【17.05.23.】193通常国会 参法務委員会『共謀罪・国連特別報告者への懸念に応えよ。SACO見舞金制度を改めよ』

193回国会質問

193通常国会2017年5月23日参法務委員会『共謀罪・国連特別報告者への懸念に応えよ。SACO見舞金制度を改めよ』

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

先週の金曜日に衆議院の法務委員会において共謀罪法案を強行採決した政府・与党、断じて許せない。委員会に差し戻して、本会議の上程なんか絶対駄目だと、徹底審議を衆議院の法務委員会において尽くすことを強く求めたいと思います。あわせて、百二十年ぶりのこの債権法改正を私たちが徹底して十分な審議をできる環境を壊していくこの与党のやり方というのも断じて許せない。

大臣に本当はお尋ねすること自体がもう怒りでこらえられないぐらいですけれども、そういう下ですから、開かれた以上お尋ねしたいのは、あなた方が強行採決を行って、週末に世論調査が行われましたけれども、共同通信の行った世論調査において、説明不十分という声が七七%に上っている。当然御存じだと思いますが、これ、大臣、どんな御認識ですか。

○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員のただいまの御指摘に対しましては、御指摘ございました報道があったことは承知をいたしておりますが、調査方法の詳細等については承知をいたしておりませんので、個別の調査結果についての所感を申し上げることは差し控えたいと考えております。

○仁比聡平君 大臣が世論調査の調査手法を知っているのかとか、共同通信がどんな調査をしたのか知っているのかとか、そんなことを聞いているわけじゃないですよ。

世論調査で国民が説明不十分だと言っている。説明が不十分だというのは、つまり、あなたを始めとした安倍政権の答弁が、これ、国民には分からないということでしょう。大臣、その自覚はあるんですか。

○国務大臣(金田勝年君) 国会における審議の進め方につきましては国会において判断していただくべき事項でございまして、法務大臣の立場から所感を申し上げることは差し控えたいと思います。

その上に、その前提に立ちまして、この法案につきましては、様々な観点からこれまでも充実した審議を、参議院におきましても衆議院におきましても審議をいただいてまいりましたことを受け止めておりまして、私としても、予算委員会あるいは法務委員会等の委員会において委員の方々から様々な御質問をいただき、誠実な答弁に努めてきたところであると、このように申し上げたいと思います。

今後の審議におきましても、国民の皆様に法案の必要性、重要性を御理解をいただいて、与党のみならず皆様からも広く御支持をいただけるよう、これまで同様に分かりやすい丁寧な説明を尽くしてまいりたいと、このように考えておる次第であります。

○仁比聡平君 まず、私、今、国会の審議の進め方、議会の運営の問題について大臣に認識問うているんじゃないんです。

大臣の答弁の中身そのもの、それが説明不十分、つまり国民には理解ができないという声が八割に上っているでしょうと。御自身が答弁をしてこられて、今もお話ありましたよね、誠実に答弁してきたと。これまでと同様に、今後ともできる限り理解を得ていきたいというわけでしょう。あり得ないじゃないですか。これまで大臣が誠実に答弁してきた、政府参考人もそうなんでしょう、だけれども、分からないと国民が言っている。これまでと同じことをやっていて、これ理解されるわけがない。

例えば、三月八日の参議院の予算委員会で、私、下見と花見や散歩はどう区別するのかと大臣にお尋ねして、これ、速記を中止するとか、議場で一体これどうなっているのかということになりました。どうやって、外形上区別ができない、法益侵害に向かう危険がという観点からするとそれはないというこの行為をどうやって処罰するというのか、どう捜査するというのか、これ大きな国民的な疑問になりましたよね。一般紙あるいはテレビの報道でも随分紹介されるようになりました。

与党は、外形的行為、外形的な事情というもので区別するんだみたいな答弁を四月の二十八日に林局長に求めたけれども、私どもの議員のその日の質問で、いや、外形上区別できないじゃないかと聞かれて、大臣、よく紹介されているとおりですが、ビールと弁当を持っていれば花見、地図と双眼鏡なら下見だと、そういう答弁された。

