○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、最高裁から御提出をいただいた民事訴訟手続のデジタル化に係る業務仕様書を抜粋して皆さんにお配りをさせていただいています。
三枚目、御覧いただければお分かりですが、ちょっとそのまま読みます。本業務は、第二次開発のうち、令和六年十一月の稼働を目指すe提出、e記録管理について、アプリケーションの設計、開発、移行及びクラウド基盤の構築、運用保守並びに既存のデータセンターとクラウド基盤の間を接続するネットワーク導入及び本システムの稼働に必要となるハードウエア(最高裁判所のWAN拠点に設置するネットワーク終端装置等を想定)、ソフトウエアの賃貸借保守を実施するものであると。
こうした開発を今、最高裁で昨年の民訴法改正を受けて進めていらっしゃるわけですが、これが本改正に伴う様々な民事手続にも活用されていくということなのだろうと思います。従来の事件管理のシステムとの機能的連携も進めていかれるということなんですが、お尋ねをしたいのは、証拠を含む事件の記録、これがこのクラウドに記録されると、そういうことですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 今御指摘のございました現在開発を進めております民事訴訟手続に関するシステムは、民間事業者が提供するクラウドサービスを活用しまして、そこに当事者や代理人等がインターネット経由で利用できるシステムを構築する方針で検討しておるところでございます。
○仁比聡平君 その民間事業者が構築するクラウド基盤と情報流出という、これまでも少し議論ありましたけれども、この危険について、最高裁は過去例をどのように認識して防止策を構築するんですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
クラウドからの情報流出という点については、最高裁としても十分に懸念があるということを踏まえて対応していかなければいけないというふうに思っております。
この点につきまして、政府におきましては、政府機関の遵守すべきセキュリティーに関する各基準が定められておりまして、その中には、そのクラウドサービス利用に関する標準ガイドラインなどクラウドサービスに関する基準もございます。
裁判所としましても、こうした各基準の内容を踏まえまして、御懸念のような事態が生じないように、必要、適切なセキュリティー対策を遺漏なく講じてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、ちょっとおぼつかないといいますか、本当に大丈夫なのかと思っておりまして。
今年三月二十八日の日経新聞に、省庁クラウド攻撃相次ぐ、提供の富士通、情報流出もという記事が載りまして、委員の皆さんも御覧になったんじゃないかと思うんですが、冒頭のリードの部分だけ読みます。富士通が政府に提供するクラウドサービスへのサイバー攻撃が相次いでいる。二〇二一年以降、三度にわたって攻撃を受けたが同社はいずれも詳しい原因や影響範囲を公開していない。その間、サイバー犯罪者が集う闇サイトで富士通の顧客や社内のものとされるデータが少なくとも二度暴露されているといった記事なんですけれども、これ最高裁は御存じですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 済みません、お答えいたします。
日経新聞にそのような記事が掲載されたというのは、ちらっと見た程度ですが、存じております。
○仁比聡平君 記事をちらっと見た程度で、このIT化、デジタル化のそのシステムの開発が本当に大丈夫なのかと。今日も要件定義などという専門用語もお使いになられての御答弁があっているんですけれども。
この日経新聞が書いているから個別企業名出していますけど、富士通という日本言わば代表する一つのIT産業の大企業がつくったクラウド、管理しているクラウドへのサイバー攻撃が相次いで情報流出が起こっている、同社はいずれも詳しい原因や影響範囲を公開していないという、こういう状況の下で、最高裁がこれから開発をし、運用をしていく。しかも、全国共通で一元的な管理を行うシステムになりますよね。まず、その点ちょっと確認できますか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
一元的なシステムを想定しておるところでございます。
○仁比聡平君 つまり、全国の日本中の裁判所で、民事訴訟はもちろんですが、今回の法案というのは、もう数数え切れないほどのおよそあらゆる民事手続にこのIT化を準用していくという、そういう性格のものなんですよね。ですから、最高裁、高裁、地裁、家裁、その支部など、それから裁判手続も調停の手続もありとあらゆる、この裁判の、まあ裁判のといいますか、司法の機能活動が全部一元的にオンラインで管理する、していくということになるわけですよね。
このデータの蓄積に対する攻撃の欲求や、あるいはこれが実際にされたときの危険というのは、これは巨大なものだと思います。従来は紙での記録管理で、現場の書記官が責任を負って事件記録をどれだけ正確にかつ厳重に管理をしているかと、そのことをおもんばかったときに、万が一このクラウドからの漏えいということが起こったときには、ちょっと取り返しが付かないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
