、このようにしているところでございます。

○仁比聡平君 つまり、そのようにしているだけであって、法律上求められていないんですね。通話の場合は犯罪関連通信かどうかの該当性を判断するために必要最小限度の範囲に限るというそうした規定になっているんだけれども、メールも含むそうではない通信については全部の傍受をすることができる、全部取り込むことができるという規定になっていて、あとは速やかに傍受すべき通信に該当するかどうかの判断を行わなければならないだけであって、その該当性の判断が必要最小限度でなければならないという要求がそもそも法律上ないんです。

今は、三浦局長が説明するように、捜査上の秘密で、何文字で判断するのかというのはお答えになれないということなんだと思うんだけれども、そういう犯罪関連の該当性の判断を仮にしているとしても、これ例えばメールなんですから、その犯罪関連に当たりそうなワードを検索を掛けるとかすればこれは一気に分かりますし、大体文章として、どれだけのデータ量か分かりませんけれども、二行とか十行とかというふうに決めれば、もう大体見えてしまうというようなことにもなるわけですよね。

そうしているのではないのかということを聞いているんじゃない、そういうことにできるんじゃないんですか、全部検索を掛けるということだって法規範上は可能なんじゃないんですか。

○政府参考人(三浦正充君) やはり通信傍受法の趣旨全体からしましても、メールに関しましても必要最小限度の範囲に限って閲覧をするということは、法律上の明文の規定ではないとしても求められているというように私どもは理解をしておりまして、したがいまして、先ほど来御説明をしているとおり、様々な内部規則等、通達等も含めまして、そういったことによりまして一部に限って順次閲覧をしていくと、こういった方式を取っているところでありまして、これに違反をしてそういった閲覧を行えば、それは内部規定違反、規律違反ということになるわけでございます。

○仁比聡平君 つまり、警察の内部規律違反になるだけであって、法律上違法な傍受にはならないんですよ。

これだけメールを始めとした、SNSも含めた通信が格段に発展している社会において、例えば広い一般的犯罪の疑いを掛けられて、ある携帯電話の電話番号やあるいはメールアドレスというのがこれが令状の対象だということになれば、そこに入ってくるメールって膨大なものになるでしょう。

先生方のアドレスに一日どれぐらいメール来ますか。複数のアドレスを持っていらっしゃる方々もたくさんいらっしゃると思います。SNSも含めれば相当な通信を、現実に読み切れないだけの通信が飛び交いますよね。

それをどのようにして傍受をするのかという手法も、裁判所にさえ捜査上の秘密だと言って、誰の審査も経ずに密室で取り込むことが可能だというのが今の仕組みなんですよ。これを一般的な犯罪にまでまともな要件もなしに広く拡大して日常化する、だから盗聴の自由化ではないかというふうに言われているんじゃないですか。

その評価についてお尋ねしたってお答えになるわけがないので、ちょっと私は、そうした通信傍受のプライバシー侵害の重大性に鑑みたときに、そこで蓄積される情報が一体何に使われるのか、とても恐ろしいと思うわけですが、局長に、警察庁に引き続きお尋ねしますけれども、私、昨年の八月の二十一日の本会議場で国家公安委員長にお尋ねをしました。

それは、戦前の反省に立った憲法の下で、政治警察は廃止され、戦後、発生した犯罪を捜査する司法警察活動と犯罪予防を目的とする行政警察活動は厳密に区別されることになった。ところが、盗聴というのは、これから起こる犯罪、これから行われる通話、通信というものをこれ対象にするわけだから、必然的に未発生の犯罪の事前捜査という性格を持つことになるではないか、それが日常化するということになるじゃないか、そうなると、過去に起こった犯罪の真相解明と摘発を行うという刑事捜査と行政警察活動の区別を崩壊させて、刑事事件の捜査のためとして盗聴で取得された情報が警備公安警察活動に利用される、そうした危険が極めて大きくなるんじゃないのかと。警察が秘密裏に取得をするそうした膨大なプライバシー情報をどんなふうに使って、何のためにやろうとするのかと。

