○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
内田候補は、黒田総裁とずっと一緒に仕事をしてこられました。そこで、まず賃金についてお尋ねしたいと思うんですけれども、黒田総裁は、アベノミクスの当初、賃金が上昇せず物価だけが上昇するということは普通には起こらないと、商品やサービスの価格上昇により企業の売上げが伸び、収益が増加すれば、それに見合って労働者に支払われる賃金は増加すると、当然のように強調しておられました。ところが、十年たってもそうはなりませんでした。
黒田総裁、昨年秋になって、もう少し賃金のことをはっきり言うべきではなかったかというのはそのとおりだと国会で答弁をされたんですが、内田候補は、この十年にわたって実質賃金が上がらなかったということについて反省しておられますか。
○参考人(内田眞一君) 先ほどもちょっと議論になり御説明したところでございますけれども、この間、雇用者数が増える中で雇用者所得が増えている、私はここはもう少しきちんと議論されるべき、評価されるべきことだと思っております。
その上で申し上げますが、賃金が上がらなかったことの理由の中には、もちろん、私どもが思っていたよりも物価及び賃金を上げない、上げることをしないという慣行、いわゆるノルムが根付いていて、これが思ったよりも厳しかったということは事実でありまして、ここは私どもが早期に二%達成あるいは物価上昇を伴う二%の実現ができなかったことの理由だというふうに思っております。
ただ、重ねて申しますが、この間、雇用者所得は増えているわけでございまして、効果がなかったという意味で反省しているかということであれば、これは効果があったというふうに考えております。
○仁比聡平君 つまり、いや、反省はされないと。
低賃金、不安定の非正規雇用がどんどん拡大をされてきたと。ですから、雇用者数が増えた、あるいは雇用者総所得が増えたというふうにおっしゃるけれども、それは一つ一つの家計にとってみると、それは暮らし大変なんですよ。GDPの六割をその家計が占めているのに、そこに着目しないということで本当に日本経済立て直せるんですかと。
その上で、昨日も植田候補と、総裁候補と議論させていただいたんですが、総裁候補は、金融政策の効果が及ぶのに標準的な時間は二年としつつ、日本経済が過去十年、二十年置かれた状況では標準型が当てはまらない、何年後に目標が達成できるか、なかなか現状では確信を持って答えることができないという残念な状態にあると衆議院で答弁されて、これ、大きな話題になっていますよね。
この残念な状態にあるという下で、これからどこまで今の政策をお続けになるおつもりですか。
○参考人(内田眞一君) 植田総裁候補のお気持ちまで分かるわけではないんですが、私なりに説明させていただきますと、確かにこの間、二%の達成というのは十年間できていないわけです。その背景は二つあると思います。一つは、今申し上げたとおりですが、物価それから賃金が上がらないという慣行が根強かった。もう一つは、こういうものに対しても十分な金融緩和ができる状況であれば、これはデフレに陥ることもありませんし、二%というのは標準的には二年で達成できるということですが、金利が実効的な下限、まあエフェクティブ・ローワー・バウンドといいますが、これに直面していたことから、量の拡大の効果を含めた非伝統的な政策に頼る必要があった、その効果は、これは世界的にそうですが、不確実なものであったと。この二つが原因だというふうに思っております。
そういうことを、まあ残念という表現がどうかは分かりませんけれども、表現されたのではないかと私は理解しております。
○仁比聡平君 その時々の局面で様々な分析をされることは当然必要なんですけれども、そういって十年たったと。この二%目標に縛られていることによって身動きが取れないということになったら、金融政策そのものが一体何なんだということに私なるんじゃないかと思うんですよね。
もう一問、総裁候補にお尋ねしたのと同じ質問ですけれども、日銀は、今、十年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行うという方針を維持しておられます。となると、この物価二%を達成するまで国債買い続けるということですか。
○参考人(内田眞一君) これは、二%を達成するために必要なイールドカーブを実現していく、そのために必要な国債買入れを行っていくということです。
