自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が2014年12月の総選挙直後、米軍に対して戦争法案の成立時期を「来年夏までに」と伝達していたことが、9月2日の参院安保法制特別委員会で明らかになりました。日本共産党の仁比聡平議員が独自入手した統合幕僚監部の内部文書「統幕長訪米時の(ママ)おける会談の結果概要について」をもとに暴露したものです。仁比氏は「国会無視、大問題だ」と追及しました。(質問動画はコチラ)
同文書によれば、自衛隊は、安倍晋三首相が4月末の米上下両院合同会議で「この夏まで」の法案成立を表明した半年近く前から、米側に法案の成立時期を示しています。小池晃副委員長が8月11日の同特別委員会で暴露した統幕内部資料(戦争法案の8月成立を前提にした運用計画を記した文書)に続いて、国会も国民も無視した自衛隊の暴走、対米従属の実態が再び明らかになりました。
文書は、河野氏が14年12月17日から18日にかけて米国防総省や米軍高官7氏と相次いでおこなった会談の概要です。同24日に提出され、文書には「取扱厳重注意」と記されています。
それによると、河野氏は12月17日のオディエルノ陸軍参謀総長との会談で、戦争法案について「予定通りに進んでいるか? 何か問題はあるか?」と問われ、「与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている」と答えています。
同18日のダンフォード海兵隊司令官との会談で、河野氏は沖縄新基地建設をめぐって「辺野古への移転やキャンプハンセン、キャンプシュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と陸上自衛隊との協力が一層深化すると認識している。これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか」とまで進言しています。
米軍と自衛隊の共同使用をめぐっては、今年3月の衆院予算委員会で穀田恵二議員の追及に対し、中谷防衛相は「代替施設における恒常的な共同使用というのは考えていない」と答弁しており、これと矛盾しています。
仁比氏が暴露した内部文書について中谷元・防衛相は「いかなる資料か承知していないのでコメントすることはできない」と答弁。仁比氏は、内部文書を中谷防衛相に手渡し、文書の存在を確認して委員会に正式に提出するよう求めました。(しんぶん赤旗 2015年9月3日)