私が指摘をしているような公安警察活動に利用されないという、そういう法律上の保障がありますか。

〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕

○政府参考人(三浦正充君) 通信傍受法というのはあくまで犯罪捜査のための通信傍受に関する法律なのでございまして、具体的な個別の事件の犯罪捜査、もちろん組織犯罪が中心でございますけれども、そうした組織犯罪の解明等に使われる捜査手法というように理解をいたしております。これは、厳格な法律上の要件、手続の下で実施をされるものでございまして、また、もちろん裁判官から令状をいただいて実施をしているものであります。

その結果として得られた犯罪関連通信というものがあった場合、それは傍受記録という形で残されるわけでありますけれども、こうした通信を刑事手続上の証拠として用いて捜査活動を行ったり、あるいはそれが過去の犯罪の摘発につながったり、また逆に、結果として将来における犯罪の予防につながるということはあり得るものというように考えております。そうした適法に得られた犯罪関連通信がその後の捜査活動に用いられるといったようなことは、それは特に制限はされていないというように理解をしております。

他方、犯罪に関連をしない通信に関しましては、これはその後の消去、廃棄といった手続が厳格に定められているものでございまして、これを後の活動に利用するということはあってはならないものというように認識をしております。

○仁比聡平君 結局、将来発生する犯罪の予防も含めた活動に利用することは許されているという御答弁なわけですね。

大臣も同僚議員の皆さんもスノーデン・ファイルというのは御存じだと思います。暴露されたスノーデン・ファイルの中に、アメリカのNSAがメタデータをどのように利用しているかという、そうした文書があります。つまり、およそあらゆる人々の電話番号だとかそこへの通信、ファクスあるいはショートメッセージなどの送受信、あるいは加入者の位置情報、こうしたようなあらゆるメタデータにこの極秘のユーザーはアクセスをすることができると。そのメタデータにアクセスをすることによって、誰と誰の交友関係、あるいは生活活動に関する情報、これは詳細にプライバシーを暴くことができるので、そうしたプライバシーを明らかにすることが捜査上極めて有効であると、そうした評価がされているわけですね、だから行っているわけですが。

警察庁は、こうしたやり方についてどのような評価をしておられるのでしょうか。

○政府参考人(三浦正充君) 外国政府などが行う情報収集や犯罪捜査の手法につきましては、詳細を存じ上げているわけではございませんので、ちょっとコメントは差し控えたいと思いますけれども、確かに電話を始めとする通信の発信履歴やその位置情報といった情報が事案の解明に資する場合があるということは事実であろうと考えております。

もとより、警察におきましては、そうした情報を含めまして犯罪捜査に必要な証拠の収集に当たりましては、刑事訴訟法等の法令に従って適切に実施をしているところでございます。

○仁比聡平君 何が適切な実施をしているかと。前回も、堀越事件において警備公安警察が行った卑劣な、二十四時間、少なくとも十か月間にわたるプライバシーを暴き立てる捜査について、国家公安委員長もまるで何の反省もないと。だったらば、これからも行うのか、今現在もやっているのかと、そういう警察の実態を私、明らかにしたつもりです。

そこで大臣、お尋ねしたいのは、改めて、我が党元国際部長の緒方靖夫元参議院議員の自宅を何らの法的根拠もなく盗聴を行った警察犯罪、権力犯罪についての認識なんですね。

この事件で東京高裁判決は、盗聴は、その性質上、盗聴されている側においては盗聴されていることが認識できず、したがって、盗聴された通話の内容や盗聴されたことによる被害を具体的に把握し特定することが極めて困難であるから、それゆえに、誰との、いつ、いかなる内容の通話が盗聴されたかを知ることもできない被害者にとってその精神的苦痛は甚大であると、憲法上保障されている重要な人権である通信の秘密を始め、プライバシーの権利、政治的活動の自由などが、警察官による電話の盗聴という違法行為によって侵害されたものである点で極めて重大であると、そういうふうに判決しているんですね。

