政府が次期日本銀行総裁として提示した元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏は2月27日の参院議院運営委員会での所信聴取で、日銀が実施する「異次元の金融緩和」政策には「所得格差の拡大につながる面がある」と認めました。日本共産党の仁比聡平議員の質問に対する答弁。

 仁比氏はアベノミクスの「異次元の金融緩和」政策は、「デフレ克服策」としては失敗したものの、円安・株高誘導政策としては「大成功」したと指摘。金融資産5億円超の資産総額が2005年から19年の間に46兆円から97兆円へと2倍以上になったことをあげ、「格差を拡大したのではないか」と植田氏の認識を問いました。植田氏は「預金利子率が低金利の下で制限され、株(価)の方は場合によっては上がるということで、所得格差の拡大につながる面がある」と述べました。(質問動画はコチラ)

 仁比氏は「物価を十分に上回る賃上げが経済立て直しの決定的なカギだ」として今春闘での全労連の10%の賃上げ要求などを示して抜本的な賃上げを日銀として政府や経済界に求めるよう指摘。植田氏が「基調的なインフレ率が着実に上がるためにも賃金が上がることが必要だ」と述べるにとどまったのに対し、仁比氏は500兆円の内部留保に適切に課税して賃金に還元させることが重要だと強調しました。(しんぶん赤旗 2023年2月28日)