これ、これで誠実に答弁して、これで国民の不安が払拭された、そういうことなんですか。

○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員からはテロ等準備罪の法案の、私どもは、実行準備行為というものを計画に加えて初めてこれが行われたときにその処罰範囲というものの対象、処罰の対象というふうになるし、捜査の対象となるというこの中で、組織的犯罪集団という限定を置いた主体がその対象であるということも含めて様々な議論が行われてきましたが、その議論にただいま御質問が及んでおりますので、私から申し上げますと、私としては、テロ等準備罪につきましては、犯罪の主体のただいまのような限定、組織的犯罪集団への限定、それから、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が適用対象とはならないということを一層明確にしたつもりでありますし、さらに、犯罪の計画行為だけでは処罰されなくて、実行準備行為があって初めて処罰の対象となることによりまして、内心を処罰するものでもないことについても一層明確になったということを申し上げてまいりました。そして、処罰範囲が限定されたものになっているということ、こうした点を始めとして、このテロ等準備罪の法案につきましては、国民の皆様方の御理解を得られるように丁寧な答弁に、そのポイントをしっかりと踏まえた上で答弁に努めてきたところでありますが、ただいまの御質問をいただきましたので、引き続き誠実な丁寧な説明を国民の皆様に対して申し上げたいということを申し上げたわけであります。

ただ、今、花見と下見の話が出ましたので申し上げますと、あくまでも、犯罪の下見行為あるいは外形的には花見との区別というふうな話になった場合には、やはり前提として申し上げているところからしっかりと受け止めていただかなければいけないんだと、このように思っております。

計画をしたものであるか否かで判断をするという前提、計画に基づく行為であるかどうかで判断するという視点、それから、計画に基づく行為と認められるかの判断方法としては、やはり犯行場所や逃走経路あるいは下見の必要性が認められる場所といったものに他に特段の理由もないのに赴いたのであれば下見行為である可能性が高いと言える一方、それが計画と無関係な場所なのであれば実行準備行為であるとは言えないということになるということも申し上げてきたつもりであります。同時に、主観的要素の判断方法というものについても申し上げてまいりました。ある行為……(発言する者あり)それから、実行準備行為に当たるかどうかの判断方法についても、携帯品やその状況といった外形的な事情から区別され得るものであると考えられますが、その行為が実行準備行為に当たるか否かについては、個別具体的な事実関係を離れて一概に申し上げることは困難であるという前提の上で、一般論として申し上げれば、例えば地図等を携行し、地図に書き込みをしたり、計画された犯罪の遂行上意味のある場所の写真を撮ったりしながら歩くなどの外形的な事情が認められる場合には実行準備行為と認定する積極的事情となると考えられることも申し上げてきたつもりであります。

そして、一般論として申し上げれば、そういう実行準備行為と認められない場合、証拠上、下見目的であったことが明らかとならない場合には実行準備行為とは認められないんだということも証拠上の議論として申し上げてまいりました。

そういうふうな全てを含めて御理解をいただきたいものと思います。

○仁比聡平君 いや、結局、大臣、長々まがまがしい言葉をいっぱい並べて、その上で、やっぱりビールを持っていれば花見、双眼鏡や地図だったらば下見というわけですよ。それが分からないと国民は不安を募らせているわけですね。

今、計画との結び付きというお話されたから、ちょっと一問だけそこ聞きますけど、計画というのは別に文書になっている必要はない。メールやLINEのやり取りでも成立することはあり得るというのは、もうこれまでも議論してきたとおり、確認をしてきたとおりで、結局、外から見て分からない歩いている行為があるでしょう。これが大臣のおっしゃる計画に基づいているものかどうかというのは、その計画、つまり話合いの中身、やり取りの真意、これをつかまないことには分からないということになるじゃないですか。外から見て危険はない行為、その内心という言葉がお嫌いなら考えでいいですよ。頭の中でもいいですよ。どういう真意でその行動を行っているのかということが大臣の関心事ということになるわけでしょう。大臣、違いますか。

