【14.10.16.】法務委員会 選択的夫婦別姓導入とヘイトスピーチ根絶について松島大臣に質問

187回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

 松島大臣の所信を伺いまして、今日は二点お尋ねしたいと思っております。
 まず、選択的夫婦別姓の問題について、先日、十月八日の参議院予算委員会でこのように御答弁をされました。法務省といたしましては、現在、民法改正による選択的夫婦別氏制度の導入はできないと考えておりますと。先ほどの江田議員に対する御答弁を伺っておりますと、この答弁によって、あれですか、九六年の法制審議会答申に至った積み重ね、その後もこの国会で、例えば私自身もその法制審答申の内容を議員立法として提出をさせていただく、そうした議論も行われてきたわけですが、七五年の国際婦人年以降の世界的な女性地位向上運動の中での女性差別撤廃条約の批准、あるいは政府の国内行動計画に、氏や待婚期間の在り方などを含めた法制の見直しを図るんだということを政府として位置付けてこの答申が出た。その実現のために努力が国会の内外で進められてきた。こうした積み重ねそのものを、大臣、御破算にするというんですか。

○国務大臣(松島みどり君) 答弁申し上げます。
 委員がおっしゃいましたように、平成八年に法制審議会の民法改正に向けた幾つかの項目の中にこの項目が確かに入っておりました。そして、ただ法制審の結果というのは全て行政を縛るものではございませんし、それを受けて、平成八年当時から何年か掛けて、法務省はそのときの状況を見極めるためのいろんな働きかけをされてきたと私も承知しております。
 その結果といいますか、現在のところ、ここ数年及び現在の時点においては、この間私が申し上げましたように、我が国の家族の在り方の根幹に深く関わるものであることから、国民の理解を得て行う必要がある、そして世論調査の結果、平成二十四年の世論調査を見ましてもこの意見が大きく分かれているから民法を変えることはできないという、その法務省の現時点の状況判断というものをお伝えしたものであります。

○仁比聡平君 いや、とんでもない答弁だと思うんですよね。
 法制審が行政を縛るものではないというような議論を一体いつどこで行ってきたというんですか。現在できないと考えております、法務省といたしましてはできないと考えておりますなんという、できないと断定する御答弁というのはこれまでになかったことだと思うんですよ。もちろん、提出をされない、あるいは与党の中で了承されないと、そうしたお話はあってきましたよ。ですから、困難だとか難しいだとかという言葉遣いはあったかもしれませんけれども、できないという断定を一体どこで決めたんですか。

○国務大臣(松島みどり君) 現時点での状況判断で、もちろん今後いろいろな状況が変わっていけばまた状況変わりますが、現時点での状況におきましてはこれができない、困難であるというよりはできないという状況であるという、そういう御説明をさせていただきました。

○仁比聡平君 そうすると、現段階では、与党の了承がないからとか、あるいは世論がいろいろだからといってできないという、そういう意味だというわけですか。現在、法務省としてはできないと考えておりますというのは、そういう意味には聞こえませんよ。

○国務大臣(松島みどり君) まさにそういう意味のことを表すために、平成二十四年の世論調査の結果など、つまり世論調査の結果などを見て現在できないと、そういうふうに述べたつもりでございます。

○仁比聡平君 現在できないという御答弁はそういう意味には取れない。今は、過去はそういう検討をしてきたけれども、今できないと決めたというふうに取られかねないわけですよね。現段階ではと、将来はあり得るという話と、できないと決め付けるのとは全然違うじゃないですか。
 大臣の認識をちょっと伺いたいと思うんですけれども、昭和六十三年の最高裁が氏についてこういう判決をしたことがあります。氏名は、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成する。さきの婚外子差別違憲判決で最高裁は、本件規定の合理性は、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし、権利が侵害されているか否かという観点から判断されるべき法的問題である、こう判示したわけですが。
 私は、このことわりは別姓の問題でも同じだと思うんですよね。つまり、基本的人権に関わる問題だからこそ、人権問題だからこそ、その解決が政治、行政に重く課せられていると、そういう問題なんだという認識はあるんですか。

