○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

 私から、冒頭、石破自民党幹事長のブログ上での発言について断固として抗議をするとともに、官房長官に認識をお尋ねしたいと思うんです。

 この暴言の最大の問題は、この秘密保護法案反対、絶対阻止という声を敵視して、テロ行為とその本質において変わりないと決め付けて市民を威嚇しているというところにあるんですよね。絶叫戦術などと石破幹事長はやゆしたつもりかもしれませんけれど、とんでもない、あなた方の暴挙に対して腹の底から噴き上げている怒りがあの声なんですよ。

 今日、石破幹事長がブログで「お詫びと訂正」なるものをしております。これ見ますと、本来あるべき民主主義とは異なるという表現に改めるんだというんですね。ちょっと読みますと、テロと本質的に変わらないと記しましたが、この部分を撤回し、本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思いますと改めます。改めると言いながら撤回にも謝罪にもなっていないじゃありませんか。

 大体、本来あるべき民主主義と異なるというなら、それはほかならぬこの法案なんじゃないですか。憲法原理を乱暴に侵害し、行政の恣意的な濫用で、何が秘密かも秘密と。そうしておいて、国民を重罰で威嚇し、集団的自衛権の行使を始めとして戦争国家体制をつくろうという、そうした法案やあなた方の政策の中身でも、そしてこの国会の強行でも民主主義を踏みにじっている、そこが大問題なんだと思うんです。

 石破幹事長の元々のブログでは、主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきだと述べている部分もあるんですが、私、怒りを通り越して滑稽だと思いました。広がっているのはこの法案断固反対の声と輪なのではないでしょうか。世論調査をやるたびに反対の声が急速に広がって半数を超え、賛成は減るばっかりじゃありませんか。この強行は許されないという国民の皆さんの声をしっかり受け止めて心を砕くのが政府の役割なんじゃありませんか、官房長官。

○国務大臣(菅義偉君) 石破幹事長の発言は、私ども、与党幹部の発言について政府として一々コメントすることは差し控えたい、これは冒頭申し上げた。ただ、御本人が誤解を招かぬように一部撤回をされるなど、真意をきちんと説明をしているという、そういうように私は思っています。また、先ほど申し上げましたけれども、デモについては、法令の定める範囲内で行われる限りここは言論の自由だというふうに思います。

 そして、この法案については、衆議院において、与党はもちろんですけれども、野党との修正も成り立った中で今この審議がされているところであります。そういう意味で、その法案が理解をされて成立をするように求めるのが、これが政府の役割だと思っています。

○仁比聡平君 今、この国会の周り、あるいは議員会館の前でもいいですけれども、ここで行われている市民の声を本来あるべき民主主義とは相入れないとまだ言うんだったら、そしてそれが今官房長官がおっしゃったように石破幹事長の真意だというんだったら、とんでもない話ですよ。この法案はとんでもない憲法違反の代物であって、徹底審議の上、断固廃案にするしかないと、そのために私どもは国民の皆さんと力いっぱいこれからも頑張り抜いていきたいと思うんです。

 森大臣がちょっとお戻りになれないのですけれども、よろしいですか。
 先ほどの井上議員の質問に続いて、適性評価について、私、今日まずお尋ねしたいと思うんです。
 それで、先ほどの井上議員の質問でも、あるいはメディア紙上でも、情報保全隊が洗いざらいの身辺調査、思想調査を行っていることは、私、もう明らかになっていると思います。この法案十二条の四項は、まず、行政機関の長が当該行政機関の職員に評価対象者本人若しくは知人その他の関係者に質問させ、本人に資料提出を求めるというふうになっているわけですよね。この本人に対する質問あるいは資料提出というときに、情報保全隊が行っていると私は思いますけれども、少なくとも、指摘されているようなのと同じように、異性関係だとか宗教や政治団体への加入だとか、アルコールや薬物、精神疾患に関する治療又はカウンセリングの状況、こういった立ち入った質問も行われるのではありませんか、森大臣。