○国務大臣(金田勝年君) 捜査のお話、そして監視のお話にお話が……(発言する者あり)いや、及びましたので。捜査というのは、過去に行われた犯罪について行われるのが通例であります。この点は、テロ等準備罪についても同様であります。すなわち、組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪について、計画行為と実行準備行為のいずれもが行われた後にそのような行為が行われたことの具体的な嫌疑が発生した場合に行われるのが通例であります。

したがって、リアルタイムで、リアルタイムで捜査をするのではなくて、これらの行為が終了した後に……(発言する者あり)大事なことを申し上げております。リアルタイムで捜査するのではなく、これらの行為が終了した後に行われるのが通例でありまして、そのように開始された捜査によって収集された証拠に基づいて計画の内容や実行準備行為の該当性などが判断されることになるわけであります。

したがって、計画行為が行われる前から監視していなければ計画の内容を把握できない、あるいは実行準備行為に当たるかどうかについては判断できないといったことはないわけであります。

○仁比聡平君 いや、私が問うたのは、ずっと監視していないと駄目かという議論じゃないじゃないですか。(発言する者あり)何を言っているんですか。大臣が勝手に論点を設定して、私の質問に答えない。そういう議論の仕方を衆議院の法務委員会でもぐるぐるぐるぐる行って、三十時間少し超えたからといって強行採決をしたのがあなた方だ。それを許されないと国民が大きな声を上げているんですよ。

私が尋ねたことを大臣は今もおっしゃいましたよ。だって、証拠で認定するんでしょう。証拠で認定する対象は何かと、それは人のやり取りの真意でしょうと。だから、その人の内心に立ち入って、考え方に立ち入って、どんな真意で歩いているのか、それによって花見と下見、区別するというわけだから、だったらばそこを、捜査でも調査でもいいけれども、今日はここはおいておきますが、その対象にするということじゃないですか。

大臣、幾ら言葉を並べても結局大臣の答弁がそういうことになってしまうのは、共謀罪法案というのが憲法違反の共謀罪にほかならないからなんです。強行採決を受けて国会を包囲した若い世代の、未来のための公共の皆さんの集会で、説明できない法案通すなという声が私はとても強く印象に残りました。徹底して審議を尽くして私は廃案にすべきだと思いますが、そのためにも衆議院の法務委員会に法案を差し戻すということを強く求めたいと思うんです。

この問題についてジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者が安倍首相に送付した書簡がございます。これも大問題になっておりますが、これ、大臣としてはどのような検討を行われたんですか。

○国務大臣(金田勝年君) 五月十八日、先週の金曜でございますか、国連人権理事会のプライバシーの権利特別報告者が、日本政府に対する書簡におきまして、現在国会で審議中のテロ等準備罪処罰法案について懸念を表明したことは承知をいたしております。

しかしながら、書簡の中で記載されております懸念や指摘事項の多くは、本法案の内容や国際的組織犯罪防止条約の義務等につきまして必ずしも十分な理解のない中で記載されているように見受けられると受け止めております。直接説明する機会が得られることもなく公開書簡が一方的に発出されたこと、そして同書簡の内容が明らかにバランスを欠き不適切なものであることにつきましては、外務当局において強く抗議をしたものと承知をいたしております。

そもそも国連は、累次の国連総会決議や安保理決議により繰り返し表明しておりますとおり、我が国を含む残された数少ない未締結国に対しまして国際組織犯罪防止条約の早期締結と実施を求めている、プライバシーの権利特別報告者は独立した個人の資格で人権状況の調査、報告を行う立場にあり、その報告、勧告等は国連の立場を反映するものではないものと考えております。

申し上げるまでもなく、テロ等準備罪は国際組織犯罪防止条約を締結するに伴って必要なものとして新設するものであるところ、二つございます。一つは、先ほどから申し上げておりますが、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定することによって、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が適用対象とはならないことを一層明確にした点、それからもう一つの点は……(発言する者あり)したがって、こういう考えの下、私どもは、本法案はプライバシーの権利を含めおよそ人権を不当に制約するものではないことは明らかであると、このように私どもの考え方は関係省庁と整理をいたしておりますし、同時に、外務当局において強く抗議をしたものと承知をいたしております。

