○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
西日本豪雨から四か月半がたちました。倉敷市真備で亡くなられた五十一名の方々の御自宅の位置図を岡山県からいただきまして、資料としてお配りをさせていただきました。二枚目は国土地理院の推定段彩図ですけれども、数々指摘をされているとおり、ハザードマップとほぼ一致する災害となりました。浸水深は一番深いところで五・八メートルと、ほとんどの家が二階まで水没をした。つまり、予見をしていたのにこうした犠牲が生まれてしまったということです。
県によりますと、亡くなられた方々のうち、六十五歳以上の高齢者が四十五人で九割、自宅で亡くなられた方が四十四人、九割、その八割は溺死をしておられます。二階建てのおうちでも一階で溺死をされた方がたくさんいらっしゃると。二階や屋根へと避難できなかったのではないか、もっと早くに安全な所に、せめて二階や屋根に避難支援ができていればと思いますと、改めて痛恨の思いがするんですが、山本大臣の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(山本順三君) 実は私ども、先般、真備町の方に行ってまいりました。その中で、二階まで浸水をして、そして二階の窓を開いて多くの住宅が残っておりましたけれども、人の気配がしないというような、そういう状況を見て、本当に愕然とした思いでございました。そして、今、仁比議員からもお話があったとおり、高齢者が大勢亡くなった、それも九割近くの人が自宅で亡くなったというような、そういう状況でございまして、大変に悲惨な状況であったということに心を痛めておるところでございます。
是非、一日も早く生活を取り戻すべく、我々も全力を挙げて努力をしていかなければならないというふうに思っておりますけれども、この再度災害防止に向けた取組について、我々といたしましては、高梁川、小田川で河道内の樹木の撤去を行って、特に小田川とそれから高梁川の合流点、ここの付け替え事業を実施することといたしておりまして、事業の実施に当たって倉敷市真備地区を中心とした住民向けの説明会が今現在開催されているものと承知をしているところでございます。
○仁比聡平君 生活を取り戻すために努力をするというふうにおっしゃって、一つ一つ今日お尋ねしたいと思うんですけれども、避難意識を高めるという問題は、これは住民の自己責任の問題ではない、危機の情報を管理者がつかんで的確に自治体や住民に周知して動かすということが必要であって、ハザードマップや指定避難所、あるいは要支援者の避難の在り方を不断に見直して訓練も重ねていくというのは、これ、政府と行政の責任なんだということをはっきりさせる必要があると思うんですね。
七月五日の午後二時過ぎに気象庁は緊急記者会見を開きました。西日本から東日本の広い範囲で週末まで大雨が降り続くおそれがある、大きな河川でもかなり増水し決壊する可能性もあると最大級の警戒を呼びかけた。その下で、古くからの住民は六日の朝には大変な危機を意識して、行政に電話をしたという方々、幾人もいらっしゃるわけですね。ところが、真備では、住民に避難に必要な情報の周知はなされませんでした。
この資料の三枚目、これは国土交通省が、この小田川と、国管理の小田川、それから支流の三つの中小河川で八か所の堤防が決壊をしたと、そうした図ですけれども、これ、どこがどの時点で破堤したのか、これを国は把握できませんでしたね。今はどこがどのような時系列でなぜ破堤したという認識なんでしょうか。
○政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。
今回、平成三十年七月豪雨におきまして、岡山県倉敷市真備町に位置する高梁川水系の小田川及びその支川の末政川等におきまして堤防の決壊が発生をしております。
堤防の決壊の原因の究明につきましては、高梁川水系の小田川堤防調査委員会におきまして、決壊原因について、前後区間に比較し相対的に堤防高が低い箇所から越水が発生し、越流水が集中することにより時間の経過とともに堤防のり尻部の洗掘が発生したと、このように推定をしてございます。
