【17.04.13.】193通常国会 参内閣委『レッドパージ被害者救済勧告の誠実な履行を』

193回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。今日は質問の機会をつくっていただきまして、委員長始め皆さん、ありがとうございました。官房長官、どうぞよろしくお願いいたします。

資料をお配りをしておりますけれども、六枚目からをまずちょっと御覧いただきたいと思うんですが、これは二月の十日に、レッドパージを戦後最大の人権侵害として、日弁連及び各地の弁護士会に人権救済を申し立てた被害者の皆さんとレッド・パージ反対全国連絡センターが、安倍総理に対して、日弁連の二度の勧告を始め十四度にわたる人権救済勧告の早期実施を求めた要請書です。要請には私も同席をしたんですけれども、内閣総務官室を通じて、二月の十五日に官邸の総理室と官房長官室に上げられたと伺っております。

私から少し紹介しますと、一九四九年から五一年にかけて、推定四万人の共産党員、支持者、労働組合員を解雇、職場追放したというのがレッドパージです。米占領軍の示唆を受けて、当時の吉田内閣の閣議決定によって行われたと。

資料の七枚目、御覧いただきますと、日本発送電株式会社、現在の九電になりますが、ここからレッドパージされた被害者の藤江忠太郎さんの遺族の総理宛ての手紙があります。何の理由も示されずに解雇された父だけではなく、母はもちろん、家族の生活は激変し、父、母は生活の糧を得るために郷里の壱岐に帰り、地域の視線に耐えながら慣れない農業や雑貨店などを営み、子供たちもレッドパージに向き合わざるを得なくなった。名誉回復を実現することなく十五年前に逝去した父の無念を晴らすために、苦労を共にしてきた母が弁護士会に人権救済を申し立てた。そうした中で、昨年十月に出された総理に対する福岡県弁護士会の勧告書は、私たち遺族の気持ちを代弁するものでしたと述べていらっしゃいます。

ここに出てくる日弁連の最初の勧告は二〇〇八年に出されまして、九年前になります、二度目の勧告が二〇一〇年、七年前になるわけですけれども、その勧告の中では、レッドパージは、日本国憲法や世界人権宣言が明確にうたっている思想、良心の自由、法の下の平等、結社の自由を著しく損なうものである、被害者の名誉回復と国家賠償を含む人権侵害救済措置を可及的速やかに実施するようと勧告をされています。そして、全ての勧告が、一九五二年に平和条約が発効した後は政府として被害者の名誉回復措置を容易に行うことができたのに、これまで放置してきた責任は重いと。

昨年十月の福岡の勧告は、日弁連勧告が出された後も何らの被害回復措置を講じていないと政府の責任を指摘しているところなんですね。

官房長官、以上のような簡単な紹介ですけれども、こうした歴史の中で、当事者あるいは被害者の方々が今次々と亡くなっていっておられます。けれども、この藤江さんのように生きているうちの名誉回復をと、このことが強く求められているわけですし、私もそのとおりだと思います。

そこで伺いたいと思うんですが、資料の一枚目、これ内閣府から提出をいただいたものをお配りしましたが、表題に「共産主義者等の公職からの排除に関する件」という閣議決定ですが、これが指摘されている、一九五〇年、昭和二十五年九月五日の閣議決定だと思いますが、官房長官、よろしいでしょうか。

○政府参考人(武笠圭志君) まず、私の方からお答えさせていただきます。

御指摘の免職あるいは解雇につきましては、その行為の時点におきまして連合国最高司令官の指示に従ってなされたもので法律上効力を有しており、その後に平和条約の発効により連合国最高司令官の指示の効力が失ったとしても影響を受けるものではないという司法判断が確定しております。この判決の中で、委員御指摘のように、昭和二十五年九月五日、政府、第三次吉田内閣は「共産主義者等の公職からの排除に関する件」の閣議決定を行ったということが認定されております。

○仁比聡平君 マッカーサー指示の超憲法的効力ということがこの問題について繰り返し言われているんですが、私は、果たしてそうなのかと、この閣議決定をいただいて改めて思うんですけれども、皆さん、三ページ目を御覧いただきますと、元々の請議された文書に、恐らく当時の吉田首相のものと思われる文章が書かれて、書き込みがございます。本件についての意見がある、次回閣議にて再考を云々と。ちょっと私、読みづらいところがありますが、こうした趣旨の吉田当時首相の署名があり、続いて、五日法務総裁より御説明済みのはずと読めるんですが、岡崎という署名がありますが、この岡崎さんというのは、当時の官房長官、岡崎勝男さんのことだと思うわけですね。

これ一ページ目に戻っていただきますと、この案が起案されたのがその年の九月一日であり、閣議決定が九月の五日であると、請議は法務総裁が請議したものであるということになっているので、そうした経過の下で五日に法務総裁の説明の上、閣議決定されたということのようなんですけれども、これ、官房長官、そのように読めると思われませんか。

○政府参考人(土生栄二君) お答えいたします。

私ども、昨日この資料を拝見いたしまして、ところでございますけれども、確かに先生御指摘のとおり一部読み取り難い部分もあるわけでございまして、確たることを申し上げることは難しいわけでございますけれども、今先生がおっしゃいましたような記述があるということは、私どもとしてもそのように思われるということでございます。