以上であります。(発言する者あり)

○仁比聡平君 いや、なるほどと自民党が言っていますが、驚くべき国際社会に対する不遜な態度じゃないですか。

このケナタッチさんは、個人というふうに官房長官もえらく強調して言葉を使っていますけど、人権理事会の決議に基づいて、プライバシーに関する権利の特別報告者としての任務に基づく照会でしょう。これ、様々な国際人権や国際法に関して、あるいは様々な条約の実施に関してこうしたやり取りが行われることはありますけれども、四項目情報提供を求められていますが、これ、情報提供するべきものなのではないんですか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘のプライバシーの権利特別報告者からの指摘につきましては、その書簡の中身を精査をいたしまして、外交ルートを通じてしかるべき回答をするものと承知をいたしております。

○仁比聡平君 いや、しかるべき回答って、求められている情報提供をするというのが日本政府の務めであって、法務省はそこに関わって、実際に、さっき大臣、少しおっしゃり始めたけれども、だから私は、国際社会に、国連に対してそれを言ったらどうかというんですよ。そういう情報提供をしっかりやるというのが政府の立場でしょう。それを、その書簡が届いたしな、いきなり不適切だ、抗議するという、これ、国連人権理事会に対しても極めて不誠実な態度だと私は思うんですけれども、大臣、そういう認識はないんですか。

○国務大臣(金田勝年君) 国連特別報告者の書簡に対する政府としての対応につきましては、本来、外務省から答弁すべきものであろうと、このように思います。したがって、私、法務大臣としてお尋ねをいただきましたので、テロ等準備罪処罰法案を所管する立場からあえて申し上げておりましたのが先ほどのお答えであります。

○仁比聡平君 この特別報告者から、我が国官房長官の声明に対する反論が出ております。これ、大臣、御存じなのかどうか知りませんけれども。

私が日本政府から受け取った強い抗議は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした、その抗議は私の書簡の実質的内容について一つの点においても反論するものではありませんでしたと厳しく述べ、私は安倍晋三内閣総理大臣に向けて書いた書簡における全ての単語、ピリオド、コンマに至るまで維持し続けます、日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできません、こう述べていますよ。今こそ日本政府は立ち止まって内省を深め、より良い方法で物事をなすことができることに気付くべきときなのです、私が書簡にてアウトラインをお示しした全ての保護措置を導入するために、必要な時間を掛けて世界基準の民主主義国家としての道に歩を進めるべきときです。

このような反論が出されるほど、日本政府の今の態度というのは極めて不誠実。言い方を変えますと、国内で異論や批判を数の力で封殺する、国際社会の人道法にのっとった道理のある指摘に対しても、こうやって言わば感情的に反発する。これ、異論を封じて何が何でもというごり押しをする安倍政権に対する、私、この特別報告者の書簡というのは極めて痛烈な批判だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員から御指摘ございました報道があるということは承知をいたしております。日本政府として正式に反論を受けたわけではないことから、コメントすることは差し控えたいと、このように考えております。

いずれにしましても、先ほどから申し上げておりますように、特別報告者からの指摘につきましては外交ルートを通じてしかるべく回答をしていくものと承知をいたしております。

○仁比聡平君 大臣、そんなふうにおっしゃっても、この特別報告者から、日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできませんと言われている、その法案の責任者ですからね、大臣。外務省がとか菅官房長官とかいう、そういう話じゃないですから。大臣御自身の責任なんですから、大臣の答弁の中身の問題なんですから。そのことをよくわきまえた上で、衆議院の本会議の上程など断じて許さないということを厳しく申し上げておきたいと思います。

