○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、五月三十日の大臣の記者会見発言とその訂正についてお尋ねをしたいと思うんですけれども。
言い間違えたと、私のミスですと。もう午前中のその経緯についてはあえて繰り返しませんけれども、私にとっては、大臣の日頃のこうしたやり取りから考えると、にわかに信じ難いと、言い間違えたというのは、と思っていますが、要は、大臣、不可能と、不可能とおっしゃったと、そう訂正されたということだと思うんですよ。
もう一回、議場の皆さんにも何が問題なのかということをまず確認をしますけれども、柳瀬参与員は、二〇一九年の秋に行われた第七次出入国管理政策懇談会収容・送還に関する専門部会の委員として、その年の十一月に、対面審査を千五百人行ってきたという趣旨の発言をされ、それが、その発言が、つまり見付けようと思っても難民はほとんどいないという趣旨の発言として座長の引取りもされて、これが、二〇一一年、廃案になった閣法の立法事実の一つとして語られてきたわけです。
その法案が提出をされて、二〇二一年の四月に衆議院の参考人として柳瀬さん招かれました。専門部会でそうした発言をされてきたから、だからこそお招きになられたんじゃないかなとちょっと私なんかは思うんですけれども、その場で、対面審査二千人を行ってきたと発言をされたんですね。
そうすると、二〇一九年の十一月から二〇二一年の四月までの間、この一年半の間に千五百人から二千人に対面審査の数が増えているので、一年半で五百人増えたと。この数字が大臣に問われたわけです。で、それは可能ですかという問いに対して、朝の記者会見では可能とお答えになったんだけれども、それは言い間違いであって、夜の九時過ぎに不可能というところを言い間違えたんですと言って正したと、それが経緯なんですよね。
そこにはもう争いはないと思うんですが、つまり私が伺いたいのは、つまり一年半で五百件の対面審査を行うことは不可能だというのが大臣の御認識なんだと思うんですが、不可能とした根拠を、大臣、お答えください。
○国務大臣(齋藤健君) 対面審査ですからそれなりに時間は当然掛かるわけでありますので、単純にちょっと今計算をここでするわけにはいかないんですけど、一年六か月で五百件ということでありますと、一日当たり幾らかとかその稼働日数が幾らとか考えると、到底その件数は、そういう計算をするとですけどね、なかなかできかねる数字になるんじゃないかなということを、とっさにその場で、自分で計算する時間もなかったものですから、答えるべきだったところを、私がまあ言い間違えたということであります。
○仁比聡平君 今大臣、とっさにと、あるいはその場で計算できなかったというふうにおっしゃって、それが真実なのかもしれない、大臣の主観としてはね。だけど、大臣、この問題は、私たち野党議員が本省の審判課長から今週二回にわたってレクを受けていまして、度々大臣にレクをしておりますと言ってきている数字なんですね。
先日の月曜日、それから昨日の審判課長のお話を総合しますと、年間最大で、できても五十件から百件というのが口頭審理の現実なはずで、ですから、一年半ということになれば、せいぜい百八十件という数字になる。だから、五百件は不可能というお話なんですよ。入管次長、そうですよね。
○政府参考人(西山卓爾君) 済みません、審判課長が委員に具体的にどのような説明をしたか私は存じ上げませんけれども、審判課長が委員にお話しになったのであれば、それ、その内容はそのとおりなのであろうというふうに思います。
○仁比聡平君 事ここに及んでもこんな曖昧な話でいいんですかと、政府・与党としてこれで本当にいいんですか。皆さんに対する説明資料の主要な部分として、日本に難民申請をしている人たちの中に真の難民はほとんどいないと、だからこうやって送還停止効を三回目以上外したって大丈夫だと書いてあったでしょう。で、そういう趣旨の御質問もされてきたじゃないですか。
例えば、衆議院で審議が最終盤の四月二十五日に、今朝、福島委員が紹介をされた大臣の記者会見があるんですね。もう一度私の方で紹介すると、言及された二千件以上の案件は、全て二次審査で対面審査まで実施した、いわゆる慎重な審査を通った通常の案件でありました、全て難民該当性が低いとあらかじめ選別されていたような案件であったということではありません、そして同参与員の方は対面審査を行って慎重な審査を行った案件を前提として答弁されたもので、御答弁はむしろ我が国の難民認定制度の現状を的確に表しているものと考えていますと。というこの大臣の御認識が、衆議院は二十八日、修正協議だのということがある中で最後採決をされましたけれども、言ってみれば衆議院審議の最終盤に大臣の認識として示されているんですよ。