ただ、基本的に、国債買入れの効果は、いわゆるストック効果という言われ方をしますが、買っている残高に対応して効果が生じてくるというふうに考えられておりますので、このままずっと続けていって、買い続けていく、まあそれは買い切ってしまうというような意味での御質問であれば、それはそういうことではなくて、必要な額を買っていく中で効果は現れ、その先に二%を達成していくことができるというふうに私どもは考えております。
○仁比聡平君 しっかり注視していきたいと思います。
次に、日銀緩和マネーと物価の問題についてお尋ねをしたいと思います。
フィナンシャル・タイムズの著名なエコノミスト、ジリアン・テットさんが、今回の総裁、副総裁候補人事案が示された後の、つい先日、二月十七日、ブルームバーグの報道番組で、今後の日銀の金融政策に注視する必要があると、次のような趣旨の発言をされました。世界の中央銀行が引締め局面に入り、アメリカ中央銀行、FRBは、昨年後半から、資産規模の縮小、すなわち緩和マネーの回収を始めている。ところが、FRBが緩和マネーの回収をしても世界全体では減らない。それは、日銀の大規模金融緩和が続き、昨年には日銀の国債爆買いが復活したからだと。
要旨、そうした発言なんですが、候補の御認識、いかがですか。
○参考人(内田眞一君) 金融政策は各国それぞれの経済・物価情勢に応じて行われているものでありまして、もちろん、そのことはある意味のスピルオーバーという形で他国にも波及します。あるいはスピルバックという形で戻ってくることもございます。
ただ、それを全体として見たときに、今おっしゃったようなことが起きているというふうには考えておりません。
○仁比聡平君 ジリアン・テットさんが指摘をされたということについては起こっておらないという御認識なんですが、その根拠となるデータというのはあるんですか。
○参考人(内田眞一君) 恐らく、済みません、私それ読んでないのであれなんですが、正確に申し上げることは難しいんですけれども、恐らくバランスシートの大きさを各国比べて、それを足し上げるようなことをなさっているのではないかと思います。それであれば、もちろん、その間のそれぞれの政策スタンスによってバランスシートの大きさを足し上げることはできると思いますが、私自身、今申し上げたのは、そのことが世界の緩和ということの代表的な指標になっているとは私は考えておりません。
それよりも、金融政策というのはあくまで金利政策ですので、世界全体としての金利は上がっている、まあ日本は違うわけですけれども、その中で、世界の金融環境自体は引き締まっているわけであって、そのことが今十分な引締め効果を持ってグローバルなインフレを止められるのかどうかというのが議論になっているわけでございまして、単にバランスシート、もし間違っていたら申し訳ありませんが、バランスシートを足し上げるだけでそういうことをおっしゃっているんであれば、それは違うというふうに申し上げたわけです。
○仁比聡平君 この番組で示されているバランスシートを足し上げたもの、これ拝見すると、二二年の、今指摘をされているような状況というのはこれは明らかかなというふうに思いますし、これのみをもってジリアンさんたるものがそういった指摘をされることはないと思います。データあるいは理論的な根拠、これきちんと国民的に明らかにし、あるいは世界にも説明ができるようにするべきだと思うんですね。
といいますのは、ジリアン・テットさんはその指摘の上で、日銀緩和マネーのばらまきが他の中央銀行の引締め努力を打ち消して、資産価格、そこには原油や穀物などのコモディティー、国際商品が含まれるわけですが、その上昇が後押しされていると述べておられます。
昨年十一月に衆議院の財務金融委員会で我が党田村貴昭議員の質問に候補は、コロナで各国が行った大規模財政と金融政策が寄与しているというふうに御答弁されたんですけども、ジリアンさんが言うとおり、日銀マネーが各国中央銀行の物価引下げ努力に水を差しているのではないかと、この指摘にどう答えますか。
○参考人(内田眞一君) 別な委員会で田村先生からいただいた質問にお答えしたわけですが、コモディティー価格の上昇に関しては、需給両面の要因があると申し上げた上で、その需要が増えたところ、これは経済の持ち直しによるもの、世界経済の持ち直しによるものですので、そこには各国の財政金融政策が寄与しただろう、一方で供給面でウクライナ情勢を背景とした供給懸念もあったというふうに申し上げたと記憶しております。
