国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)で潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた請求異議訴訟の差し戻し審第4回口頭弁論が12月7日、福岡高裁(岩木宰裁判長)でありました。
開門を命じた2010年12月の同高裁確定判決から10年が経過しましたが、国は確定判決を守らず、今も開門されていません。勝訴原告の漁業者(58人)は、亡くなったり漁業をやめたりして45人になっています。
国側は、開門の強制が漁業者側の「権利の乱用」に当たることや漁獲量の増加を準備書面で主張。
これに対し漁業者側は、権利の乱用の具体的説明がなく、漁獲量のデータを自ら都合のいいように解釈していると反論しました。「国が確定判決を守らないことを裁判所が認めるなら、誰も裁判所を信用しなくなる。司法の在り方が問われている裁判だ」と強調しました。
報告集会で弁護団の馬奈木昭雄団長は「私たちは憲法や確定判決に反して権力むき出しの国に一歩も引いていない。みんなの力を結集しよう」と呼びかけました。
佐賀県太良町の漁業者(64)は「カキもタイラギも取れず冬が越せない、とほとんどの漁師が思っている。何とか開門を実現させて、一日でも早く元の海に戻したい」と力を込めました。
弁護団で日本共産党の仁比聡平前参院議員が参加。野党各党がメッセージを寄せました。(しんぶん赤旗 2020年12月8日)