【17.04.06.】193通常国会 参法務委員会『共謀罪審議入りの前提を欠く』

193回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

共謀罪について、政府・与党が本日午後、衆議院本会議における審議入りを強行しようとしていることは断じて許されません。

資料をお手元にお配りしていますが、「「テロ等準備罪」の対象犯罪」という政府資料にあるように、政府は、対象犯罪の合計は二百七十七個で、テロの実行、薬物、人身に関する搾取、その他資金源、司法妨害、この五つに分類されると説明をしています。この点、二枚目の資料に、朝日新聞の二月二十五日付けから抜粋をいたしましたけれども、これのみならず、メディアで一斉に、テロの実行は百十罪、薬物は二十九罪、人身に関する搾取は二十八罪、その他資金源が百一罪、司法妨害が九罪に政府は分類したと一斉に報じているわけです。

ところが、二百七十七の罪のそれぞれがどの分類に当たるのかと、私ずっと法務省に聞き続けているんですが、昨日の午後になっても説明ができないと言うわけですね。これ、大臣、一体どういうことですか。

○副大臣(盛山正仁君) 今の御質問に対してでございますけれども、テロ等準備罪の対象犯罪は、長期四年以上の懲役又は禁錮の刑が定められている罪のうち、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定される罪を選択したその結果でございます。

このテロ等準備罪の対象犯罪は、今、仁比委員が御指摘のとおり、おおむね五つに大別できるものと考えております。すなわち、テロの実行に関する犯罪、薬物に関する犯罪、人身に関する搾取犯罪、その他資金源犯罪、司法妨害に関する犯罪ということでございます。

これらについてでございますけれども、テロ等準備罪の対象犯罪の中には五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくない上、そのようなものの中にはその類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもございます。このため、個々の罪につきましてそれぞれがどの分類に該当するかを網羅的にお示しすることは困難であると、そんなふうに考えております。

○仁比聡平君 いや、大臣、副大臣の助っ人を借りないと御答弁ができないんですか。

今、副大臣がなかなか、つまり困難だとおっしゃるわけですけれども、私、訳が分からないんですね。おおむね五分類なんておっしゃいますけれども、法務省が説明せずにマスコミが一斉にこんなふうに報道しますか。あり得ないでしょう。

どの対象犯罪をどれに分類しているか、政府が分類しているかということは、政府が、組織的犯罪集団の関与が現実に想定されるとか、それのみを限定的に規定したなどという説明に直接結び付く基本的な問題です。それを明らかにしたらですよ、大臣、それを明らかにしたら絞り込みの是非が国民的に検証されてしまう、テロ対策とは無縁な合意が広く処罰対象に当たることが明らかになってしまうから、大臣、出さないと言っているんじゃないんですか。いや、これとんでもない話ですよ。

刑事法研究者だとかテロ対策の専門家なども含めて、政府が法案提出して審議入りをやるんだと言っている以上、国会と国民にこれ説明するのが当然じゃありませんか。

○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員の御指摘に、ただいま法務副大臣から申し上げてお答えをしておりますが、それに加えまして私から、報道の根拠につきましては承知をしておりません。したがって、その点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

ただ、テロ等準備罪の対象犯罪の中には、五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくないということは申し上げたとおりでありまして、そのようなものの中には、その類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもある、このため個々の罪につきましてはそれぞれがどの分類に該当するかを網羅的にお示しすることは困難であると、このように申し上げております。

○仁比聡平君 よく分からないですよね。複数の類型に当たり得るものがあるんだったら、この罪はこのテロの実行類型とあるいは司法妨害類型に、これに両方当たるといって説明すればいいじゃないですか。

判断が分かれ得るものがあるというのはこれ訳が分からなくて、政府がテロの実行などに現実的に想定できるという判断をしているから二百七十七があるわけでしょう。だったらば、二百七十七の一つ一つがどうして現実的に想定されるというのか、そのことを示す上でもこれ説明しなきゃいけないでしょう。大臣、いかがです。

○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪の対象となる犯罪につきましては、この法律案、本法律案の別表第四に掲げることによって明確にいたしております。

そして、テロ等準備罪においては、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮が定められている罪のうち、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものを対象犯罪としているわけであります。

したがって、そういう組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し得るか否かということをしっかりと検討をしておりますことも御理解をいただきたいと思います。

○仁比聡平君 いや、何言っているんですか、大臣。

今おっしゃっていることは、私が示している政府の説明資料に書いてありますよね。組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるもののみを限定的に規定したというんでしょう。別表に書いてある罪名はそれは分かりますよ。それを五つに分類した、テロの実行ほかの五つに分類したと言っているわけでしょう。だからテロ等準備罪だというんでしょう。ならば、その一つ一つがどう現実的に想定されるというのか、どう限定的に規定しているというのか、これが説明の対象じゃないですか。

自分たちが、法務省が、しっかり検討しているというふうに自分で言うだけで、対象犯罪がどう結び付いているのかを国会が、あるいは野党が質問する前提を説明しないと、これ審議の前提欠くじゃないですか。大臣、そう思いませんか。

○国務大臣(金田勝年君) 委員の御指摘に対しまして、繰り返しになりますが、テロ等準備罪の対象犯罪の中には五類型の、あると。その五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくないということ。そのようなものの中には、その類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもあります。したがって、個々の罪について、それぞれがこの五類型の中のどれにどのように該当するかを網羅的にお示しすることは困難であると、このように申し上げております。