決壊の順序等につきましては、小田川のまず支川の高馬川の右、右岸側におきまして決壊が最初に生じております。さらに、別の支川の末政川の右岸側、そして次に小田川の左岸というふうに堤防の決壊が続いておりまして、その後、末政川におきましては、既に決壊をしていた右岸の対岸となる左岸側で決壊が生じまして、この時間が最終的には七月の七日の午前七時頃であったというふうに、七時より前であったというふうに推定がされております。
○仁比聡平君 今お話があったように、末政川の左岸が決壊したのは翌朝になってから、七時頃ではないかということなわけですけれども、大臣、にもかかわらず、一枚目の地点、亡くなられた方々の地点ですね、御覧いただくと、この末政川の左岸、川辺を中心にした地域ですが、ここで、十二地点で、ですから十二人以上の方々が亡くなってしまっているわけです。
実際に、五日の気象庁の会見からこれほど時間がたって、それでも避難させることができなかったと。これ、どう思われますか。
○国務大臣(山本順三君) 今回の七月豪雨、二百名を超える死者、行方不明者が発生したわけであります。先ほど委員の方からもお話があったとおり、真備地区に限ると約九割の皆さんが六十代で、なおかつ屋内で死亡された方が約九割というようなお話がございました。
このことについては、私どもも中央防災会議の下に、土砂災害あるいはまた水害から避難するワーキンググループで今実際に議論しているところでありますが、二点あるんだろうと思うんです。一つは、避難情報であったり気象庁の重要情報等々がしっかりとそこの住民の皆さん方に届いたのかどうか、その検証をしなければならないという点と、それからもう一点は、それが届いたとして、そのことが住民の皆さん方の避難行動に結び付いたのかどうかということ、それを今ワーキンググループの方でもしっかりと検証をしているところでございまして、是非そういった検証結果を経て次の防災に役立てていかなければならないと、このように思っておるところでございます。
○仁比聡平君 避難情報が届くどころか、真備では避難指示が出されたのは堤防が決壊をした後でありました。避難勧告の時点でもう外には絶対に逃げられないというような浸水が起こっていたわけです。
加えて、今御紹介の三つの中小河川には陸閘というのがあります。これ、宅地開発が進んだ時代に堤防を切って道路を整備したと。川が増水するときには、これ、行政の指示で委託業者が板だとか土のうを積んで開削されている部分を閉じるという仕組みですけれども、これも結果として閉じられずに、無防備に氾濫が広がったわけですね。
ところが、この四か月半、河川や道路、あるいは上流で異常放流をしたダム管理者による被災住民への説明会というのは行われておりません。これで住民が安心してふるさとに戻れるはずがないではありませんか。住民に開かれた科学的な検証が必要です。それは、縦割りを排して、流域全体の総合的な検証でなければならないと思います。
総社市長が、九月市議会などで、新見市、高梁市、総社市、倉敷市などの流域自治体、そこに国、県、そして中国電力などが参加する協議会を呼びかけておられますが、これ、山本大臣、政府はどのような姿勢で臨まれますか。
○国務大臣(山本順三君) 平成三十年七月の豪雨で被災した地域の住民が、先ほど申し上げたとおり、一日も早く安心できる生活を戻す、そのことが我々の使命であるというふうに思っております。
このため、国土交通省により、大きな被害を受けた小田川等において再度災害防止に向けた取組が進められているというふうに聞き及んでおります。具体的に、先ほど申し上げましたけれども、高梁川、小田川で河道内樹木の撤去を行うとともに、合流点の付け替え工事を実施する、そういったことに対して真備地区を中心として住民向けの説明会が開催されているというふうに聞いておりますし、また、先ほどのダムの操作についてでございますけれども、岡山県が関係自治体や地域住民等に対して説明会を開催しているというふうに聞き及んでおります。
いずれにしても、丁寧な説明を重ねつつ、市町村やあるいは住民と一体となって防災対策に取り組んでいくことが大切であるというふうに考えております。
○仁比聡平君 いや、何をおっしゃっているんですか。国交省がやっているのは、事業をどうするかの説明を一部で、ごく一部でやっている。市が行っているのは、この間初めてでしたけれども、復興ビジョンを策定する上での住民との懇談会、これが災害後初めての被災者から声を聞く場なんですよ。
重要インフラの緊急点検だなどと言いますけれど、住民が主人公になった申し上げたような総合的な検証なくして被害をいかに最小化するかという、この抜本的な防災対策の強化というのはできませんよ。