プライバシーを侵害するということはまさにそういうことなんであって、このことについて一体どんなふうに認識をしてこの法案を推進をしておられるんですか。

○国務大臣(岩城光英君) いずれの当事者の同意も得ないで通信を傍受することは、憲法上認められる重要な権利であります通信の秘密に対する制約でありまして、いやしくも違法な通信傍受がなされることがあってはならないものと認識をしております。

この点、通信傍受法に基づく通信傍受は、犯罪捜査のため、厳格な要件と手続の下でのみ認められるものであり、通信の秘密を不当に制約するものではないと考えております。

なお、御指摘の判決におきましては、警察官が違法に電話の盗聴を行ったと推認される旨判示されていると承知をしているところであります。もとより、通信傍受法に基づく通信傍受は、同法に定められた厳格な要件の下でのみ行えるものであります。

○仁比聡平君 不当に制約するものではないなんて、不当に制約している、だからこの権力犯罪を断罪する判決は確定しているでしょう。実際に非合法なこんな無法で卑劣な盗聴を行っておいて、その事実を認めもしないというのが今の警察庁の姿じゃありませんか。日本の警察組織というのはそういうことでしょう。この国会でもなお、過去も現在もそうした違法な盗聴は行っておりませんと警察庁は言い続けてきました、三浦局長に改めて聞くまでもないと思うんですけど。

そうした捜査機関に対して、今日も明らかになったような密室の傍受を許し、しかも電子計算機の設定は警察が行うんですから、裁判所が審査もしないんですから、何が厳格な要件かと。こんな盗聴は絶対に許されない。これは憲法三十五条あるいは三十一条を始めとした日本国憲法の刑事手続に関するデュープロセスの保障を真っ向から踏みにじるもの、断じて許すわけにはいかないということを改めて申し上げたいと思います。

今日もう一つ伺いたいのは司法取引の問題なんですが、司法取引というのは、これまでも議論されてきたように、自らの罪を免れようとして他人を罪に陥れる、引っ張り込む危険というのを本質的に持っているわけですね。

この司法取引について、衆議院の段階で、せめてということなんでしょうけれども、無実の人間が冤罪に巻き込まれる危険性を減らすべきだというような観点で、検察官が司法取引を合意するかどうかの判断に当たって、当該関係する犯罪の関連性の程度というのを考慮すべきだという文言が修正で付け加わることになりました。

これ、分かりやすく言うと、他人の罪を密告して取引をして自分の罪を軽くするという、私、ちょっと今日は密告者というふうに呼びますけれども、密告者のその供述を信用して取引をしようという検察官の判断に当たって、落とし込まれる方の、つまり被疑者ですね、被疑者の犯罪との関連性の程度を考慮する、典型的には共犯事件にするなどのことになるわけですが、この修正部分の意味について林局長にお尋ねしますが、これ、そういうふうに書き加えられたとしても、結局、事情としての考慮というふうになっているだけなので、犯罪の関連性が全くなくても司法取引は行い得る、検察官はできる、そういうことになるんじゃないですか。

○政府参考人(林眞琴君) 被疑者、被告人が証拠を提供することができる他人の刑事事件、これについては共犯者等の事件である場合が多いと思われますが、必ずしもそれに限定されるわけでなく、被疑者、被告人が他人の刑事事件について重要な証拠となるべき情報を提供する場面というものは様々であると考えられます。そのために、制度上は両事件の間に関連性がない場合に合意をするということについては否定をしていないわけでございます。このことは、衆議院における修正後の条文の下でも基本的に同じでございます。

もっとも、例えば被疑者、被告人の事件と他人の事件との間に何らの関係もない場合には、被疑者、被告人がその当該他人の事件について捜査機関に提供できるような情報を持っていないことが多く、仮に何らかの情報を持っていたとしましても断片的で簡潔なものにとどまるのが通常でございまして、これを基に裏付け証拠を収集するということも困難でございますので、そういった被疑者、被告人の情報について信用性を肯定する事情というのは認められにくい問題があると思います。

