先日、日弁連が開いたシンポジウム「東日本大震災が問う法律家の使命」。被災地の若手弁護士の「我々弁護士が今やるべきは、被災者の役に立つ法と制度をつくること。そのために現場から生の声を届け続けることだ」との力を込めた発言に強く励まされた。それはいまの政治に鋭く問われている構えの問題である。

 復興基本法案について菅総理は「推進体制を一日も早く」とか「現体制ではもう限界」などという。改憲派は大震災を口実に「もっと強い権力を」と、総理の専断で国民の権利を制限する「非常事態宣言」導入まで叫んで憲法審査会規程を強行した。だが、2カ月すぎてなお満足な食事も入浴も保障されない劣悪な避難生活や、原発危機対応の迷走は、「体制がない」からでも「総理の権限が弱い」からでもない。いま真剣に求められているのは、被災者の要求から出発し、現行法の枠を超えて危機打開にあらゆる力を結集する本当の民主主義の力であり、新自由主義からの脱却である。

 上からの青写真や消費税増税切押しつけではなく、憲法13条(個人の尊重)、25条(国民の生存権)に立脚し「生活基盤の再建こそ」という私たちのたたかいは、避難生活改善や二重ローン免除問題など重要な前進をつくり出している。

 原発からの撤退と自然エネルギーの爆発的普及、低エネルギー社会への転換を求めるたたかいは、玄海原発再稼働と上関原発建設の中止への大きな変化を生み出している。

 島根原発の原子炉で、格納容器内に縦横に走る配管や弁、電源や取水口を調査しながら、東電福島第1原発の被害者、労働者への思いがあふれた。

 自由法曹団の全国集会は大弁護団結成の気概に満ちた。

 各地であと一歩まで迫りながらわずかの差で届かず痛恨の結果となったいっせい地方選挙の悔しさ、この激動の情勢にバッジを失っている重大さを深く心に刻みつけ、「政治の劇的な転換を」と心に決めたたたかいを、私は力強く発展させる。(しんぶん赤旗 2011年5月25日)