○国務大臣(森まさこ君) 適性評価につきましては、法に記載されてあります事項を調査をいたしますけれども、その手法は次のように予定をしております。まず、本人に対して同意を取った上で質問用紙に記載をしていただく、そして、その記載をしていただく事項につきましては、有識者会議に諮って細目を決定し、公表をしてまいります。プライバシーの侵害がないようにしっかりと配慮してまいりたいと思います。

○仁比聡平君 すると、七項目、法定の七項目以外は有識者会議がやるまで分からないというようなことなんでしょうかね。
 ちょっと伺いますと、評価対象者本人にどんな資料の提出を求めるのかと。先ほど井上議員も指摘をした自衛隊の身上明細書のような資料が、先ほど森大臣のお答えになった用紙に記載をさせると、そういうものになるんでしょうか。
 また、自衛隊は、携帯電話の通話記録の提供だとか、保全事故が起こった場合にはポリグラフ検査を行うことを事前に包括的に同意をさせるということを誓約をさせているわけです。こうしたこともその評価対象者に求めるということになるわけですかね。

○国務大臣(森まさこ君) 自衛隊の調査については承知をしておりませんけれども、例えば本人に提出をさせる資料としてはパスポート等を想定をしておりまして、それ以外のことについては、プライバシーの侵害にならない範囲でするように、有識者会議にお諮りをした上で細目を決定し、それを公表した上で行ってまいりたいと思います。

○仁比聡平君 いや、有識者会議に諮ったところで、プライバシーの侵害になるかどうかなんて決められるものじゃ全然ないですね。有識者会議がいいと言ったらプライバシーの侵害にならないなんという、そんな理屈はどこにもない。
 十二条の二項の七項目ある調査項目なんですけど、例えば飲酒についての節度というのがありますよね。これ、飲酒についての節度は、例えば本人が、いや私は飲みませんとか強いですとか、そういう申告をしたからといって、それをうのみにするとは思えないんですけど、これ、知人らに聞き込んでみたり、あるいは必要なら例えば居酒屋なんかに尾行したりするんですか。

○国務大臣(森まさこ君) 飲酒の節度については、それをもって特定秘密を漏らすおそれがあるかということに関して必要な限度で調査をいたします。その知人というのは、具体的には同僚や上司を想定をしております。

○仁比聡平君 やっぱり、そうすると同僚や上司に、あの人はお酒は強いんですかねとか、酒に酔ってぺらぺらしゃべったりしませんかねとか、そんなことを聞くんだというわけですよね。
 借金などの信用状態についてなんですが、先ほどの航空自衛隊の身上明細書の書き方の紙を見ますと、住宅や自動車のローン、銀行や組合からの借入れ、消費者金融など、負債の債権者、加えて残高、また返済月額などを本人に申告させるようになっているんですよ。こうした情報の裏付けに、関係の金融機関だとか信用情報機関だとかに照会をするということになるんじゃないんですかね。

○政府参考人(鈴木良之君) お答えします。
 信用状態につきましては、委員御指摘のように、借財の状況につきまして、まず調査対象者から自己申告していただきますが、必要に応じまして関係の指定調査機関等に照会する場合もあります。

○仁比聡平君 大臣、何で答弁振ったのかよく分からないんだけど。
 例えば、あれですか、消費者金融のブラックリストなど、そういう信用情報に照会を掛けるわけですね、大臣。

○国務大臣(森まさこ君) 過去の自発的な情報漏えい事案には経済的な事情を動機とするものがあったことに鑑みますと、一般的な、住宅とか車両の購入といった一般的な目的とは異なる目的で不相応に多額の債務を抱えている状況を、またほかの状況とも総合的に考慮をする必要があるということで調査の対象事項にしております。どの部分まで調査を掛けるかについては、その個別具体的な事案によるというふうに承知をしております。