小田川と支流の氾濫、破堤の大きな要因、これ先ほど越水というお話ありましたけれども、これは高梁川の急激な増水によるバックウオーター、これが大きな要因ですね。これ、局長、一言。
○政府参考人(塚原浩一君) そのように評価をしております。
○仁比聡平君 資料の七枚目、御覧いただければ、高梁川の本川の水位を示しております。先ほどもちょっと議論ありましたけれども、これ、大きな成羽川という川と高梁川は合流をするわけですが、そこの合流点のすぐ下流に広瀬という地点があるわけですね。この広瀬自体も相当な被害を受けました、大変な被害を受けました。そこで、十九時には氾濫危険水位を超えて、以降急増し、二十二時の十分頃、十三メートルに達する前で計測不能になっている。この後、この氾濫危険水位をはるかに超える流量が襲ったということになります。
次の八枚目の資料は、高梁川に合流する成羽川に設置をされている中国最大と言われる発電ダムですね、中国電力の新成羽川ダム、ここの流入量、放流量のグラフなんですが、御覧のとおり、七月六日の十六時頃から流入量は急増して、放流量は二十時頃には毎秒千二百トンを超えて、広瀬で水位計を振り切った、計測不能になったその二十分後、二十二時半には毎秒二千七十四トンと最大放流量に達して、これが千五百トンを下回るのは七日の十一時頃なんですね。こうした長時間にわたって大量の放流をし続けたわけです。
新成羽川ダムがこうした操作を行っているということを河川管理者としての国はいつ知ったんでしょうか。
○政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。
新成羽川ダムの放流量が増加する旨の通知につきましては、このダムの操作規則によりまして関係機関に通知がされておりまして、中国地方整備局の岡山河川事務所におきましては、七月六日の十七時二分に確認をしております。
○仁比聡平君 今の御答弁初めて伺ったんですが、これまで何度聞いてもお答えにならなかった。
七月六日の十七時二分にこうした状態に入っていると。当然、線状降水帯がこの上にずっと停滞して、どんどんどんどん降っているわけでしょう。それはもちろん分かっているわけじゃないですか。この後こういう異常な放流になっていくということを分かりながら、下流の住民たち、自治体にどんな避難情報出したというんですか。流域の自治体にこうした危機情報というのを共有をしたというふうには私は到底考えられないわけです。
河川法の五十二条には、河川管理者は、つまり国は、川の状況を総合的に考慮してダム設置者に必要な措置を指示するという規定があるわけです。これは、危険な川、危険なダム、これは、こうした大災害のときになったらこれは大きな危険をはらむわけだから、異常放流だとか、まして越水だとかいう事態になる前に、これ下流の住民を避難させるというのが河川当局の責任ではありませんか。
そこを、政務官おいでいただいていますが、御認識いかがですか。
○大臣政務官(工藤彰三君) 私の選挙区も伊勢湾台風で水につかった地区でありますので、このようなことは二度とあってはいけないと考えております。
○仁比聡平君 二度とあってはいけない、そのために何をするのかなんですよ。
しかも、高梁川の流域では、一九七〇年代にも同じようなこのダムの異常放流による高梁川のバックウオーター、これによって小田川とそして真備が大変な被害を受けてきたという歴史があるんですね。それは一体どうなっているのかと。新成羽川ダムの設置する中電に政府は一体どう物を言ってきたのかと。これは住民参加の形で徹底して検証されなければならないと思います。
それだけではありません。手元の資料ちょっと戻っていただいて、これは四枚目、五枚目なんですけれども、これ私がこの災害が起こった後に破堤した小田川の左岸地点から小田川の中を写した写真ですけれども、御覧のとおり橋を上回る、橋よりも高くなる、こんなジャングルになっているでしょう。この状態でこの大規模災害を迎えることになってしまったわけです。ところが、これまで国土交通省は、住民や私ども共産党も常に申し入れてきたけれども、要望し続けてきたけれども、河道の確保というのはこれ付け替えの後だと言って行ってきませんでした。人災だという声が上がるのは当然だと思います。