また、その供述者は、自己の犯行については供述することがなく、そもそも当該供述をすることによって不利益を受けることがないことになるわけでございますが、そういった事情というのは、供述をすることにより不利益を受け得る場合と比較しますと、一般にその信用性に対してはやはり疑問あるいは警戒心を抱かせることとなると思います。そのために、裁判所においては、この被疑者、被告人の供述等についての信用性の判断というのは一層慎重に行われることになるわけでございまして、検察官としても同様にその信用性の判断を一層慎重に行わなければいけないことになりますので、基本的に被疑者、被告人から全く無関係の他人の刑事事件に関する供述等を得るために合意をすることはないものと考えられます。

したがいまして、衆議院による修正におきましては、検察官が合意をするか否かを判断するに当たっての考慮事情といたしまして関係する犯罪の関連性の程度というものが明記されたわけでございますが、これによって、今回の合意制度が利用される場面として基本的に想定されるのは、共犯事件など両犯罪の間に関連性が認められる場合であるということが十分に示されることになったものと理解しております。

○仁比聡平君 いや、濫用されるではないかとは言われたくないから長々と適正に行われるという趣旨の答弁をされるお立場は分かるんですが、そしてそのように運用をしようとしているのかもしれませんが、現に警察や検察は、そして裁判所も、全く密告者と被疑者、被告人の被疑事実が関係のないそうした証人、参考人のうその供述を完全に信用して、それに完全に乗っかって冤罪を数々つくり出してきました。

私が地元で関わってきた引野口事件という事件がありますが、これは、代用監獄の留置場の中で、被疑者にとってはたまたま同房になった別の事件の被疑者が、この被疑者があたかも殺害を行ったかのような密告を行って、それを証拠として警察は丸ごとそれに乗っかって、検察ももちろんそれに乗っかって起訴し、裁判所も有罪判決を下す、そうしたことをやってきたわけですよね。

何かあたかも関連のない事件では信用はしないんだから大丈夫だなんて、大概にしろと私は思います。そうした司法取引が検察官の訴追裁量権に基づいて行われるというのが、私の本会議質問に対する当時の上川大臣の答弁なんです。検察官の訴追裁量権というのは現行刑事訴訟法上極めて広範で、この公訴権の濫用というのが裁判でただされるのは極めて限られたときにしかありません。だから、密告者に関わる、関与する弁護人もその被疑事実を知ることはもちろんできないし、言わば検察やその意を受けた警察の手のひらの上でこの司法取引に関わるという仕組みになるわけですね。

その下で、ちょっと時間が迫ってきましたから、そうした司法取引で密告者が自分の刑を何らか軽減してもらうなりの合意をする、このときに二つの書面が作られます。合意しますという合意内容書面、それから、合意に基づいての供述調書、この二種類の書面が作られることになるんですけれども、結局、刑事裁判では、捜査段階の間にそういう合意と供述を取り、ここにはうそが本当に含まれている危険性が極めて高い、そういう証拠をつくった上で、裁判に起訴をした後に、これを有罪証拠として立証請求するということになるわけですね。

そのときには、証人としてその密告者を法廷に呼ぶという場合、それから、そこと関わることが多いでしょうけれども、その合意内容書面と合意に基づく供述調書を証拠として請求するという場面、両方ありますが、今度の改定案で二百九十九条の四という規定があり、検察官は弁護人に対してもその証人の住所あるいは氏名を隠してしまうと、そういう規定が盛り込まれようとしているわけです。被告人又は弁護人に対して、氏名にあってはこれに代わる呼称、住居にあってはこれに代わる連絡先しか知らせない。だから、どんな証人なのか、これ捜査段階では全く分からない。そこで取られたうそかもしれない供述が有罪証拠として裁判所に出されているのに、その密告者の本当の名前も住所も知ることができない、どこの誰だか分からないという、こうした有罪立証ができ得るという仕組みに読めるんですよね。

