日本共産党の仁比聡平議員は6月1日の参院法務委員会で、“送還ありき”のシステムのなかで難民不認定を乱発してきた入管行政を批判するとともに、野党の難民等保護法案と入管法改正案でこそ適正な認定手続きを保障できると主張しました。(質問動画はコチラ)

 裁判で難民認定されたウガンダ国籍の同性愛者が、審査請求の時点では不認定とされていた件で、入管庁の西山卓爾次長は、法令に基づき「申し立てが真実であっても難民とは認められない」との判断で口頭意見陳述は行わなかったと言明。仁比氏は、ウガンダでは同性愛者が終身刑になっているとして、難民審査参与員の判断は法令に反していると批判しました。

 仁比氏は、同ケースでは、口頭意見陳述の不実施が決まった直後に弁護士がつき、申請者が本国で暴行や拷問を受けた証拠を提出し審査の再開を求めたにもかかわらず、審査が打ち切られたと指摘。入管の1次審査をただす難民審査参与員の役割が「全く果たされていない」と主張しました。

 世界の裁判官や難民認定審判官が参加する難民法裁判官国際協会の「難民申請及び保管的保護申請の信憑(しんぴょう)性評価―裁判上の判断基準及び適用基準―」は、申請者が証拠提出の機会を与えられなかった場合、「信憑性評価は根本的に誤りのあるものとなる可能性がある」とし、代理人へのアクセス確保の重要性を明記しています。

 仁比氏の質問に、野党案発議者の高良鉄美議員(沖縄の風)は「申請者が主張、立証を行うことは、憲法31条の適正手続きの保障の点からも重要」と答弁。立憲民主党の石橋通宏議員は、野党案は適正手続きの保障を明記し、「国際的に認められる人権をきちんと保障する」と強調しました。

 れいわ新選組の木村英子議員は、再収容や強制送還は「墓場に入れられるのと同じくらいの恐怖だ」と主張し、外国人の生活と命を守る野党案成立の必要性を訴えました。(しんぶん赤旗 2023年6月2日)