ただ、いずれにいたしましても、この閣議請議等の経緯について現時点でお答えするということは難しいというふうに思っております。

○仁比聡平君 現時点でお答えはできないのかもしれないけれども、この閣議決定がどのようなものなのかということは、やっぱり歴史、そして今、当事者、被害者が現にいらっしゃるわけで、重要な事実だと思うんですね。この点、よく調べていただきたい、検討いただきたいと思うんですけれども。

今の点に加えて、一枚目の、「別紙 法務総裁請議」とあります。これ、今も、現在も閣議決定のやり方はさほど変わってはいないということなんですが、つまり当時の法務府、現在の法務省の大橋武夫法務総裁の下で準備され閣議決定されたものであるということが示されているんだと思うんですね。

当時、法務省のどこが所管していたのか。そして、この閣議決定の文書に、「法務総裁請議」の文字の上に二重線が引かれているんですけれども、これはどういう意味なのか、お分かりになりましたでしょうか。

○政府参考人(杉山治樹君) 御指摘の閣議決定につきましては、現在のところ、当該閣議決定の請議文書あるいは決定の経緯に関する資料等の存在が確認できておりませんので、当時の法務総裁が閣議請議したものかどうか、あるいは御指摘の二重線、これが何を意味しているのかについてお答えすることは困難でございます。

ただ、仮に、今所管の御質問がございましたので、仮に法務総裁が閣議請議をしていたとすれば、当時の法務府設置法等を踏まえますと、担当部局は法務府の特別審査局であったという可能性も考えられますけれども、確たることは申し上げられません。

○仁比聡平君 確たることは申し上げられないが、当時の特審局だったのではないかというお話だったわけですね。

当時の法務総裁の大橋武夫氏の聞き取りを行った内政史研究会の「大橋武夫氏談話第三回速記録」という文献がございます。この中で、竹前栄治氏の聞き取りに対して大橋法務総裁は、共産党員は公務員とかそういうものにはしないのがアメリカのやり方だと、日本でも是非やってくれと、どうしましょうかと特審局長の吉河光貞君から言われて、とにかく雇うか雇わないかというのは雇主の自由、それでやれということでやらすことにした。アメリカから何か通知があったかというと、それは特にない、日本政府の責任でやるかということだった。そこで、吉田総理と相談したら、吉田総理もやろうやということでやることにしたのです。それで、大分長い間準備をした。それで、一番先にやったのが電産じゃなかったか。その前に、関係閣僚で相談をした。労働大臣が保利茂さん、官房長官が岡崎君で、私が法務総裁、通産大臣が横尾さんでした。当時の赤坂御門の中で秘密に相談した。私が全面的に治安面は引き受ける。吉田さんも、大橋君がそこまで言うのならば、大橋君に引き受けてもらってやれということで決定したのですと。要旨ですけれども、そうしたインタビューがあるわけですね。

資料の四枚目、五枚目を御覧いただきますと、通産省からレッドパージをされた、免職された飯沼勝男さんという方に対する免職の辞令書とそして処分説明書がありますが、これを見れば、閣議決定の具体化としてこのレッドパージが、国、地方の公務員、教職員、公共企業体、そして全産業で強行されていったということは明らかだと思うんです。

確かにGHQの示唆などがあった。けれども、日本政府は、GHQの権力、権威を奇貨として極めて能動的、積極的に、しかも周到に準備をしてこれを強行していったということではないかというのが歴史の資料から私は浮き彫りになっていると思うんですね。だからこそ弁護士会が次々と人権救済の勧告をしているわけです。

官房長官、時間がもう来ておりますので、是非、官房長官御自身の御答弁をいただきたいと思うんですけれども、二〇〇八年に最初の勧告を日弁連が出したとき、あの当時の当事者の皆さん、今日も傍聴席にもいらっしゃいますが、河村建夫官房長官に院内の閣僚懇談室で御面会をいただきました。このときも私も同席をしたんですが、勧告の早期実施を求める当事者の皆さんに対して河村当時官房長官は、対応部署を定めるということについて検討するという御発言をなさったわけです。その後九年、ずっと勧告は続いていることも踏まえて、是非、当事者にお会いいただくことも含めて、勧告の実施あるいは対応部署を定めることについて御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(菅義偉君) まず、政府としての基本的見解でありますけれども、今いろいろなお話がありました。その中で、御指摘の免職又は解雇については、その行為の時点において連合国最高司令官の指示に従ってなされたものであって法律上の効力は有しているというふうに思います。その後に平和条約の発効により連合国最高司令官の指示が効力を失ったとしても影響を受けるものではないとの司法判断が確定しているものと、ここは認識をいたしております。

政府としては、このような司法判断を踏まえて、御指摘の弁護士会からの勧告の実施を検討することは考えておりません。

また、河村当時の官房長官の発言について言及がありました。どのようなやり取りがあったかについて詳細承知しておりませんけれども、本件については、やはり司法判断が示されているものというふうに認識をいたしております。

○仁比聡平君 司法判断が確定しているというお話ですが、弁護士会の厳しい指摘は、とりわけ占領下という特殊な状況下における人権侵害に対しても救済を行うということは、どのような状況下に置かれても人権は保障されなければならないという、人権の固有性、普遍性、不可侵性を改めて確認するという意味においても重要だということなんですよ。現に、痛苦の人生を送られて、その方々が救済を求められていると。

先ほどの閣議決定の経過というのも、これ、よく分からないと、今。だからこそ、しっかりと調べて、是非とも対応部署をつくること、そして、当事者の皆さんの願いに是非応えていただけるように、今日は問題提起の質問とさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。


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