(写真)質問する仁比そうへい議員=9日、参院予算委
日本共産党の仁比そうへい議員は9日、参院予算委員会で、広島の原爆投下後に降った「黒い雨」による被爆の実相を直視し、被爆者援護法の対象となる地域指定を拡大することを強く求めました。
長妻昭厚生労働相は「3月末に結果が出る広島市・県の調査は大規模なもので、重く受け止めている。対応が必要であれば検討したい」と述べました。
「黒い雨」は原爆投下後、上空に舞い上がった「死の灰」、チリ、ススなどを含んだ放射性降下物です。
仁比氏は、「地域指定は核兵器の非人道性を直視するうえでも、被爆者援護のうえでも重い意味をもつ」と指摘し、「同じように『黒い雨』を浴び、重い健康被害に苦しんできた被災者を置き去りにしてきた地域指定の根拠は『宇田降雨図』だけだ」と追及しました。長妻厚労相は「『宇田降雨図』しかない」と認めました。
仁比氏は、調査した研究者自身が「不十分」「暫定的なもの」と認めている「宇田降雨図」を金科玉条にして地域拡大を拒んできた前政権は非科学的であり、「見直し、検討すべきだ」と主張しました。
仁比氏は「『黒い雨原爆被害者の会』の方の証言は、まさに被爆者そのものの声だ。直接被爆者に会って訴えを聞くべきだ」と迫りました。長妻厚労相は「広島市・県の調査結果の中身をよく分析し、厚労省としても見解を出し、その中で会うことも考えたい」と述べました。
2010年3月10日(水)「しんぶん赤旗」