この小田川で河道確保の整備目標というのは、これはどの時点の河道確保するということだったんでしょうか。
○政府参考人(塚原浩一君) お答え申し上げます。
国が管理する河川におきましては、おおむね五か年の具体的な河川維持管理の内容を定めた維持管理計画等に基づきまして、樹木の伐採等を含めた計画的な維持管理に取り組むこととしております。この中で河川の流下能力につきましても管理目標を設定いたしまして、定量的に測量等により確認を行いながら、これを維持するよう必要な樹木伐採等を実施しております。
高梁川の維持管理計画におきましては、小田川につきまして、当面の管理目標として平成二十二年に河川整備計画が策定されておりますけれども、その時点での流下能力を維持するということを目標としております。これを踏まえまして、平成二十七年度から五か年で約二十五ヘクタールの樹木を伐採する計画を立てておりまして、このうち平成二十九年度までに約十五ヘクタールの樹木の伐採を実施をしておりました。
平成三十年の三月時点におきましては、概略的な流下能力の評価を行いまして、この管理目標を満足していることを確認しておりました。
○仁比聡平君 いや、平成二十二年を目標にするなんて言って、私がこうやって写真で示したとおりとんでもない事態になっているじゃないですか。予算がないから現実にはできないということを言い続けてきたじゃないですか。その結果が流下を妨げるし、実際こんなふうにジャングルが根を張ってしまったら、流れるべき土砂だって下に流れない。
高梁川そのもの、今日も与党議員からも質問ありましたけれども、この整備の目標というのはどうなっているんですか。
○政府参考人(塚原浩一君) 高梁川の本川におきましても、小田川と同様に、当面の管理目標を平成二十二年の河川整備計画策定時のそれぞれの区間におけます流下能力を維持するということとしております。これを踏まえまして、伐採といたしましては平成二十七年度から五か年間で約二十一ヘクタールの樹木を伐採する計画を立てておりまして、平成二十九年度までにこのうちの七ヘクタールの樹木を伐採しておりました。
小田川と同様に、平成三十年三月時点におきまして概略的な流下能力の評価を行いまして、この管理目標を満足していることを確認していたところでございます。
○仁比聡平君 管理目標を満足しているって、一体どういうことですか。十五ヘクタールだとか七ヘクタールだとか、そんな数字では到底及びも付かないような山と、そして森が川の中にできてしまっているわけですよ。
小田川について言うと、七〇年代までは、これ住民がここで水田なんかで利用していたんです。当時、土がたまってしまうとか、まして樹林帯になってしまうとか、あり得なかったんですよ。それを国が管理するようになって、こんな事態になっている。この真備の問題というのは極めて歴史的な問題です。
最後、ちょっと政務官に伺いたいと思うんですが……
○委員長(山本博司君) もう時間が来ていますので、質疑をまとめてください。
○仁比聡平君 今、付け替えの仕事をやっておられるけれども、これ、住民合意でしっかりと事業を前に進めると。緊急にやらなきゃいけないところはどこだと……
○委員長(山本博司君) 時間が来ておりますので、質疑をまとめていただきたいと思います。
○仁比聡平君 中長期はどうだと、これははっきりさせないと安心は取り戻せないと思います。
委員長がお許しになるなら、御答弁いただきたいと思います。
○委員長(山本博司君) 時間が来ておりますので、これで終わりたいと思います。
じゃ、工藤政務官。
○大臣政務官(工藤彰三君) よろしいですか。
○委員長(山本博司君) じゃ、最後に政務官。
○大臣政務官(工藤彰三君) お答え申し上げます。
今回、甚大な被害が発生した小田川では、小田川と高梁川の合流点を下流側へ付け替え、小田川の水位を下げる事業について、残りおおむね十年の工期をおおむね五年に短縮したところではありますが、その実施に当たっては地域住民の御意見を十分にお聞きしながら進めることが重要であると認識しております。具体的には、説明会の開催、現地見学会の開催、広報誌の発行やホームページによる情報の発信等をしっかり行うことにより、住民の皆さんの御意見も丁寧にお聞きした上で、本事業を早急に推進してまいります。
○仁比聡平君 終わります。
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