○国務大臣(松島みどり君) 夫婦が別氏のまま法律上婚姻するということが憲法における基本的人権として保障されているものとは考えておりません。また、現在の夫婦同氏制度が、これは現実には圧倒的に女性が氏を変える場合が多いのですけれども、制度としては夫婦のいずれの氏を称してもよいとされている、そういうことに鑑みますと、憲法における法の下の平等に反するものでもないと考えております。
 したがって、民法を改正して選択的夫婦別氏制度を導入するか否かは、基本的人権に関わる問題ではなく、立法政策上の問題であると考えております。

○仁比聡平君 そうした認識だから国際人権機関から数々の勧告が繰り返され続けるわけですよ。人権として保障されているからこそ、国際人権関連の委員会、とりわけ女性差別撤廃委員会から繰り返して勧告がされているわけでしょう。
 〇九年の八月の女性差別撤廃委員会の最終見解ではこう言っています。本条約の批准による締約国の義務は、世論調査の結果のみに依存するのではなく、本条約は締約国の国内法体制の一部であることから、本条約の規定に沿うように国内法を整備するという義務に基づくべきであるという指摘ですよね。
 これを、何だか人権問題ではないとか、基本的人権の保障とはならないとか、そんなことを勝手に言って、これまでの積み重ねにさえ背を向けるなら、それは法務大臣でありながら基本的人権を否定するという答弁になってしまいますよ。私は頭を冷やしてよく考えるべきだと思います。女性活躍なんていうのとは全く逆じゃないですか。
 この別姓の問題についてはこれからも徹底して議論をしていきたいと思いますけれども、今日はもう一問、ヘイトスピーチの根絶についての認識を問いたいと思います。
 今年の八月二十九日に国連人種差別撤廃委員会の総括所見が示されました。この所見が示されたということは、私は、この間の我が国における深刻なヘイトスピーチの蔓延が国際人権基準に照らしても看過できない状況にあるということを示していると思います。もちろん、政府は批准国として委員会勧告の諸点について改善に向けて努力する義務を負う立場にありますよね。
 差別と暴力をあおる民族排外主義をスローガンにして、特定の民族や人種、集団、とりわけ在日コリアンの人々を、殺せ殺せ朝鮮人とか、良い韓国人も悪い韓国人もみんな殺せとか、ガス室に朝鮮人、韓国人をたたき込めとか、鶴橋大虐殺を実行しますよなどと罵って暴力で排斥する言動、ヘイトスピーチは断固として根絶をしなければならないと思います。大臣の御認識はいかがですか。
○国務大臣(松島みどり君) 今委員から本当に恐ろしいおぞましい言葉の数々を伺いました。断絶しなければいけない、全く同感であります。
 一部の国や民族を排除しようという言動は、その方々の心をひどく傷つける、それだけでなくて、一般の人々にも不安感や嫌悪感を与える、そして差別意識を生じさせる、そういったことにつながりかねません。甚だ残念ですし、あってはならないこととして、私どもも人権擁護を守る法務省としてしっかりと取り組んでまいります。
○仁比聡平君 こうした排外主義的な言論が、個々の人権侵害はもとより、民族や人種、集団への暴力を激化させ、対立と紛争、ひいては戦争にまで至る危険性があるということをナチス・ドイツや戦前の我が国の歴史は教えていると言うべきだと思うんです。
 毎日新聞の世論調査を見ますと、国民の皆さんの七割近くがヘイトスピーチを不快だというふうに回答しておられます。四十七都道府県と二十政令市にアンケートを実施したら、実に約九割の自治体は、恥ずべき行為である、差別意識を助長させ、許されないというふうに問題視をしているわけですね。
 現場で、ヘイトスピーチのデモが行われているところで、カウンターデモと呼ばれるこのヘイトスピーチそのものに抗議する活動がとりわけ若者たちによって取り組まれていることが大きく被害者の皆さんを励ましています。その中には、仲よくしようデモと、抗議だけじゃなくて、本当に共生、人権保障と、そういう社会を求めようという国民の中からの大きなうねりが今起こっているわけですね。こうした国内外の声に真摯に耳を傾けて、政府が適切な対策を講じるべきだと、例えば毎日新聞の社説はそう書いてありますが、私はそのとおりだと思うんですね。
 そこで、まず、啓発活動の規模について大臣の認識を伺いたいと思うんですけれども、法務省に伺いますと、そうした啓発活動に力を入れるんだとこの委員会でも前大臣も御答弁されたんですが、外国人というテーマで取り組まれている例えばポスターの配布というのは、既にヘイトスピーチが問題になり始めている平成二十四年度でも六十枚なんですよ。昨年度、平成二十五年度の外国人というテーマでのポスターの配布というのは九百六十五枚なんですね。一億数千万人の国民社会に対して、外国人の人権保障、差別は許されない、そしてヘイトスピーチは許されないということを発信し、みんなで社会的に包囲して根絶しようというには極めて甚だ不十分じゃないですか。大臣、これどう思っているんですか。