○仁比聡平君 そういうブラック情報に照会するということ自体、否定をされないわけですね。そういうものを行わないと実際にその借金が取っかかりになって秘密を漏えいしかねないかどうかという評価のしようもなかろうと思うんですよ。
 十二条の四項に戻りますと、この対象者の本人あるいは知人その他の関係者に対する質問や資料の提出に並んで、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができるというふうにありますが、ここに言う公務所というのはまず何を指しているんですか。担当者として想定しておられるものを全て挙げていただきたいと思うんですが。

○政府参考人(鈴木良之君) お答えします。
 公務所というのは、国の行政機関及び地方自治体の行政機関を指しまして、一例としましては、犯歴調査におきましては市町村等に照会をする場合もございます。

○仁比聡平君 というくくりならば、国の行政機関あるいは地方行政機関だったら全て当たり得るという、そういう話になるわけですよね。
 公私の団体というのは何なんでしょうか。これまでもちょっと話に出ている、関係の金融機関だとか信用情報センターだとか、あるいはアルコール依存だとか薬物の影響、精神疾患に関する調査事項に関してはすぐに病院とかクリニックとか、そういうところを想定するんですが、含まれるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木良之君) お答えします。
 公私の団体でございますので、およそ全ての団体が対象となりますが、一例としましては、先ほど申しました信用調査機関であるとか法人格を持っている病院等が含まれると考えております。

○仁比聡平君 結局、大臣、ちょっと様子分かったでしょう。およそあらゆる団体に対して照会を掛け、そして二十条によれば協力を求めることも恐らくできるんだろうと思うんですけれども。
 それで、森大臣、そうした形で、例えば情報保全隊からこの人の精神疾患にかかわる事項について病院に調査が掛かったとして、そのときに、いや、患者さんとの信頼関係にかかわる、守秘義務があってこそ、この私、主治医である私にしか語っていないことがあるというような理由で拒むことができるんですか。

○政府参考人(鈴木良之君) お答えします。
 十二条四項におきまして照会権限が国の行政機関に認められておりますので、照会を受けました団体におきましては回答する義務があると考えております。

○仁比聡平君 回答義務があると言っている、審議官は。実際、皆さんあれでしょう、この特定秘密の保有が許されるかどうかという評価のための調査をするわけだから、安全保障上重要な調査なんだと、そうやって行うわけでしょう。それだけで関係先は言わば威圧された状態にあるわけですけれども、それで法律上も義務があるということになるなら、もう患者さんは主治医にも信頼して打ち明けることもできなくなるというふうに、そんな話になるのかと。
 先ほどの、大臣、これはもうさっきの審議官の答弁で明らかですけれども、この公務所の中には公安警察だとか公安調査庁あるいは情報保全隊も含まれますね。

○国務大臣(森まさこ君) 国の行政機関は含まれます。

○仁比聡平君 本会議で総理も否定されませんでしたし、大臣、今お認めになりました。
 この委員会でも話題になってきた十二条の二の一号、いわゆる家族や同居人に対する調査、氏名、生年月日、国籍、これは過去に有していた国籍を含むとされています、及び住所ですが、この四事項について、これ、大臣、どうも調べるだけだからというような御答弁を、私もし誤解していたら申し訳ないんですけれども、この委員会でも聞いてきたように思っているんですけれども、元々これは特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項として調べるわけですよね。なぜ氏名、生年月日、国籍、住所だけで特定有害活動だとかテロリズムとの関係が明らかになるのかと。それはならないわけですよ。これ、調べた上で、どこか公務所あるいは公私の団体から何らかの報告を求めるということを想定しないと、その評価項目に結び付いていかないんじゃないんですか。例えば、公安当局が持っているデータベースとかいわゆるブラックリストとか、そういうことと照合するということが前提なんじゃないんですか。

○国務大臣(森まさこ君) 家族については、条文に記載をしております氏名、生年月日、国籍、住所のみでございます。

○仁比聡平君 いや、だったら、その四項目を調べて単に取っておくんですか。それを調べるのは、事実として調べるわけでしょう。それを調べた上でどう特定有害活動やテロリズムの関係があるのかどうかというところに結び付けた評価をするわけですか。