民事裁判全般につきまして当事者の個人情報を始めとする機微な情報を取り扱うということになりますので、委員御指摘のとおり、万が一にでも情報流出ということがありますと、それは取り返しの付かないことになるということは十分認識しておるところでございます。
○仁比聡平君 であれば、こうした報道もされているような事実、事実というか報道、かつ、これは政府に提供されているクラウドサービスへの攻撃という、こうした記事なわけですから、これ、最高裁としても、政府ないし、その委託なんでしょうか、を受けている民間企業にもしっかり事実を確認して、こうした攻撃を許さないシステムの構築ということをやらなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
今委員から御紹介があった事案につきましては、これは政府の方で使われている関係ということになりますので、裁判所は直接当該企業に問い合わせたりということはなかなか難しいところかとは思いますけれども、裁判所の方で契約をします業者についてはきちんとその辺は厳しく対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○仁比聡平君 政府がどうこの問題を受け止めて、何を調査しているのか、私もちょっといずれの機会に聞いてみたいなと思うんですよ。
最高裁として、政府にこれ状況を確認するのは、した方がいいんじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
ちょっと、今この場でどうということはちょっと私の方から申し上げられないところがありますけれども、御指摘は踏まえて、受け止めたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 前の質疑で民事局長の方から、裁判所と法務局の登記に係るという話でしたけれども、情報の共有について前向きに検討をする方向での御答弁があったように思うんですよ。
そうなってくると、政府とそれから裁判所のこの蓄積されていくデータというのがこれ共有されていくような、まあ部分的ではあるかもしれないけれども、それが本当に三権分立や司法の独立ということから考えたときに正しいことなのか、それも含めて私はしっかり議論するべきだと思うんですが、最高裁、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
大変難しい御指摘をいただいたなと思っております。
先ほど法務省の民事局長の方から御答弁があったところで、この問題を検討するに当たっては、様々な課題等があるかどうかというのを含めて御検討ということだったかと思います。
今委員が御指摘になった点も含めて課題として考えていかなければいけないなというふうには私も思っているところでございます。
○仁比聡平君 そうした下で、今回の法改正によって、書面で申立てがされるというその主張書面もあれば、それから証拠があると思いますけれども、当事者は、オンラインじゃなくて、デジタルデータではなくて書面で申立てをしてきたというときに、書記官は電磁的なファイルに記録するという義務が課せられることになります。
例えば、民事執行法の改正案十九条の四というのがその規定で、ほかの法律にも準用されているわけですが、そこには、営業秘密というのはその例外として扱われると。つまり、当事者の申立てを裁判所が特に認めたときには営業秘密は電磁的ファイルに記録しないと、そういう改正案なんですが、これ、民事局長、法務省の民事局長、どういう理由ですか。
○政府参考人(金子修君) 元々この令和四年の法改正の民事訴訟法に端を発するわけですけれども、記録の電子化を実現するために、申立てが書面でされたような場合でも裁判所書記官が原則としてファイルに記録するということをしていますけれども、第三者に対する閲覧等制限の申立てがされている営業秘密のうち、当該営業秘密がその訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため特に必要があると認められるものを記載した書面等につきましては、ファイルに記録されることなく書面等のまま裁判所の記録となるとされているわけですが、その趣旨は、営業秘密の中には、特許法などに基づき秘密保持命令が発せられ、極めて厳格な保護が図られ、現在の実務上も他の文書とは別に特に厳重に保管され、頻繁に当事者の閲覧及び謄写に供されるようなことがないものがあるために、秘密保持命令の対象となるようなものを念頭に、それをファイルに記録せず書面等のまま保管することができるとしたものでございます。
委員御指摘のとおり、これと同様の趣旨で、本法律案においても、民事執行等の手続において、営業秘密の中でも特に秘匿する必要がある情報についてはファイルに記録せず書面等のまま保管することができるというふうにしているものでございます。
○仁比聡平君 つまり、秘密を守らなきゃいけないからなんですよ。デジタルで先ほどのクラウドに記録をしてしまうと、これが、今民事局長からお話あったように、他に、閲覧させてはならない人に閲覧させてしまう、されてしまう危険性があるからなんですよね。
