しんぶん赤旗九州・沖縄面2008年5月15日
諫早湾干拓 漁民の声聞き開門を
参院委で仁比議員 有明海再生へ決断迫る
日本共産党の仁比聡平議員は、5月12日の参議院決算委員会で諫早干拓と有明海再生について質問しました。
仁比議員は、諫早湾内の小長井漁民、湾口の大浦漁民の調査を踏まえ、特産のアサリ貝について「諫早湾のアサリの種子はかつて売るほど生まれた。干拓事業が始まり、一九九七年のギロチン後は、六・七月に稚貝をまいても九月までには斃(へい)死してしまう。
今は十月から十一月に大きい貝を入れて翌年五月ころに収穫している」と潮受け堤防ができてからの激変ぶりを指摘。「ところが、諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の短期開門調査が行われた〇二年は、干拓後は夏場で死んでしまうアサリが年を越し、翌年の春アサリが取れた。ある漁民の漁場では90%生きていたという。漁民の実感にうそがあると思うか」とただしました。
若林正俊農水大臣は、「うそがあるかどうか申し上げられないが、他の判断として開門調査後にアサリの斃死が確認されている」と答弁しました。
仁比議員は、「被害調査の際に、死んだアサリの殻をよそから集めて写真を撮った疑いがある等の小長井の漁民からの指摘がある」と紹介し、短期開門調査が行われた後に「久々にタイラギが立った」「アサリが増えた」という実感を否定する具体的根拠をもっているか」と質問。農水省中條康朗農村振興局長は「特に具体的な調査は行っていない」と答えました。
仁比議員は、「干拓事業について立場は違っても、有明海漁業の再生は政府にとっても重要な政策課題だ。漁民の実感を有明海沿岸各地で悉皆(しっかい)的に聞き取り、短期開門の有明海漁業への影響をきちんと検証すべきだ」と迫りました。
また、佐賀県有朋水産振興センターの、「タイラギの生息状況」調査によると、九七年の四月に潮受け堤防のギロチンが落とされて以降壊滅状態だったタイラギが、短期開門調査が行われた後の〇三年秋には、有明海東部および中央部に生息が確認されました。
仁比議員はこの事実を示し、「漁民たちは、諫早湾内・有明海の漁業を壊滅させたのは潮受け堤防であり、開門なしに海は戻らない。中長期開門への政治決断をすべきだ」と強調しました。