時間の制限がありますから、民法改正案について私、資料をお配りをさせていただきました。平成八年の十二月二日付けでSACO最終報告がお手元に見えるかと思います。二枚目に、米兵などによる事件の被害者に対するSACO見舞金制度についての資料がありますけれども、防衛省、おいでいただいておりますが、このSACO見舞金の制度、とりわけこの二枚目の平成十年一月十三日の通知にあります、裁判所の確定判決額が米国政府による補償額を上回る事例が生じた場合の取扱いというものを措置している理由、趣旨、これについてまずお答えいただけますか。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

委員が配付された資料にございますこの制度でございますけれども、これは我々SACO見舞金制度と呼んでおりますけれども、これはSACO最終報告にございますように、米国政府による支払額が裁判所の確定判決の額に満たない事例が生じておるという事例を踏まえまして、その差額を埋めるために創設されたものでございます。

要件といたしましては、被害者側が地位協定十八条六項の規定により米側から補償金の支払を受けていること、加害者たる合衆国軍隊の軍人等を被告とした損害賠償請求訴訟において確定判決を得ていること、確定判決額が地位協定十八条六項の規定による補償額を上回っていることを支給要件として行っているものでございます。

○仁比聡平君 そもそも、伺いたいんですけど、確定判決額というのは、これは取り返しの付かない事件、事故によって国民が米軍関係者による被害を受ける、これに対して国民の皆さんが裁判に訴えて出て、本当に大変な裁判を闘って、やっと判決が確定するということになるわけですよね。にもかかわらず、今局長がおっしゃったけど、その確定判決額が米軍によって支払われない、米国政府によってその確定金額よりも下回るという事例があるんだと。これ、一体どういうことなんですか。米軍は日本の裁判所に従わないわけですね、つまり。米政府は、自分が言う金額の基準というのをこれははっきりさせているんですか。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

先ほど申し上げました地位協定十八条第六項の規定は、当事者間の示談が困難な場合に、防衛省が被害者側から補償請求を受けまして、その内容を審査して米側に報告書を送付した上で、米側が慰謝料の額を決定し、被害者の受諾を得た上で支払うということになっておるところでございます。

一方、被害者側が訴訟を起こすことは全くそれは禁じられているものでもなく、そうしたことはあるわけでございまして、そうした場合にその確定判決が米側の決定した支払額を上回る、確定判決の方が大きくなるということが現実にございます。

こうした米国の政府の支払額につきましては最終的には米国政府の自らの判断に基づいて決定していることでございますので、こうした事象が起こるものと承知しております。

○仁比聡平君 おかしな話でしょう。だって、公務外で米軍関係者が事件、事故を起こす。これについて管轄権が我が国にあるのはこれは当たり前で、そこで民事の判決が、損害賠償金額が確定する。ところが、アメリカはそれに従わない。自分の基準で勝手に決めて、今、慰謝料金額とおっしゃいましたけどね、その慰謝料金額をどのように決定するのか、その基準を明らかにしていますかと言っているんです。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

先ほど言いましたように、地位協定に基づく枠組みにおきましては、防衛省がその被害者からの補償要求を、精査を受け、米側に報告書を送付するということになっております。一方、米側がその後どのような具体的積算方法について決定したかについては、当方としては説明を受けたことはございません。

○仁比聡平君 金額さえ明らかにしないんですよ。それで日本の確定判決に従わないんですよ。

しかも、米側が支払をするときには、加害米兵を免責するという条項に被害者が同意しないとできないんですよ。このSACO見舞金制度というのも、この一枚目の支給要件(1)にそれがあるように、加害米兵の責任をもう免除しますということを約束しないと支払われない、始まらないということになっているんですよ。

取り返しの付かない被害を受けた被害者が何で加害米兵を許さなきゃいけないのか。許すんだったら、米国政府は判決どおりに満額をよこせというのは、これは当然の心情じゃないですか。この議論は赤嶺政賢議員始め様々されていますから、今日はもうここではしませんけれども、これ以上。

民事局長、ちょっとお尋ねしたいんですが、この防衛施設庁の通知にある裁判所の確定判決額というこの言葉の中には、一般論として言えば、遅延損害金を始めとして、確定判決の主文で認められる請求権というのはこれ含まれますよね。

