○仁比聡平君
私は、日本共産党を代表して、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
改正案は、高度外国人材の受入れ促進のためとして、新たな在留資格、高度専門職一、二を創設するものですが、その基準となる高度人材ポイント制においては、既に専門・技術、経営・管理の両分野で年収要件が三百万円に引き下げられ、学術研究分野では年収要件は撤廃されています。これまでのポイント制認定者についての調査を見るなら、日本人労働者と比べ年収や役職、業務内容などが特段に高いといった水準ではなく、企業の多くが外国人労働者に日本人と同じ業務内容と同程度の報酬を想定しているのが現実です。これでは高度人材といいながら、外国人そして日本人共に労働者の賃金引下げや労働条件の悪化につながる懸念は払拭できないからです。
また、自動化ゲートの利用拡大により、個人識別情報としての指紋情報の蓄積は上陸審査時に取得される指紋とともに更に進むことになりますが、ここにはプライバシー権の著しい侵害のおそれに対する有効な歯止めがないからです。
なお、旅行者の利便に資するクルーズ船の入国審査の簡素化、入国審査の円滑化など、審査官への調査権限付与は賛成である旨を申し添えて、討論を終わります。