私が尋ねたいのは、その営業秘密以外も、そうした個人情報というのはあり得るではないかと。現に様々な民事手続で、裁判所とそれから相手方のこの当事者間では、これをきちんと示して、事実やあるいはその重大さを示さなければならないと、裁判官には心証を形成していただかなきゃいけないということで、当事者も意を決して提出をする証拠というのがあります。けれども、それは裁判の中で扱われるということが前提なのであって、これが世間に流出するということは絶対にあってはならないと。そうした証拠というのは、社会的な事件、あるいは経済的な事件、あるいは家庭内とか親子とか子供とか夫婦間とか、様々な証拠というのがあるんですよね。だから、万が一にも流出されたらとんでもないことになると。
そのことを懸念して、営業秘密と同じように、当事者から、これはデジタル化しないでくださいと、書面で提出をさせてくださいというふうに申し立てるということは認めるべきだと私思うんですが、これ、今度の改正案ではそれが認められないということになっている、そうですね。
○政府参考人(金子修君) 機微にわたる個人情報といいましても種類があるかと思いますが、令和四年改正後の民事訴訟法につきましては、当事者の氏名とか住所等の秘匿したままで手続を進めるということができるような仕組みを導入しまして、氏名とか住所等の秘匿事項を記載した書面等及び裁判所に提出した書面等のうち、閲覧等の制限の申立てがされている秘匿事項及び秘匿事項を推知される事項が記載された部分につきましては、当事者に対する秘匿決定の申立てや閲覧等制限の申立てがされた場合にはファイルに記録しないというところで一部措置をしているところでございます。
その部分につきまして、つまり秘匿事項とか秘匿事項を推知させる事項について電子化しないことができるというのは、この法律案においても同様でございます。
他方で、裁判所の提出された書面等に記載された情報のうち、この秘匿事項や秘匿事項を推知される事項に当たらないものにつきましては、生活上の機微にわたる個人情報であっても、書面で提出されたものをファイルについて、ファイルへの記録はしないように申し立てることはできることとはされていないということでございます。
○仁比聡平君 つまり、できないんですよ。氏名などを秘匿するという制度はつくられたけれども、だけれども、そういう機微にわたる、裁判外では絶対に明らかにさせてはならないという証拠などがデジタル化されるということになるんです、このままでは。
そこで、大臣、私は、これはやっぱりせめて営業秘密と同じような扱いができるように見直していくと、この今の法案はそうなっていないので、だから、今後ちゃんと見直して速やかに検討すると、検討して見直すと言うべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(齋藤健君) 民事裁判手続では、当事者のプライバシーや営業秘密などに関わる事項が取り扱われるわけであります。そして、仮にシステムのセキュリティーが十分でない場合にはこのような情報が漏えいするおそれがあり、ひいては国民が裁判手続を安心して利用することができなくなってしまうということにもなりかねないわけでありますので、システムの構築に当たりましては、当然のことながら、十分なセキュリティー水準を確保していくということが極めて重要であると認識をしています。
委員の御提案は、漏えいすることによってプライバシー侵害が生ずるおそれがある事項については、これをそのシステムに載せないで紙媒体等で保管する余地を設けるべきであるという御趣旨だというふうに理解をしていますが、もっとも、広く電子化の例外を認めるということになりますと、本来は閲覧等が認められるものについてもインターネットを利用して閲覧等することができなくなると、当事者の利便性の向上が妨げられるといった事態もあり得るわけでありますので、そのためには、昨年改正された民事訴訟法においても、単にプライバシー侵害のおそれがあることを理由に電子化の例外を認めるということはしていないわけでありまして、情報の漏えいの防止は基本的に裁判所によるシステムの適切な構築及びその管理によって実現をするということとされているわけであります。
そして、本法律案では、これと同様の観点から、提出された書面は基本的に電子化することとし、電子化された情報の管理は、システムを適切に構築、管理することによって実現することとしているものであります。
あの富士通の件については確かに御懸念を感じるところでありますけれども、しかし、それを万全のセキュリティー対策をするということで乗り越えていくということだろうと思っています。
具体的なシステムの設計につきましては、法改正の後に最高裁判所において行われるということになるわけでありますが、十分なセキュリティーを確保したシステムになるように必要な検討がなされるものと認識をしています。
○仁比聡平君 結局、大臣、万全の対策で乗り越えると決意をおっしゃっただけじゃないですか。いや、それでは駄目なんですよ。
大臣が冒頭の部分でおっしゃったとおり、私は、こうした漏えいの危険があるということになってしまうと、これは、万が一にもですよ、万が一にも漏えいの危険があってしまうということになると、裁判を、安心して裁判を闘えなくなる。これは決定的だと当事者が思っても、その提出をためらうことになってしまう、萎縮してしまうということがあり得ると思います。内々、この証拠、証拠には出せないんですけど、これ見てくださいというような、そういうような訴訟行為は、やっぱり上訴審なんかのこと考えても良くないですもんね。だから、必要な証拠はちゃんと出せる、裁判でちゃんと使われると、やっぱりそうしたシステムにすべきですよ。
ですから、検討すべきだということを重ねて強く申し上げておきたいと思いますし、最高裁も是非そうしたことを考えていただきたいと思います。