○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。

もちろん文書の趣旨によろうかと思いますが、一般的に言えば、裁判所の確定判決額には今議員御指摘の点についても含まれるものというふうに理解しております。

○仁比聡平君 ところが、二枚目、皆さんも御覧いただくと、支給額というのは、見舞金の額は裁判所の確定判決額と地位協定第十八条六項の規定による補償額の差額とするとした上で、なお、遅延損害金及び訴訟費用は支給の対象としないと書いてあるわけです。これ、防衛省、なぜですか。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

一般に、確定判決において遅延損害金の支払を命じられている場合は、その遅延損害金は支払われるべきものと承知しておりますが、この判決による遅延損害金の支払は、不法行為をそもそも行った者に対して示されたものであると認識しております。

他方、この制度、SACO見舞金の制度におきます防衛省の立場は、防衛省自ら不法行為を行ったわけではなく、また損害賠償責任を負わない場合であっても、被害者救済のためにSACO見舞金を支払ってきていると、そうした性格で支払われているものと考えております。

したがいまして、防衛省としては、賠償金が支払われないことに対する延滞料の性格を有する遅延損害金については支払の対象としてはおりません。こうした制度の下ではありますけれども、今後ともこのSACO見舞金の適切な運用という、支払には努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○仁比聡平君 いや、とても理解ができないんですよ。理屈が通っていないと思うんですけれども。

延滞料の性格を有するから払いませんというのは、どういう意味ですか。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

今申し上げましたが、そもそも判決で認められている賠償額と申しますそれが支払われない場合に遅延損害金が付くというのは、犯罪を行った者に対する責任を問うという観点から出ているものだと考えております。

一方、これは、私どもがお支払いしているSACO見舞金といいますのは、見舞金という名称を付けておりますけれども、こうした制度の結果、日米の地位協定に基づく算定、そして訴訟、その結果出た差額を埋めると、そのことによって被害者救済を行うという趣旨でございます。

したがいまして、我々日本政府側が延滞の責任を負ってそれを払うという性質のものではないと考えまして、損害額との差額ということでこれまで運用してきているところでございます。

○仁比聡平君 ちょっと先に後の部分を確認しますけど、つまり被害者救済のために発生している被害を補填する、穴埋めをするという、そういう趣旨のものだということですね。

○政府参考人(深山延暁君) このSACO見舞金の性格はそのようなものであると理解しております。

○仁比聡平君 つまり、発生している被害を補償する、補填する、それは、局長、あれですよ、防衛省、損害賠償というものはそういうものですよ。防衛省が、あるいは日本国がその責任、損害賠償の責任を負っているのか否かは、ちょっとここはおいておきましょう。自衛隊が組織としてとか自衛隊員が行った行為というのとはこれは場面が違うでしょうと、そういう意味でおっしゃっているなら、それはそうだろうということなんですけれども。

ちょっと民事局長にお尋ねしますけど、そもそも損害賠償と遅延損害金ということなんですけど、事件、事故による被害というのは取り返しが付きません。けれども、事後的に損害を補填することによって公平あるいは正義を回復するというのが損害賠償制度の趣旨で、遅延損害金、不法行為の場合に遅延損害金が不法行為のときから発生するということになっていることも含めて、事件、事故のときから完全に損害が補償されるまでの遅延損害金が支払われてこそ公平と、私はそういう考え方なんだと思うんですけど、いかがでしょうか。

○政府参考人(小川秀樹君) いわゆる不法行為に基づく損害賠償の考え方は、基本的にそういうところだと思います。

○仁比聡平君 防衛省深山局長が先ほど、延滞料というのは、つまりこれ遅延損害金とおっしゃりたいんだと思うんですけど、これ、犯罪を行った責任を問うものであり、あたかも防衛省は犯罪は行っていませんと、何だかそんな答弁されたんですが、それ理由にならないでしょう。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