その上で、日本の緩和マネーによってコモディティー価格が上がるということについては、もちろん緩和されていることを前提に投資家はいろいろなものを買うわけですから、全く効果がないということは、それは、そんなことはあり得ないわけで、当然あります。ただ、日本の経済規模、まあ金融資産の規模、いろいろなことを考えたときに、世界全体に影響を及ぼすほど大きいとは私には思えません。もちろん、アメリカのスピルオーバーというのは常に議論になりますが、それと比べたときに日本のスピルオーバーはずっと小さいはずであるというふうに思っております。
○仁比聡平君 巨額ですよ、日銀マネー。それが世界にさして影響は及ぼさないという、その認識は甘くないですか。ちょっとそれも私は承服できない思いなんですけども。
かつて、リーマン・ショック以降のコモディティーが高止まりをしていたという二〇一一年の一月の日銀の金融政策決定会合の議事録が公開をされて、そこで当時の白川総裁がこんな趣旨のことを発言されていたと。日銀の緩和マネーが原油、穀物などのコモディティー価格上昇に決して無縁ではないと。そうだと思うんですよね。そのときの政策決定会合では、例えば価格高騰の原因が需要の高まりなのか緩和の影響なのかと、あるいは原油や穀物の金融商品への組入れ、金融商品化がどれくらい進んでいたのかと。これは、リーマン・ショックから二〇一一年の時期のそのデータや理論に基づいて相当突っ込んだ議論がされたと思うんですね。
この物価高騰を、まあ今日もウクライナ危機あるいはコロナ対応と、いろんな要素が出されていますし、もちろん需要と緩和のいろんな関係があるという、それはそのとおりだと思うんですけれども、それをデータに基づいて徹底して議論をして、そしてこれをちゃんと国民的に説明すべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○参考人(内田眞一君) その議論、つまびらかに覚えておりませんが、もし前総裁がおっしゃったとすると、その無縁ではないというのはまさにそのとおりだと思います。私も全く関係がないと先ほど申し上げたわけではなくて、当然のことながら日本もそれなりの大きさの金融市場を抱えているわけでございまして、そのことが世界の金融市場に影響しないということは、それはないわけです。
ただ、先生おっしゃったような形で、あるいはジリアン・テットさんがどうおっしゃっているのか知りません、分かりませんけれども、今のそのコモディティー価格の動きに日本銀行あるいは日本の金融緩和というものが影響している度合いはそこまで大きいだろうかという意味で申し上げました。あくまで日本の、量で語られることが多いですが、ゼロ近傍の金利であるということは、いろんな投資家にとって、ほかのものを買うのか日本の商品を買うのかというところの判断に変わってくるということですので、その限りにおいてもちろん影響がないわけではありませんが、決定的な影響があったということはまあ常識的には考えづらいというふうに思っております。
○仁比聡平君 時間が来たので終わりますけども、経済を活性化する、これをやれば経済が活性化できるといって始めた大規模金融緩和が、世界に今や迷惑を掛けたり、あるいは、そうした物価高騰の中で国民経済を痛め付けてしまうということになったらまさに逆立ちであって、そもそもの失敗を反省し転換すべきだということを発言をして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
氷見野候補は、つい先頃まで金融庁長官をお務めになられて、金融規制当局それから国際機関の役職も務めてこられました。
そこで、投機筋への対処についての御認識を今日は伺いたいと思います。
総裁候補にもお尋ねしたんですが、国債市場をめぐって日銀・バーサス・ヘッジファンドといった報道があるように、日銀の国債買取りも限界に近づきつつある中で、海外の投機筋が、異次元の金融緩和の軌道修正のときがもうけのチャンスだとばかりに虎視眈々と狙っているということだと思うんですよね。
候補は、こうした投機マネーへの対応の重要性、あるいはこの投機マネーの動きと金融システムの危機の問題について、どんな現状、御認識でしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 世界の金融市場の規模が実体経済に比べて極めて大きくなり、しかも金融のグローバル化が進んで、そうした市場の動きが非常にある意味コントロールしにくくなっているというのは事実だというふうに思います。