○仁比聡平君 大臣の言うとおりなんだったら、二百七十七というのは全然根拠がないということじゃないですか。現実的に想定されると、自分たちがしっかり検討したと言いながら、それを具体的に説明することはできないと言っているのと同じですよ。二百七十七もの罪を合意したからといって一挙に処罰するという法案をあなた方提出している。さも五分類でテロ対策に不可欠であるかのような看板を掲げている。けれども、個々の罪については、組織的犯罪集団の関与がどう想定されるのか、その想定がどう現実的かについて説明できないし、大臣、する気もないということですか。これ、とんでもないですよ。

与党の幹部、公明党の漆原さんですけれども、二月の二十八日の産経新聞でインタビューに答えて、こうおっしゃっています。テロ等準備罪は、東京オリンピック・パラリンピックがテロの巻き添えにならないよう国家を挙げてやろうとしていること、テロなど防止の構成要件はしっかりでき上がっている、これがなければテロは防げないという必要性について国民に分かってもらえるかどうかだというんですね。

大臣、いいですか。テロ防止の構成要件はしっかりでき上がっていると言いながら、具体的に説明できないと。これ、なぜ隠すんですか。

○国務大臣(金田勝年君) その罪の主体、客体、行為の態様、犯罪が成立し得る状況、そして現実の犯罪情勢等に照らして、その判断は現実的に組織的犯罪集団が実行を計画することが想定し得るか否かをしっかりと検討しております。

○仁比聡平君 いや、しっかり検討しているとか、その上で二百七十七だとか、幾ら大臣が言ったって、国会で審議ができない、質疑ができない、検証できない。刑事法の研究者だって検討できないと。そんなことで国民が納得するわけないじゃないですか。結局、大臣、いいですか、共謀罪がテロ対策のために必要で、それに限って限定したというこの言い方そのものが国民を欺く宣伝なんですよ。いやしくも、刑罰法規についてそんなごまかしは憲法が厳しく求める罪刑法定主義に反するものです。

もう一点、大臣に聞きます。二百七十七のうち、予備さえ処罰していないのに共謀を処罰するのはどれかと。つまり、現行法で未遂、予備や準備、陰謀など結果発生に至らないときは処罰規定は置いていないけれども、本法によって合意、計画を処罰しようとするものはどれなのかというこの私の問いにも、法務省はずっと答えないんですね。これ、新旧の条文照らせば分かることなのに、何で答えないのかと。これ、大臣、説明できないわけですね。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に対しましては、国際組織犯罪防止条約、TOC条約の第五条は、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を処罰することを義務付けております。

未遂罪、予備罪又は準備罪を設けただけでは国際組織犯罪防止条約を締結できないことから、法案の作成に当たって、御指摘のような観点を踏まえながら、各犯罪について未遂罪、予備罪又は準備罪が設けられているか否かを網羅的に整理する必要がないということがその考え方になっております。

○仁比聡平君 いや、条約がここでそうした説明の論拠に出てくるの、私さっぱり分からないですよ。

これまで、結果発生がしなくても処罰してきた罪がある。けれども、それを全然処罰していないものを、いきなり合意を罰しようとしているのが今度の法案になっているという指摘を厳しくされながら、その条文はどれなのかということさえ説明をしない。成案を得ても説明ができない。これ一つ取ったって、共謀罪法案の審議の前提はないということです。これを数を頼んで衆議院の審議入りをごり押しするなど、とんでもないではありませんか。

外務省に今日おいでいただきました。二〇〇七年に、自民党の条約刑法検討に関する小委員会というのがありまして、そこで対象犯罪を百二十八とか百五十一とか百六十二とかに絞る三つのパターンの修正案というのが作られています。結局、二百七十七の今回の法案でも、その三つのパターンの修正案、これ提出されていませんから骨子ということですけど、これ結局どれでも条約の担保はできるという、そんな話なんじゃないのか。当時の自民党の法務部会長だったと思いますが、小委員会の事務局長を務められた早川忠孝元衆議院議員は、あくまで小委員会限りの成案だが、当時の法務省と外務省の担当者と何度も検討して練り上げた成案だと言っているわけです。

これ、そういう対象犯罪を、どんなやつにしたって、どんな数にしたって、これ結局条約は担保できるということなんじゃないんですか。

○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。

委員御指摘のとおり、自民党が平成十九年、法務部会に条約刑法検討に関する小委員会を設置をいたしまして、当時国会に提出されておりました組織的な犯罪の共謀罪の新設を含む法案について修正試案を作成をしたことは承知しております。ただ、その同試案は国会には提出されなかったというふうに承知をしております。

そういうことを踏まえまして、政府としてその試案に対しての立場をお答えするのは控えたいと思います。

○仁比聡平君 終わりますけれども、結局テロに絞ったと言うけれども、法益保護の観点から具体的な検討をしていない恣意的な選別ではないのかと。共謀罪をつくらんがために説明を積み重ねれば積み重ねるほど、政府の説明というのは支離滅裂になっているわけです。ここであらわになっているのは、そもそも条約の義務付けだから共謀罪が不可欠だというその年来の説明自体がごまかしだったということなんですよ。

こんな法案は断固として撤回をすべきだということを強く申し上げて、質問を終わります


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