この大臣のお答えの中にある、同参与員の方は対面審査を行って慎重な審査を行った案件を前提として答弁されたというのは、これは事実と違うでしょう。だって、それは不可能だというのが審判課やあるいは大臣のおとといの夜の訂正の言葉じゃないですか。お分かりになりますよね。二年前の衆議院の参考人としてお話しになられる、その前の一年半に五百件という口頭審理を行うことは不可能だというのが大臣御自身のわざわざ訂正された認識ですよ。その認識を前提に衆議院の審議というのは行われた。もっと遡れば、二一年法案というのはその認識の上に提出された。そして、その骨格がほとんど変わらない法案が今ここで審議をされているわけですね。
この参議院の我々の委員会の審議の中でいよいよ浮き彫りになってしまった。そうすると、一年半で五百人は不可能だと、大臣、今日になっておっしゃっているわけじゃないですか、国会審議の中では。少なくとも、この四月二十五日の同参与員は対面審査を行って慎重な審査を行った案件を前提として答弁されたものだというこの答弁というか会見、これ、この場所で撤回をするべきではありませんか。
○委員長(杉久武君) 傍聴の方は御静粛にお願いいたします。
○国務大臣(齋藤健君) 私のそのときの、二十八日の答弁ですけど、(発言する者あり)あっ、二十五日ですか、二十五日か、そのとき私が申し上げたのは、難民審査員の方は、令和三年の法務委員会において、対面審査を行って慎重な審査を行った案件と、つまりその対面審査は当然慎重な審査になるでしょうという前提で私が答弁をしたということでありますので、そこはそういう答弁だったというふうに理解していただければ有り難いなと。
○仁比聡平君 その答弁の前提が欠けているでしょうと、今日になってそれが覆されているでしょうというのが、立法事実が崩れているのではないかという野党の指摘なんですよ。
委員長、この時期になってですけど、私、今週、野党のヒアリングに二度にわたって審判課長が発言をされたその認識について、委員会にちゃんと報告をしていただいて、その意味合いについて審議を徹底して行わさせていただきたいと思いますが、御検討をよろしくお願いします。
○委員長(杉久武君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○仁比聡平君 この問題は、大臣、私は、我が国の難民申請者に難民はほとんどいないということではなくて、逆に我が国の難民認定の実務が、その難民認定の基準の面でも、それからインタビューを始めとしたデュープロセスの面でもいかにずさんに行われてきたかと、これまで、そのことを明らかにしつつあるんじゃないかと思うんですよ。
これまで、ブラックボックスの中で何が行われているかよく分からなかった。何しろ、臨時班という存在があるというのは、ほかの難民参与員の方々は全く知らなかったんですよ。何だか、そんな特命部隊みたいなものが送還ありきで認定申請を次々と不認定にしてきたのではないのかということが私は重大な問題として突き付けられているんだと思うんです。
そこで、さきの委員会で、ウガンダ国籍のレズビアン当事者の、口頭意見陳述を行われずに不認定とされた、これが裁判によって覆され確定したという、この件について確認をしたいと思いますけれども、まず。
西山次長、口頭意見陳述の機会を与えなかったこととした、与えないこととしたという参与員の判断を法令にのっとってと答弁をされました。この法令というのは何の何条のことですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 失礼しました。
入管法で、読替え後の行政不服審査法第三十一条第一項でございます。
審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者、括弧、以下この条及び第四十一条第二項第二号において申立人という、括弧閉じる、に口頭……(発言する者あり)いや、お尋ね……
○仁比聡平君 そんな全部条文読んでどうするんですか。
つまり、現行法六十一条の二の九の第三十一条第一項ただし書についてのその読替規定、六項ですね、つまり。申述書に記載された事実その他の申立人の主張に係る事実が真実であっても、何らの難民となる事由を包含していないことのその他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが適当でないと認められる場合、この法令にのっとったと、そういう意味ですよね。