例えば、リーマン・ショックを抑える際には、FEDは百兆円分ぐらいの資産をマーケットから買い取ったわけですけれども、二〇二〇年三月にコロナが本格化したときに市場のパニックを抑えるときには数週間で三百兆円の資産を市場から買い取ったということで、市場の投機的なものだけではなくて、ある意味、より心配なのは不安心理みたいなもので、パニック化したときでありますけれども、それをどう抑え込んでいくのかというのはどこの国の当局も非常に悩んでいる課題だと思います。
ただ、その上で、ではどういうやり方がいいのかというと、投機的な動きとそうでない動きを区別するということが非常に難しいですので、ある意味、いろんな金融機関あるいはノンバンクの健全性を日頃から維持して、どう過剰な振れ方をしないようにするかといったところを規制上担保していくといったところが重要な課題となって、私が常設委員会の議長をしていました金融安定理事会の規制監督常設委というのはそれを使命にしておったわけでありますけれども、なかなか国際的な合意というのは容易ではありませんし、あるいは中央銀行と銀行監督者と証券監督者の間でなかなか合意が取れないといったようなこともあるわけでありますけれども、そういった違いを超えて安定性を担保できる道を見出していくというのは非常に重要なことでありますし、日本銀行もその上では大きな役割を果たしていくべきで、仮にお認めいただければ、私もそういった面で貢献できればというふうに考えております。
○仁比聡平君 氷見野候補が今おっしゃった役割を果たしていきたいというところについて更に伺いたいと思いまして、候補が二〇二二年二月一日号の「金融財政事情」にお書きになられた「「三月事件」の後始末」という文章を大変興味深く読ませていただきました。
今御答弁でも触れられたコロナパンデミックの下でのパニックのような取付け騒ぎですよね、市場関係者が安全資産と思われてきた米国債や金や円すら争って米ドルの現金に換えようという、ダッシュ・フォー・キャッシュという、そうした事態が起こったと。私もあの当時、テレビを通じてですけど、本当に恐ろしい思いをいたしましたけども。それに対して、巨額の資金をFRBが投入して、衆議院の、ここに触れたときには、ある意味力ずくで抑え込んだというふうに候補者はおっしゃいましたけれども、その事件以降、世界の金融当局の間でずっと論争が続いているという、ここの認識をもう一度お尋ねしたいと思うんですけれども。
つまり、多くの中央銀行は、もう今や世界の金融資産の半分はファンドなどのノンバンクセンターにあるんだから、今後同様の問題を起こしたりしないように世界共通の規制を導入すべきだという主張がある。
一方で、多くの資本市場当局、規制当局もそうなのかなと思うんですけれども、極端な例外事象に対処するのは中央銀行本来の役割だと。あらゆる事態への備えをあらかじめ求めれば市場の機能は窒息してしまうという、この市場の自由を重視する、そうした主張が、議論が続いているという御趣旨かなと思うんですが、そうした国際的な機関の場にもいらっしゃって、今回、日銀の副総裁という候補として、この問題について日銀がどう関与していくべきか、お考えをお聞かせください。
○参考人(氷見野良三君) まず、日銀の立場で重要な点といたしましては、FEDが力ずくで抑え込んだというふうに書いておったかと思いますけれども、日銀も大変大きな役割を果たしまして、スワップの取決めをFEDとかと結んで、そのドル資金については、日本の金融機関、ドル調達しにくくなっていたわけですけれども、ある意味、日銀がFEDとのネットワークを使って日本の金融機関がドル調達で困ることは防いだというようなことを実現しておりまして、そうした、しかも、その市場がパニックになった、たしか土曜日にパニックになって、日曜日、あっ、金曜日にはパニックになって、日曜日にはもうFEDと日銀はスワップ協定を復活させていたということで、非常に迅速に対応したと。これは日頃からのスタッフの人の修練とか、あるいはFEDとのパイプとか、そうしたものが相当効いたんではないかと思いますけれども、そういうことができるようにしていくというのは極めて重要だと思います。