累次御答弁申し上げておりますけれども、今のSACO見舞金の運用の基になっている考え方は、私が御答弁いたしましたとおり、遅延損害金、これにつきましては、本来その不法行為の責任を有する者に問われるべきものであろうということで、我々は支払っていないということでございます。

その一方で、じゃ、なぜ見舞金を払っているかといいますと、見舞金という言葉にもございます、厳密にこれは法的に日本政府に責任があるかどうかという問題ではなくて、やはり被害者の方々に相当の償いを申し上げるべきだということによりまして、確定判決と米側から支払われた額の差額、それはそこには遅延損害金を含まないという解釈をしておりますので、今御批判をいただいているところでございますが、そうしたことでできておるものでございますので、私どもはこれまでそれでやってきておりまして、そうしたことについてはそれなりの妥当性があるのではないかと考えておるところでございます。

○仁比聡平君 御答弁になっていないんですよ。

被害者に償いをするんだと、今償いというお言葉も使われたとおり、つまり被害を回復する、それは民法の言葉で言えば損害賠償ですよ。そうおっしゃりながら、その損害賠償の重要な構成部分である遅延損害金は除くと言うから、なぜですかと聞いても、その理由が結局立たないじゃないですか。今の御答弁は、妥当であると思いますと最後おっしゃったのみでしょう。

ちょっと別の角度で聞くんですけど、資料のその次のページに、SACO見舞金についての防衛省のホームページから資料をお配りしていますが、この見舞金について、相続人が複数存在する場合、相続人の一人が損害賠償請求訴訟において確定判決を得ていれば、損害賠償請求訴訟を提起していない被害者の相続人もSACO見舞金の支給対象となり得ますのでお問い合わせくださいという紹介があるんですね。

これ、相続人に見舞金請求権があるというのは、私、当然のことだと思うんです。このときにほかの相続人の委任状も求める、そういう手続をしておられると思うんですが、これはなぜですか。

○政府参考人(深山延暁君) 委員御指摘のとおり、米軍人等が起こした事件などにより亡くなられた被害者の相続人が複数存在する場合に、相続人の一人が損害賠償請求訴訟において確定判決を得た後、SACO見舞金の支給を受けるためには、ほかの相続人の全ての方からの委任状を得ることを求めております、そういった必要があると説明しております。これは、SACO見舞金の支給に当たり、相続人間で争いが生じることのないよう、あらかじめ他の相続人の御意向を個別に書面により明らかにするためにこのような措置をお願いしているわけでございます。

○仁比聡平君 昨日レクでも確認をしましたけれども、もちろん、相続人という言葉が使われているとおり、亡くなられた被害者の全ての相続関係を明らかにして、その全ての相続人の下でこの手続が行われるようにしているということなんですよ。

これ、つまり、亡くなられた被害者の損害賠償債権を相続人が相続しているからというのが大前提になっているんじゃないですか。

○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。

SACO見舞金という名目ではございますが、実質的にやはり損害を補填申し上げる、差額を埋めるという趣旨でありますから、実質的には損害賠償請求権、そうしたものと同旨に扱うのが適当だと考えまして、このような措置をとっております。

○仁比聡平君 いや、今大事な答弁されたと思うんですよね。見舞金という制度の名前にはなっているけれども、実質は損害賠償請求権であり、これと同旨に扱うというのが妥当ということなんですが、これ、ちょっと言い方変えると、SACO見舞金というのは、加害者とそれから米政府によっても補填されない損害を日本政府が補填するもの。言い方変えると、平たく言うと肩代わりすると言ってもいいのかもしれませんが、その見舞金の実態、実質、あるいは原点や出発点というのは、これは被害者の損害賠償債権。だからこそ、確定判決額というのを皆さん問題にしている、そういうことなんじゃないですか。

○政府参考人(深山延暁君) 累次御答弁申しておりますが、このSACO見舞金ができた趣旨に鑑みますと、これは、確定判決が出たにもかかわらず米側からの支払がそれに満たず、そこが満たされなかったという、そうしたことの不利益を埋めてさしあげるという観点でつくられたというものだと認識しております。