○国務大臣(松島みどり君) 今委員のおっしゃった数字を見る限りでは、本当に甚だお粗末だと思います。
 そこで、法務省、今ポスターの枚数をおっしゃったんですが、平成二十四年度が六十枚、僅か、そして次の年が九百六十五枚、これではいけないという委員のかねての御主張も、御指導もいただきまして、私ども法務省、今年の三月、今年の春の時点でポスターをそれまでの十倍のおよそ一万枚作り、リーフレットもこれまた十倍の一万一千枚用意いたしまして、ポスターを貼るのも自治体の役所や図書館だけでなくて、例えば駅だとかいろいろなところに各法務局通じて貼る努力を、まだ一斉に全部貼り終えられた状況じゃないかと思いますけれども、その努力を進めております。
 リーフレットにつきましても、今年度は昨年、前の年の十倍に増やして一万一千枚とし、さらに来年大幅に、この一万一千をリーフレットは十三万枚にするために、一挙に増やすために、この外国人差別の問題の啓発だけでもそれだけにするために今予算要求しているところです。しっかりと取り組んでまいります。

○仁比聡平君 いや、十倍にするとおっしゃっても、日本中に一万枚ですか。規模だけ取ったって、飛躍的に強化が必要でしょう。大体、法務省にこの問題での啓発と言うけれども何をやっているのかと伺うと、今のような数字であったり、あるいは前大臣の記者会見、これをホームページに掲載をしておりますというような話になるんですけれども、だけれども、法務省のホームページに大臣の記者会見掲載しているからといって、一体誰の目に触れるんでしょうか。
 八月末の国連委員会の最終意見は、そうした取組しか行っていない安倍内閣にこそ厳しい対策を求めたと私は受け止めるべきだと思います。今必要なのは、正面から国際社会に対して、もちろん日本の社会に対して、ヘイトスピーチは許されないと、根絶をするんだという構えをきっぱりと示すことなんじゃないでしょうか。まず大事なのは、人権擁護行政を所管する大臣として、松島大臣御自身がその音頭を取るということだと思うんですね。
 その観点から中身について伺いたいと思うんですけれども、先ほど一万枚ポスター貼れるように努力したいとおっしゃった。今、現状努力されているポスターがこれなんですよね。外国人の人権を尊重しましょう、理解し合うことが大切ですという、そういうポスターです。それは、外国人の人権の尊重やあるいは共生社会の実現というのは、これは大切なことですよ。ですけれど、このスローガンといいますかメッセージで、ヘイトスピーチは許されないんだということが伝わるかといったら伝わりませんよ、それは。
 京都の朝鮮初級学校の事件について、大阪高等裁判所は、在特会に対してこういう判示をしました。本件活動に伴う業務妨害と名誉毀損は、いずれも在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下、在日朝鮮人に対する差別的発言を織り交ぜてされたものであり、在日朝鮮人という民族的出身に基づく排除であって、在日朝鮮人の平等の立場での人権及び基本的自由の享有を妨げる目的を有するものと言えるから、全体として人種差別撤廃条約一条一項所定の人種差別に該当するものと言うほかない。
 今、法務省が行っている外国人の問題についての啓発では、この人種差別撤廃条約が何を禁じているのか、ここが伝わらないんですよね。なぜ政府がこれを、ヘイトスピーチを許されないと言うのか、ここを焦点にした啓発に変えるべきじゃありませんか。

○国務大臣(松島みどり君) まさに委員おっしゃいましたように、何年前かでも通用するような割と漠然とした本当にふんわかしたポスターでは、その今の直面している問題が伝わり難いと思います。私自身も事務方と一緒に相談して、予算の都合もありますけれども、どのようなやり方が今直面している日本の問題を的確に多くの方に理解してもらえるか、それに力を尽くしたいと思います。

