○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まずは、四人の参考人の皆さん、本当に今日はありがとうございます。
お話を伺っていまして、この合区が導入された二〇一五年、平成二十七年の、極めて乱暴な国会審議でした。我が党は、当時、合区は特定の県にのみ著しい不公平をもたらす不合理な制度であると断固として反対をいたしまして、私も本会議場で反対討論を行いましたけれども、今日お話をいただいている、以来の選挙での各県民の皆さんの憤りというべき声は、私自身、四県を含む西日本十七県を活動地域にして全国比例で議席を託していただいています。それだけに、とてもよく分かるという思いがしているんですね。
その上で、ちょっとこれまでの皆さんと観点が違うとは思うんですが、人口減少、高齢化の問題について。
地方で進む人口減少、高齢化と東京一極集中と、この現象というのは、私は、国の経済政策に起因するところが大きいと思います。特に、地域別最賃の格差、医療の格差、介護、保育、福祉分野の低賃金、あるいは農林漁業者の価格保証、所得補償の不十分さ、中小業者支援などのこの国の政策の抜本的な転換、それから、知事、副知事の皆さんとお立場はちょっと違うかもしれませんけれども、消費税の減税、廃止、こうしたものが私、求められると思うんですが、その点いかがかというのが一問と。
それから、二問目。こうした国の経済政策というのは選挙制度と深く関わっていると思います。先ほど来、投票率の低下というお話もありますけれども、本来多様な民意が反映されなければならないのに、それとは逆に、選挙区から一人しか選ばれないという、その小選挙区の弊害ですね。合区になると、今の現状でいうと、複数、二つの県の、県から一人しか選ばれないという、ちょっととんでもないことになるわけですが、そうした弊害を合区は一層深刻にしているし、お話があったように、地域、地方の声が届かないということになれば更に悪循環をするということになっているのではないかと思うんですが、その二問について、四人の参考人の皆さん、順にお答えいただければと思います。
○参考人(平井伸治君) 人口減少問題や高齢化、少子化が進む、これについては恐らく構造的な問題があると思います。
それは、仁比議員と一つ共通できるかなと思いますのは、やはり住みにくさ。子供を産み育てやすい、そういう社会観がやはり今得られていないと。そういう意味で、少子高齢化対策というのは、特に子育て政策など待ったなしのことがあるだろうと。実は、若手の知事を中心に、このことはかねて訴えておりました。
そういうような改革を行い、そしてあと、大都市に一極集中してしまいがちなこういう経済の状況、これを是正をしていくことなどを併合的にやっていくことで何とか打開策は得られないか。つまり、社会減とそれから自然減、これを両方解消していかなければならない。そういう意味で、そうした幾つかの構造的な改革ということを進めることで初めて一歩ずつ前進するんだろうと思います。
正直、自分も実は少子化対策一生懸命やっている県ですが、効果はあります。ですから、是非国会の皆様にも御理解いただきたいと思うんですが、少子化対策など、投資で投入したお金がそのままアウトプットにきれいに、例えばこれだけ出生率が上がったというのは分かりにくいし、その因果関係は見えにくいですね。ただ、現時点では、鳥取県では例えば中山間地の保育料は全部無料にしました。こういうようなことをやって、現に上がったんですよね。やっぱり出生率は上がるわけです。そこのメカニズムは、恐らく子育て世代の安心感というのを媒介にしていくんだと思います。そういう意味での構造改革が必要なんではないかと思います。
それからあと、合区問題との関連で定数が一ということがどうかということでありますが、これは二つの世界観があると思います。
アングロサクソン系の国々、アメリカやイギリスなどは伝統的に小選挙区を好みます。そのいいところは、政権交代を引き起こしやすく、国民の価値観の転換を大きな政治のダイナミズムにつなげ得ることです。ただ、多様な民意を反映するという意味では、ヨーロッパで発展した比例代表制が有利性があります。ですから、こういうようなことを折衷的に日本の選挙制度改革の中でも取り入れてきたのが現状なのではないかと思います。
そうしたいろいろな選挙制度の特性を踏まえながら、議論を深めていっていただきたいと思っております。
○参考人(丸山達也君) 人口減少問題につきましては、私は、我々四県は過疎県でございますが、過密過疎の解消というのは、人口減少、過疎対策をするというのは、人口過密地域の過密度を緩和して、この人口を、過疎地域の人口を増やしていく、つまり、過密過疎の問題を一遍に解消できる非常にいい政策だと私は思っています。
つまり、東京はいいところですけれども悪いところも大変ありまして、私も子育てしましたが、公務員の住宅で子供を持てるのは二人が上限です、個室をあげようと思えば。そういう住環境まで考えると、出生率を二以上を目指すのはもう物理的に不可能な状況ですが、やっぱり過密を解消しなきゃいけないという意味でも、少子化対策なり、本当に若い世代に、そういう若い世代の年収で子育てに挑んでもらうということを考えれば、過疎も解消しなきゃいけませんが、過密も解消しないと日本全体の出生は上がっていかないと思っておりまして、そういった意味でこの仕事の分散の政策を取っていただくというのが全国民にとってハッピーなのではないかと思っております。経済政策というよりは、そういうその人口減少問題を解決しようと思えば、過密も、過密の問題も解消していかないといけないという観点が必要なのではないかというふうに思っております。
合区によってこの多様な民意の反映が一層困難になるのではないかということにつきましては、我々のような小さな県のそういう訴えというのがより届かなくなっているということでございますので、そういった早急な解消を是非とも、どんな形でも結構ですので早急にお願いをしたい。
しかも、最高裁がこんな形で、申し訳ありません、最高裁の判決を解釈しなきゃいけないような、こんなことでこの選挙制度が動いてしまうような、こういう不安定な状況を解消しなきゃいけないということも課題だと思いますので、本当に大変な大議論だと思いますけれども、そういった意味で安定かつ早期的な解消をお願いしたいと思っております。
○会長(中曽根弘文君) 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
○参考人(勝野美江君) ありがとうございます。
徳島県も人口減少で非常に苦労している県でございますが、子も減っておりますし、人手不足の問題というのも多々ございます。そういう中で、地方創生ということで非常に取り組んでおりまして、自殺率につきましては日本で一番少ない県でもございます。そういう自然豊かな県であるからこその良さというのもありますので、ますます地方創生の取組を進めていくことが重要というふうに考えております。
もう一点の地方の声が届かないという点、やはりこれは、今後も人口の少ない選挙区の合区が進めば、ますますそういった傾向が強くなるというふうに考えておりますので、やはり解消ということは重要だというふうに思っております。
○参考人(井上浩之君) 高知県、全国で去年一番少ない出生数ということで、やっぱり少子高齢化、全国で十五年ぐらい先んじて進んできたという県でありますので、そうした少子化対策につきましては、県としても十分力を入れていきたいと思っておりますし、国の対策についても期待もしておるところでございます。
合区により地方の声が届かなくなったのではないかということにつきましては、先ほど冒頭申し上げたとおり、そのとおりだというふうに思っております。
以上です。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
終わります。