その上で、中央銀行と資本市場当局の間での意見の違いというようなことを書いておりまして、これ書いたときには、金融庁は資本市場当局でもありますので、資本市場当局OBとしてだけ書いていたのが、場合によっては日銀の側ということになると何かちょっと股裂きに見えるわけでありますけれども、まあ両方とも目指すことは同じはずでありまして、市場の安定も必要だし、あるいは、中央銀行が無制限に資金を出さないと安定が守れないような状態ではいけないというのも当然ですし、資本市場の機能が発揮されなければならないというのは中央銀行も分かっているはずでありますので、ある意味その両方の視点をよく分かった上でその合意への道を探っていくと。
仮にお認めいただいた場合に、また国際的な場でそういう機会があるかどうかというのはちょっとやってみないと分かりませんけれども、そういったことがもし可能になれば、それは大変、全力で取り組むべき課題かなというふうに考えております。
○仁比聡平君 日銀の金融政策という観点から見たときには、私は、今の金融政策を正常化していこうとする局面において最も警戒すべきが、この投機筋の売り浴びせだったりという、この投機の動きをどう牽制し、あるいは規制していくかということだと思うんですね。
そうした問題意識もあって、我が党は、この間ずっとこの投機マネーの規制、そして国債市場における投機の規制についてという質問をずっと続けてきました。
覚えておいでかもしれませんけれども、二〇一八年の五月に財政金融委員会で我が党大門実紀史議員が指摘をさせていただいた際に、金融庁は、ヨーロッパでは投資家の国債の空売りの持ち高について当局への報告制度があると、一方で日本にはそれは存在しないという御答弁をされたわけですね。
ちょうどこの空売りの問題について、ちょうど今朝の日経新聞に、昨日、空売りを抑制するために日銀が国債の貸出料を引き上げたという記事が出ておりました。
この国債市場における投機的取引の規制というのは、中心は規制当局である金融庁ということにこれまで考えられてきたんですけれども、先ほどの御答弁もあったように、日銀がしっかりやらなきゃいけないと、中央銀行も頑張らなきゃいけないという中で、日銀ができることがあるんじゃないかと。
例えば、専門家の中には、日銀が国債を貸し出すときに預かる現金担保の割合を調整するという方向もあるじゃないかと、そうした方もあるんですけれども、そうしたいろいろな手段をしっかり検討して具体化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 投機マネーへの対応というのは非常に難しい課題なわけですけれども、ある意味その対応策の効果と併せて、同時に、その市場機能、市場の流動性を損なう可能性と両方見ながら市場を工夫、対応を工夫していく必要があります。日本市場の市場としての魅力自体を損なうということであってはなりませんし、他方、その不測の動きのようなものには対応していかなければならないと思います。
まず、市場の状況についてよくモニターして、そうしたことについては、国債発行当局である財務省と市場に一番近い日銀と、さらに、仮に何らかの規制上の対応をもっとするんであれば担当することになる金融庁と、まず常に密接に情報交換をして、その上で、その何らかの対応の効果と市場の流動性への影響など、両方見ながら状況に応じて適切に対応を取っていくことが望ましいんではないかというふうに考えております。
○仁比聡平君 御答弁の言葉尻を捉えるつもりではないんですが、不測の動きという表現を今されました。
投機マネーの不測の動き、金融市場大混乱のそうした動きというのを不測という表現はあり得ると思うんですけど、いや、虎視眈々と狙っていませんか。その辺りの今のその日銀対ヘッジファンドなどと言われる状況について、改めてもう一度御認識を伺いたいと思うんですが。
○参考人(氷見野良三君) 雑誌に副総裁になるんじゃないかという記事が出た後、一番最初に面会の申入れが来たのは、海外のヘッジファンドから幾つも同時にわっと来たということで、ある意味大変すごい人たちだなというふうには思います。
それで、そのヘッジファンドが存在しているということは事実でありますので、どういうふうにして彼らの考え、買ってることを知りつつ余分なそのヒントを与えたりしないようにして、その上でその対応を考えていくかというのは相当技の要る話だと思います。何か言った話というのは彼らのサークルの中で共有されていろいろ材料にも使われますので、私自身、特にその中央銀行の立場でどういうふうに対応していったらいいのかというのは実はちょっと知見がないところでありますけれども、仮にお認めいただいた場合には、ちょっと適切なやり方というのはよく考えてまいりたいと思います。
○仁比聡平君 ありがとうございました。