2015年の戦争法国会で、日本共産党が追及した防衛省の内部文書を“漏えい”させた容疑で違法な取り調べを受けた現職自衛官が国に損害賠償を求めた裁判の第4回口頭弁論が12月15日、さいたま地裁(針塚遵裁判長)で行われました。その中で、内部文書が「存在しない」とする安倍晋三首相の国会答弁が虚偽だった疑いが、ますます濃厚になりました。
問題の文書は15年9月、仁比聡平参院議員が国会で追及したもの。安倍首相はじめ中谷元防衛相(当時)らが「(防衛省内に)同一の文書は存在しない」などと否定していました。
国会では、文書の存在を否定する一方で、防衛省の情報本部に勤務する大貫修平3等陸佐(43)を取り調べていました。
この日の裁判で、国側は書面を提出。そこでは、仁比氏が示した文書と防衛省が持っている文書が“別物”であることを強調しています。
“別物”とする根拠が「(仁比氏の文書の)文中の一部には下線が施されていた。(中略)下線が施されていない点において、異なる」というもの。他には、文章の末尾を示す「了」の位置がずれたものが1カ所あることなど、体裁の違いを指摘。肝心の内容については、違いをあげて反論していません。
大貫さんの代理人の髙木太郎弁護士は「国側は大した違いをあげることができず、文書が同一だと事実上、認めるものだ。安倍首相の国会答弁が“言葉遊び”だったことがわかった」と指摘します。
内部文書は、自衛隊の河野克俊統合幕僚長と米軍高官が14年12月に米国でおこなった会談を記録したもの。この会談で、日本国内で法案が具体化される前だった時期に、河野統幕長が戦争法の成立見通しを米軍幹部に伝えていました。自衛隊トップが外国軍の首脳に、こうした発言をしたことは、文民統制を根底から崩すものとして、大問題となりました。
大貫さんは今年9月に「嫌疑不十分」で不起訴となっています。(しんぶん赤旗 2017年12月16日)