2008年3月26日(水)「しんぶん赤旗」
旅券取り上げ 時給300円
日本企業がベトナム人研修生に違法労働
仁比議員が追及 政府「調査する」
旅券(パスポート)を取り上げ、最低賃金をはるかに下回る時給三百円で労働を強いる―。日本の企業が、外国人研修制度によって、ベトナム人に無法な働かせ方をさせていることが明らかになりました。日本共産党の仁比聡平議員が3月25日の参院法務委員会で、受け入れ機関を設立した日本側企業=エイライン社と、同社がつくったといわれる在ベトナムの送り出し機関の実態を示し、告発しました。
同制度は、外国人を日本企業が受け入れ、技能を習得させるのが建前。政府は一九九〇年に「研修」という在留資格をつくり、その後、一年間の「研修」後に「実習生」として労働が事実上、可能な形へ緩和しました。
仁比氏があげたのは、受け入れ機関を設立したエイライン社の「研修マニュアル」と、送り出し機関コクヤンが労働者に署名させる契約書です。
「マニュアル」は、「優れた技術を勉強する」「しかし実際は仕事をする」と明記。「残業や休日出勤など本来してはいけない。していることが入管にバレてしまうと、ベトナムに送り返される!」と口止めした上で、残業と休日出勤の給与額を時給三百円としています。
また、「パスポートを企業で保管してもらう」ことや、月三万円ずつの積み立て=強制貯金まで“指導”しています。
契約書も残業手当を時給三百円としています。
仁比氏は、愛知県労働組合総連合が制度改善を要請していることを示し、「残酷な人権侵害だ。こんな実態が許されるのか」と迫りました。
法務省の稲見敏夫入国管理局長は「事実か調査する」とし、「確認できれば不正行為にあたる」と答弁。鳩山邦夫法相も「絶対に許されない」「制度を安価な外国人労働力の購入方法と考えるあり方は直さなければいけない」と述べました。
- 会議録全文→法務委員会20080325