書面も、その条文の四項に証拠書類、証拠物も同じようにするというふうに書いてあるんですが、林局長、この司法取引によって得られた申し上げているような書面はこの二百九十九条の四に当たり得るわけですか。

○政府参考人(林眞琴君) この法律案の刑事訴訟法二百九十九条の四で、証人等の氏名、住居を秘匿する措置の対象を証人、供述調書の供述者等としておりますが、委員御指摘の合意制度の下で合意に基づいて証言する証人でありますとか合意に基づいて作成された供述調書の供述者をこの秘匿措置の対象から除外するような規定とはしておりません。

したがいまして、これらの者につきましても、加害行為等のおそれがあり、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがないという、こういった所定の要件を満たす場合には、この氏名、住居を秘匿する措置の対象となり得るものでございます。

○仁比聡平君 今お話しのように、被告人、弁護側の防御権を、実質的に不利益を生ずるおそれがあると認められないというような条件を付しているんですけれども、その判断は一体誰がやるのか。

どう思われますか、皆さん。弁護人、被告人が防御の必要があるかどうか、名前が分からない、住所が分からないでは、その証人が一体どんなことを言っているのか、その反対尋問のしようもないじゃないかというこの判断、ここで実質的な不利益を与えてしまうかどうかの判断を一体誰がやるという仕組みになっているかというと、第一次的には検察がやるんです。この氏名は知らせないと決めるのは検察ですよね。弁護側は当然争います、明らかにせよと。けれども、それを、弁護側の主張を認めるかどうかは裁判所がやるんですよ。検察官だとか裁判官が被告人、被疑者、弁護人の防御権を実質的に侵害するかしないかなんて、何でそんなことが判断できるんだ。それが刑事弁護を破壊してしまうものだという認識は、局長は何でないんですか。

局長、そんな判断が検察や裁判官にできるとでも思っているんですか。

○政府参考人(林眞琴君) この法律案で導入しております証人等の氏名、住居の秘匿措置をとるためには、この証人等に対する加害行為等のおそれがあるということとともに、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがないという、こういったことが要件となっておりますので、検察官がまずこの要件の有無を判断して措置を行おうとした場合に、被告人側からその措置に対して不服申立てがある場合には、今度は裁判所がこれらの要件を判断して、その措置の可否というものが決せられることになります。

こういった制度につきましては、例えば現行の証拠開示制度におきましても、類型証拠や主張関連証拠の開示につきましては、一方で被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度と、当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度というものが、この二つの要素をまず検察官が判断いたしましてその開示をするかしないかを考えます。それについて被告人側がやはり裁判所に裁定を請求したときには、裁判所がその開示の必要性の程度と弊害の内容の程度というものを考慮して結果的に開示の可否を判断するということになっておりますので、このように現行法の下におきましてもこうした被告人の防御に関する事項というものを検察官や裁判官が判断しておるわけでございまして、こういったことに鑑みますと、本制度の措置の要件が被告人側の防御に関することだからといいましても、検察官や裁判所が適切に判断することができないというものにはつながらないものと考えております。

○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間を過ぎておりますので、おまとめください。

○仁比聡平君 時間が来ましたから終わりますけれども、今局長がこれまでにも例があるというふうに言っているものと、うその引っ張り込みが極めて危ぶまれる司法取引におけるうそかもしれない供述調書を弾劾さえできない、反対尋問もまともにできないようにするということとは決定的に意味が違う。

そうした下で、私が今確認をした二百九十九条の四に司法取引書面が当たり得るということは、法制審の議論の中では私は議論になっていないと思います。部分録画の、任意同行や起訴後勾留が義務付けの対象にならないというあの議論も、法制審では議論になっておりませんでした。弁護士さえだますのかと。

そんな中でこうやって強行されようとしているこの法案、断じて許すわけにはいかないと。質疑を打ち切るだとか採決を行うだとか、そんな段階では毛頭ないということを改めて強く申し上げて、質問を終わります。


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