時間が迫ってまいりまして。
ウェブ会議の期日における活用について法務省にお尋ねしておきたいと思うんですけれども、昨年の民事訴訟法の改正のときの質疑で金子民事局長が、一方の当事者がウェブ会議に参加することに反対である場合でも、裁判所がウェブ会議の手続を行うことが相当であると判断することがおよそないとは言えないと。だから、当事者の反対を押し切ってウェブ会議を裁判所が決めるということはおよそないとは言えない、あり得る、制度上そうなっているという、そういう御答弁をされたんですよね。
けれど、例えば破産手続で債権者集会という期日がありますけれども、ここで労働者やあるいは消費者被害の被害者たちが集まって、隠れ資産がないかとか、あるいは自らの被害が多くの方々に共通している被害だということが明らかになって、その偽装を暴いていくというような場になるということあります。
もちろん、オンラインでもそれは、その機能が全くなくなるとは私言いませんけれども、やっぱりそうした集会の中で当事者が、対面といいますか、集会としてやるべきだという意見を強く持っているときに、裁判所が、いや、あえてオンラインでやりますというのは私あり得ないと思うんですよ。
それから、労働仮処分で、地位保全などでですね、会社側の証人、証人といいますか、会社側の関係者を審尋するということがあります。従来、密室の部屋ではなくて法廷で、口頭弁論ではないんですけれども、関係者が傍聴席に座るような形で尋問が行われる、反対尋問も行われるという、そうした手続がありました。
そうした手続を当事者が求めるときに、これをあえて駄目だと、裁判所はそうされないと思うけれども、そうした意味で、直接主義、口頭主義をしっかり尊重すべきじゃないかと。当事者の意見を押し切ってこれを踏みにじるということはあってはならないと思いますが、民事局長、昨年の答弁でしたから、いかがですか。
○政府参考人(金子修君) まず、ウェブ会議を利用する場合であっても、裁判所においてその期日という手続が開かれておりますので、裁判所が相当と認めるときにウェブ会議の方法によって当事者が参加することができることになりますが、これ、現実に裁判所に行きたいと、で、直接裁判官に訴えたいというような場合に、来てはいけないというわけではないので、現実に裁判所で期日は行われているわけですので、その現実に裁判所に赴いて手続に参加するということを制限するものではないということは冒頭申し上げておきます。
それから、今、これも情報通信機器の発達と関連しますけれども、ウェブ会議で画面が見える形で意見を述べるということも、何といいますか、直接対面と遜色ない形でのやり取りというものも可能になっているということも踏まえて考えていかなきゃいけないなと思います。どうしても行きたいという方については拒むものではないということは申し上げておきます。
○仁比聡平君 いや、大臣、もうお聞きいただいていて、IT化、デジタル化で効率的、合理的になる事件進行というのも確かにあると思うんですよ。それを否定するものじゃないんですけど、やっぱり人間の事件ですからね、裁判上の紛争というのは。この紛争を本当に解決をしていく、そして当事者が納得をするという、そうした機能をしっかり大事にしていくために頑張っていただきたいと思います。
終わります。
○委員長(杉久武君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○仁比聡平君 日本共産党を代表して、民事関係手続のデジタル化法案に反対の討論を行います。
本法案は、民事訴訟法の規定を準用し、民事関係手続の裁判所へのインターネット申立て、裁判期日のウェブ会議開催などを可能とするものです。
IT化によって一定の利便性の向上が図られることを否定するものではありませんが、一方、重大な権利侵害のおそれがあります。昨年の民事訴訟法改正で、我が党は、直接主義、口頭主義、公開主義という訴訟制度の大原則に反し、国民の権利を受ける権利を侵害するおそれがあることから反対しましたが、その質疑において、法務省は、一方当事者が反対した場合でも裁判所がウェブ会議の開催を認めることがあり得るとの見解を示しました。ウェブ会議で裁判官の心証形成に影響が出るのではないか、原告が納得のいく裁判ができるかなど、国民が裁判を受ける権利を侵害する懸念があります。今回の民事手続全般の改正に当たっても、その懸念は消えたとは言えません。
また、デジタル化システムは、全国共通の仕様として、セキュリティーも含めて最高裁判所が開発中ですが、サーバーを一元的に管理する以上、流出のおそれは否めません。裁判の情報は極めてデリケートな個人情報を含んでおり、一度流出してしまえば消去は不可能です。当事者の意思に反してもそのオンライン蓄積が行われることになるならプライバシーの侵害の危険は大きく、見直しに向け検討すべきです。
また、公正証書の作成に当たって、これまで公証人役場に出向いて作成しなければならなかったものをウェブ上で行うことが可能となります。貸金、遺言、消費者契約などの公正証書をめぐってこれまでもその信憑性が深刻な争いになることも多々あり、今回のウェブ会議で、画面外に隠れた者が強迫をするなど、当事者の真意によらない公正証書作成の危険は払拭できません。全国公証人連合会がシステムも電子データ管理も一元化しセキュリティー対策も行うと言いますが、そこからの情報漏えいの懸念も払拭できません。
以上述べて、反対討論といたします。