○政府参考人(西山卓爾君) はい。この規定に基づいて判断されたと考えております。
○仁比聡平君 大臣、それが私はとんでもないと申し上げたいと思います。
ウガンダでつい最近、とうとう同性愛者を死刑にするという法律に大統領が署名をしたというのは大臣も御存じだと思うんですけれども、そうした国から保護を求めて逃れてきている。で、まあ一次審査といいますか、その上陸時からのインタビューの中で、ウガンダから逃れてきて、私は同性愛で、警察から暴行などを受けてきているということは入管も知っているんですよ。なのに、その申述、申立てが真実であっても難民とは認められないってあり得ないじゃないですか。
判決では、その申述が真実であるから難民と認められたんでしょう。話も聞かずに、ウガンダから逃れてきているその難民認定申請者を、難民ではないと、言っているとおりだとしても難民ではないと、そういう判断をした入管というのはこれ間違っているでしょう。違法でしょう。法令にのっとって聞かなかったんじゃなくて、法令に違反して聞かなかったんじゃないですか。入管の今の一次審査というのはそういう性格のものでしょう。
大臣、このウガンダの事件、勉強されたと思うんですけど、どんな御認識ですか。
○国務大臣(齋藤健君) このケースは、一回入管の方で不認定をした、その後訴訟になって、その過程において、またその申立人の主張を裏付けるような新たなものが出てきて、それによって覆ったというふうに理解をしております。
○仁比聡平君 全然、おととい御答弁をされて以来勉強したとは、私、到底思えない。入管庁のメモをそのままお読みになっているんじゃないんですか。
出身国情報、ウガンダのNGOのHRAPFの報告書について、入管、つまり国、大臣は、およそ証拠としての価値はないと裁判上ずっとし続けました。となると、これ難民参与員はもちろんのこと、一次審査の段階でもこの出身国情報というのは参照していないんじゃないですか。
前回の質疑で、この難民参与員の仕事を入管職員が補佐をする、補助をするという事務局あるということが答弁をされました。
その人たちが事件の記録だとかその概要だとか、あるいはメモだとかをどうやら作る審査の手続になっていて、出身国情報というのもその中で提供されるということだと思うんですけど、そこにはこれ含まれていなかったですよね。いかがですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 個別案件についての資料の中身についてのお尋ねですので、お答えは差し控えさせていただきます。
○仁比聡平君 この事件では、口頭意見陳述をやりませんと難民参与員が決めた直後に弁護士が付いていまして、速やかに、この方が暴行、拷問を受けたときの傷の写真や、あるいはウガンダ本国の病院の医療の記録などの資料をその難民参与員の審査請求の手続として提出をして、そして審査を再開して意見陳述をちゃんとやってくれと、参与員ちゃんと話聞いてくれと頑張っているんですよ。ところが、それを全く聞かずに打ち切っている。
私は、この弁護士、代理人の活動も難民参与員まで届いたのかどうかもよく分からないなと疑っていますよ。事務局としての入管が、もうあれは話、決まった話、だからもう難民参与員には届けないというぐらいのことをやっているんじゃないのかと。それが、送還ありきのノルマまで決めて、一体のベルトコンベヤーのようなシステムとして難民不認定をずっと乱発してきたこれまでの難民行政の実態ではないのかと、そう疑われたってしようがないでしょう、次長。
その疑問に対してあなた方はお答えにならないじゃないですか。そういう議論のまま衆議院の審査を通し、そして、その時間をそろそろ超えるということで、もう質疑を終局しようなんというのは私はあり得ないと思います。
この不認定ありきで進んでいくというのが、そもそも一次審査、入管が行う一次審査を正すというのが難民参与員を要にした審査請求の役割のはずですけど、そこが全く果たされていないと。このウガンダの事件の例でも、それから柳瀬さんの発言をめぐる大臣の記者会見発言を撤回する、訂正するという件でも、そこが私は今明らかになりつつあるんじゃないかと思うんですね。
そこで、憲法の専門家としても頑張っておられる高良発議者にお尋ねをしたいと思うんですが、皆さんのお手元に配付した資料で、難民法裁判官国際協会という団体の冊子の一番冒頭の表紙のところをお渡ししました。
