2008年5月13日(火)「しんぶん赤旗」

諫早干拓事業 谷川政務官の政治団体関係者

 

入植企業の新役員に 仁比議員「資格要件問われる」


仁比質問に天をあおぐ谷川弥一氏
(写真右から2人目)

長崎県の国営諫早湾干拓事業で干拓された農地に、地元選出の農水大臣政務官、谷川弥一衆院議員(自民党)と金子原二郎長崎県知事の親族が役員(問 題発覚直後に辞任)を務める企業が入植した問題で、親族の辞任をうけ新たに就任した代表取締役が、谷川氏が代表を務める政治団体の会計責任者であることが5月12日、日本共産党の仁比聡平議員の調べで分かりました。

仁比氏は、この日の参院決算委員会で、親族企業の入植資格の選考について質問しました。この親族企業は「TGF」(長崎県大村市)。谷川政務官の長男が代表取締役、その配偶者で金子知事の長女が取締役でした。

入植事業は、県が全額出資する農業振興公社が用地取得した上で、格安でリースするというもの。TGFは全農地六百七十二ヘクタールの約5%にあたる三十二ヘクタールを借り受けました。

問題が指摘された直後の三月二十日、五人の取締役のうち、谷川氏の親族ら三人は辞任。代わって代表取締役に就任したのは、谷川氏が代表を務める自民党長崎県第三選挙区支部の会計責任者を務める人物でした。もう一人は、別の親族会社に所属する人物。

仁比氏は、これらを指摘した上で、同社がそもそも干拓地入植の資格要件を満たしていないのではないかという疑惑を追及しました。

入植は、農業生産法人であることが条件。農地法によれば、法人の資格は▽法人の理事・取締役の過半数が法人の行う農業に常時従事する▽法人の行う農業に必要な農作業に政令で定める日数以上(百五十日)従事しなければならないとしています。

TGFは昨年一月に設立。辞任した三人は谷川氏の長男が経営する複数の建設土木会社の取締役にも就いています。

農水省の中條康朗農村振興局長は「入植者の審査は県が行っている」などと答弁。仁比氏は「政府系金融機関も融資している。要件を満たしていないなら選考取り消しも考えるべきだ」として調査するよう求めました。