○仁比聡平君 条約や現実に起こっている人権侵害を直視して、政府挙げての取組の音頭を取るというのが人権擁護担当としての大臣の務めだと思うんですよ。ですから、必要な予算を取るんだということを絶対にやってもらいたいと思うんですね。
 現実にそうした啓発の中でも、大久保だとか鶴橋などヘイトスピーチデモが起こっているわけですね。この現実に起こるヘイトスピーチデモに対して断固とした対処を行うこと、これは委員会の勧告によっても求められていると思います。
 国、行政は、在日コリアンの皆さんを始めとして住民の安全を保護する責務があるのであって、とりわけ脅迫や威力業務妨害に当たる行為、生命、身体への著しい危険な行為については適切な警告と制止をするべきだと私は思います。
 実際にこんなとんでもない言辞がされているのに、これを制止しないなんて私はあり得ないと思うんですけれども、内閣の一員としての大臣の所見を伺います。

○国務大臣(松島みどり君) 現場での取締りというような、取締りというか、現場での対応ということにつきましては警察その他であるかもしれませんけれども、我々も、一般論といたしまして、検察当局において刑事事件として取り上げるべきものは、そのおっしゃいました侮辱や威力業務妨害などで刑事事件として取り上げるべきものにつきましては、警察とも連携してしっかりと対処をしてまいりたいと思います。

○仁比聡平君 もう一つ、国連委員会の最終意見の中では、ヘイトスピーチや憎悪扇動を流布する公人及び政治家に対する適切な制裁を追求せよということが求められています。
 アイヌの人々との関係で、札幌の、自民党をこの件で離党をされたそうですけれども、市会議員がツイッターで、アイヌ民族なんて今はもういない、利権を行使しまくっているなどと書き込み、なおその主張を変えないということで、市議会では辞職勧告決議が可決をされました。
 残念ながら、自民党会派はこの辞職勧告には反対をされたというふうに承知をしているんですが、アイヌ民族は北海道からサハリン、千島の広い地域に先住をしていましたけれども、とりわけ明治以降の北海道開拓の中で、土地を奪われ、漁業、狩猟の禁止、同化政策による伝統文化の制限や禁止など、生活基盤も伝統文化も奪われ、差別されてきたわけですね。アイヌ民族を先住民族とする、我々参議院、そして衆議院の国会決議もその共通認識に立っているわけです。
 現実に、現にその偏見、差別は存在をしているのに、これをなくすために力を尽くすべき公人、政治家が逆に踏みにじると、これを許されるわけがないと思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。

○国務大臣(松島みどり君) この件に関しましては、もう即八月に内閣官房長官がこの問題について極めて遺憾なことだとして、るる発言をされています。
 私自身は、報道では承知しておりますけれども、この市議会の発言の事情とか背景については承知していないわけですけれども、この発言がアイヌの人々に対する認識不足、理解不足であるとすれば、そうだろうと思いますが、これは甚だ残念なことだと考えております。
 法務省は先ほど来出ておりますように人権を守る役所でございますから、法務省といたしましても、アイヌの人々に対する理解と認識を深めてもらうとともに、偏見や差別の解消を目指して、今後ともインターネット広告の実施や啓発冊子の配布など、啓発活動にしっかりと取り組んでまいります。

○仁比聡平君 いや、公人、政治家が理解不足、認識不足と言ってどうするんですか。それは、理解を深めていただきたいなんという緩いことを言っている場面ではないと私は思います。だからこそ委員会は適切な制裁を求めているわけですよね。
 このヘイトスピーチの問題について、法規制の検討や議論は私どもも必要だと考えておりますけれども、その是非や在り方については国民の中に様々な意見があります。この下で、現行制度や、そもそも政治家としての役割として、総理始め閣僚が、そして人権擁護行政を所管する大臣がこのヘイトスピーチを許さないという断固とした立場を表明し、社会的批判で包囲をする先頭に立つべきだと私は思います。
 戦争の痛苦の反省の上に立って、憲法は諸国民の協調と平和主義、基本的人権尊重を定めました。

○委員長(魚住裕一郎君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○仁比聡平君 憲法は国内外における外国籍の人々、先住民との平和的共存と共生を求めているわけですね。音頭を取るべき大臣として、その立場に立って、これからそのスピーチ根絶に向けて取り組んでいただきたいということを強く求めて、今日は質問を終わります。


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