これは、世界の裁判官や難民認定の審判官が多数参加をしておられる協会で、UNHCRとも協働しながら難民法を浸透させ、世界における調和的な難民認定を目指しているという協会の資料なんですけれども、ここの中に、難民申請及び補完的保護申請の信憑性評価、あっ、ごめんなさい、信憑性評価、裁判上の判断基準及び適用基準という冊子の中で、瑕疵のある又は不適切な手続により、自己の主張及び裏付けとなる証拠を提出する公正かつ合理的な機会が申請者に与えられなかった場合、信憑性評価は根本的に誤りのあるものとなる可能性があると記述してありますが、高良さんの御認識はいかがでしょうか。
○委員以外の議員(高良鉄美君) 御質問ありがとうございます。
申請者が十分な主張、立証の機会を与えられず、難民と認定されるべき人が送還されるということはあってはなりません。申請者が主張、立証を行うということは憲法三十一条の適正手続の保障の点からも重要であり、御指摘の記述は極めて妥当だと思います。
国が個人の処分を決定する場合には法律に基づいて適正な手続を保障しなければならないという法の原則があります。この適正手続は、手続が適正であるというだけでなく、その内容が公正であるということも要求されます。法の支配の重要な内容であるこの適正手続は、デュー・プロセス・オブ・ローあるいはデュープロセスと言われています。このデューというのは、本来あるべきという意味なんですよ。ですから、残念ながら政府案には、申請者に十分な主張、立証の機会を与えておらず、手続保障の面から極めて問題があると思います。
議員立法の案では、代理人の同席を認め、それから録音、録画を原則義務付けをするということなど、申請者に十分な主張、立証の機会を制度的に保障し、難民等の適切な保護を図ることとしている点からも、これは適正手続を保障していると言えると思います。
○仁比聡平君 ありがとうございます。
石橋発議者に、続けまして、その同じ文書で、申請者が、法律扶助を得られるか否かにかかわらず、適格のある法的な代理人又は他の適切な代理人にアクセスできることを可能な場合には常に確保するべきであると、これが事実上不可能な状況にあっては、裁判官、審判官は、公正かつ実務的な面接及び評価が行われることを確保するため、より積極的に関与する役割を果たすべきであるというこの国際基準が示されていまして、川合委員が度々立会い含めて認めるべきだとおっしゃっているとおりだと私も思っているんですけど、石橋議員の、発議者の御認識はいかがでしょうか。
○委員以外の議員(石橋通宏君) 御指摘のあった同文書のこの記述、さらには委員の御指摘、全くそのとおりだと思います。
もうこれ皆さんお分かりだと思います。保護を求めて日本に来る、そういった申請者の方々、これ、日本語ができない方々もおられるわけです。さらには、もう命からがらに逃げてこられて、全くそれを証明するような資料とか材料とかそういったことへのアクセスもない方もおられるし、日本の様々な複雑な手続を理解されない、でも、それで保護を求める方々もおられるわけです。
そういった方々に対してきちんと、まさに今、高良発議者が答弁されたとおりで、デュープロセスとしてしっかりと代理人へのアクセスを認めて、そして様々な権利保障のために、そういった立証手続とかそういった提起、それを補佐する方々、それへのアクセスを保障すること、これは我が国の憲法第三十一条の適正手続の保障の精神からも当然に必要とされることだというふうに思っております。
ですから、私たちの野党案では、今、高良発議者からあったような、こういったデュープロセスをきちんと保障するということをしっかり明記をさせていただいておりますので、これによって国際的に認められている人権をきちんと保障するということを提案させていただいておるところでございます。
○仁比聡平君 是非実現をしたいし、それから、このデュープロセスや人権保障に反するこれまでの入管の実務、その実務を支えてきた法にはない山ほどの通達や通知があるわけですよ。この参議院の委員会の審議で私が皆さんに配付したり、墨塗りを開いていただいたり、いろいろしてきた文書というのはその中のごく一部ですよね。だから、ブラックボックスと言われる。