○仁比聡平君 先ほどの答弁は大事な答弁だと思うんですよね。

大臣、そうした実質を有する見舞金なのに遅延損害金は払わないというと、これ、おかしいと思いませんか。

○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員のただいまの御指摘を聞いておりました。そして、御質問にお答えいたしますが、御質問の見舞金をいかなる範囲で支払うべきかについては法務省としてはお答えする立場にはありませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

○仁比聡平君 私は、大臣の所管ではないというのはそれはそうでしょうと。だけれども、同じく損害賠償を実質としているのに、この見舞金のときだけ遅延損害金が払われないというのは、これは極めて不合理だし、不当な結果をもたらしているわけですよね。

これ、ちょっとお配りする時間がありませんでしたけれども、防衛省に、実際に米側が慰謝料の金額を出してくるまでの期間、実際に米側からの支払が被害者になされるまでに要した期間というのを、これまでSACO見舞金が適用されている十三件の例について資料で提出していただいたんですが、最も長い期間は二千八百二十七日ですよ。つまり、七年九か月、米側は事件、事故が発生してから自らの支払の額を出してこないわけです。次に長いのは二千二百四十七日間ですよ、六年二か月。その次は四年七か月であり、四年四か月というのもある。

先ほど民事局長に御答弁いただいたように、事件、事故のときから不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金というのが発生するわけです。例えば、金額で一番大きい確定判決額というのは二億五百三十四万七千円という事故ですけれども、その遅延損害金が六年、七年払われないことによって被害者の側に生まれる損失というのは極めて大きいものがあるでしょう。

お金の問題じゃないんですよ。けれども、その被害者の被害が回復されない、その損失リスクが、加害者や米政府ではなく、全て取り返しの付かない被害を受けた被害者の側に押し付けられると。これ、大臣、公平に反すると思いませんか。損害賠償制度というのが根本からひっくり返ってしまいませんか。

○政府参考人(小川秀樹君) 先ほどの点でございますが、見舞金制度を所管する立場にございません私どもといたしましては、この点につきましては答弁を差し控えたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 大臣も民事局長もこの場ではそうおっしゃらざるを得ないのかもしれないんですけど、今日傍聴席においでいただいているのは、皆さん、二〇〇六年の一月三日に横須賀市で起こった事件、御存じだと思います。米空母キティーホークの乗組員の米兵が佐藤好重さんに対して、顔面を殴る、体をコンクリートの壁を目掛けて投げ付ける、腹部などを足で多数回踏み付けるなどの暴行に及んで現金約一万五千円を奪った。結果、佐藤好重さんは右の腎臓及び肝臓の破裂による出血死で殺害をされたという強盗殺人事件です。

この事件で、おいでになっている御遺族の民事訴訟の判決が二〇〇九年の五月二十日、横浜地裁で確定をしました。判決金額は約六千五百万円、及び事件発生の日から支払済みまで年五%の遅延損害金の支払が日本の裁判所によって命じられているわけですね。これが確定している。ところが、今も一円も払われていないわけです。

この間の損失リスク、この国民の損害を全て御遺族に押し付けると、そんな仕組みになっているこのSACO見舞金というのは、やっぱりこれ改めるべきでしょう。

防衛省、この遅延損害金を全く払いません、それが妥当ですと言うけれども、損害賠償の制度の趣旨からしたらそんなことは通らない。これ、変えるべきじゃないですか。

○政府参考人(深山延暁君) 本制度の趣旨につきましては委員に御答弁申し上げたとおりでございますが、今の御指摘は十分承りまして研究はいたしたいと思っておりますけれども、現在我々が運用している趣旨につきましては今申し上げたとおりであると考えております。それについては御理解を賜りたいと思っております。

○仁比聡平君 時間が参りましたので、私の提起、この委員会での議論の趣旨を踏まえて研究したいとおっしゃったことはとても大事なことだと思いますから、これからも徹底して議論していきます。

第三者個人保証について大事な質問を残していますけれども、次回、徹底して審議することを申し上げて、今日は質問を終わります。


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