これ、私は、この際全部明らかにして撤回をさせるべきだと思います。これまでの入管実務を支えてきたものの中に極めて人権侵害的なものがある。これをこのままにして難民に対する送還停止効を三回目以上になったら外すということになったら、一体どうなるかと。そうした通知の中の一部を本当は御紹介したいところでしたけれど、時間が迫ってきているので、そこはまたの機会を是非つくっていただきたいということを申し上げた上で、様々な事情で国籍国に帰るということができない、あるいは、日本で生まれ育った、一緒に学んでいる、日本社会の中に深く根差しているのにその在留が認められないという方々のことを私はずっと問うてきました。その中で、参考人としておいでになったあのラマザン参考人と一緒に「東京クルド」という映画に出演をされたオザンという人に東京入管は、仮放免中で出頭するそのときの面接でこんなふうに言うんですね。俺、仕事してないじゃん、あっ、俺、仕事しないじゃん、どうやって生きていけばいいというオザン君に対して、それはあなたたちでどうにかしてほしい。次の回には、仮放免だからいつ終わるか分からない、入管の中に捕まることもあるし、無理やり帰されることも覚悟してください、難民二回目の申請だから難民としてビザをもらうのは無理だろうからと入管から言われ、オザンさんは好きな人と結婚するよと言うんですね。そうしたら入管職員は、結婚したからビザ出るわけじゃないからねと突き放し、帰ればいいんだよ、ほかの国行ってよ、ほかの国と言い放つんです。
このほかの、別の事件の裁判を代理人として担当している弁護士にこの間伺いました。訴訟中の家族に対して執行第二部門の職員が小学生の子供たちがいる前で、裁判中だって親はいつでも収監、収容できるんだと、子供は児相行きだと述べたそうです。そうしたら、小学生、中学生だった、ああ、小学校の中学年だった男の子がその後毎日、いつパパとママは捕まるの、僕はいつ児相に行くのと聞くようになって、家族での弁護士の打合せのときにその子が弁護士に土下座をして助けてくださいと頼んだそうですよ。
そのように、仮放免や、あるいはその取消し、延長の拒否によって再収容するということをまるで武器のようにして無理やり帰国させると。これはノン・ルフールマン原則に反するというのが多くの研究者の皆さんの声だと思うんですよね。
私は、そうした実態について発議者がどんなふうにお考えになるのか、私の持ち時間があと二分になって申し訳ないんですけど、木村発議者にお尋ねしたいと思います。
○委員以外の議員(木村英子君) 難民申請者の方が今も命を奪われるかもしれない本国に送還されてしまうのではないかという不安な日々の中で暮らしている現状に私自身の経験が重なり、恐怖を感じました。それは、幼いときから施設に預けられ、閉鎖された中で虐待を受ける生活に耐えられず、十九歳のときに地域へ飛び出してきた私にとって、やっとの思いで築いてきた三十八年間の地域での生活が、介護者がいなければ即施設に入らざるを得ない現状があるからです。
私にとって施設へ戻されることは墓場に入れられるのと同じ恐怖を感じます。難民認定を待つ人たちにとっても再収容や強制送還は墓場に入れられるのと同じくらいの恐怖だと思いますし、生きる意欲すら奪われてしまうと思います。ですから、現在、日本で難民認定を待っている外国人の人たちに対していつ強制送還されるのか分からない恐怖を与え続けている入管行政の人権意識のなさに恐怖と怒りを感じます。
命以上に大切なものはありません。その命が祖国に帰され危険にさらされるとしたら、国連からも勧告を受けているように、この日本でその恐怖を抱いている難民の方々を保護し、安心して暮らせるようにすることが最も大切であり、日本の役割だと思います。
難民申請をしている外国人の方の生活と命を守るために、野党四会派で提出した法案を成立させることが必要だと私は強く感じます。
以上です。
○委員長(杉久武君) お時間になりましたので、質疑をおまとめください。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
時間がなくなりましたので、是非次の質疑を続けさせてもらいたいと思います。
政府案が送還停止効をなくすというその例外、三回目以上であっても認めるよと言っているのは、申請に際し、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を行うべき相当の理由がある資料を提出した場合と言うんですよね。その相当性を判断するのは誰かと、それは入管庁ですとずっと言い続けているんですから、そんな法案は断固廃案にするほかないと、野党対案を何としても実現をするというために全力を尽くしたいと思います。
ありがとうございました。