○国務大臣(森まさこ君) 家族や同居人については、今申し上げました四項目以外については調査をしませんし、公務所等への問合せもいたしません。
 なぜこの四つの人定事項について調査をするのかというお尋ねでございますけれども、評価対象者の直近の家族や同居人は評価対象者と密接な関係があることから、その家族等に外国籍の者がいる場合には、外国の情報機関等が当該評価対象者に情報提供を働きかける可能性も否定できないため、最小限度の人定事項である氏名、生年月日、国籍及び住所のみを調査をし、それを参考とすることとしておるものでございます。

○仁比聡平君 全く信用ならないんですよね。
 まず一つ、公務所への問合せもしないと今答弁されたんですが、それはこの法律上どこにも書いていないでしょう。逆に、先ほど来、公務所若しくは公私の団体にはおよそあらゆる行政機関が入る、あらゆる団体が入る。で、照会先にはそれに答える義務もあると審議官答弁したし、二十条には相互に協力するという規定だってあるわけですよね。あれですか、この四項目については公務所への問合せはしないというのは、これは何か法的な担保がどこかありますか。

○国務大臣(森まさこ君) 評価対象者の調査については七項目がございますけれども、これらについての調査を行うため必要な範囲において、第四項で、評価対象者に、本人に質問をしたり、知人に質問をしたり、また資料の提出を求めさせたり、公務所等に報告を求めることとしております。なお、これは評価対象者に同意を得た上で行うものでございます。

○仁比聡平君 いや、それは分かっていて聞いているんですけどね。つまり……(発言する者あり)いや、筆頭理事、お間違いになっておられませんか。評価対象者本人についての七項目なんでしょうけれども、その第一の項目は、特定有害活動、テロリズムとの関係に関する事項として、対象者の家族、配偶者、父母、子、兄弟姉妹、これらの者以外の配偶者の父母及び子及び同居人ですよね、の先ほど来の四項目をまず調べるわけですよ。その調べる手法はいろいろあるにしても、そこで出てくるデータ、プライバシーというのは、これは家族や同居人のものですよね。
 この件について、公務所への問合せもしないという根拠は先ほど来の議論の中では出てきませんよね。だって、十二条の四項を見ても、その第二項の調査を行うため必要な範囲内においてはそれぞれ質問だとか照会だとかするわけでしょう。第二項の調査そのものじゃないですか、大臣。

○国務大臣(森まさこ君) この評価対象者の家族の氏名、生年月日、国籍及び住所については、通常の人事管理者の管理事項として本人から申請をさせるものでございますので、それ以上の調査をすることを予定しておりません。

○仁比聡平君 いや、それがよく分からないんだけど、先ほど二点目におっしゃった、外国籍の者がいる場合には不当な働きかけがある可能性があるからという、そういう御答弁も繰り返しているんですけど、そういう不当な働きかけがあるということを想定するんだったらば、どんな働きかけがあるのかとか、働きかけがある可能性がある人なのかどうなのかとかということがあなた方の関心になるんじゃないですか。

○国務大臣(森まさこ君) それは、評価対象者について働きかけがあるかどうかということは調査をいたしますけれども、家族についてはここに書いてある四つの事項以外は調査をいたしません。

○仁比聡平君 いやいや、家族や同居人なども含めて、わざわざ、国籍、過去に有していた国籍を含むという調査をされるわけでしょう。それをずらっと親族図みたいなのを作って、この人は、こういう親族は外国籍だとかいうことを調べるわけでしょう。それ調べたら、その事実について、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関して何か評価の上でいろいろ検討すべきことがないかというのを考えるというのが、まあちょっとこの法案の組立てからすれば素直だと思うんですけど、いかがです。

○国務大臣(森まさこ君) 先ほど来御答弁をしているとおりでございまして、本人については、本人に質問をしたり知人その他の関係者に質問をさせる等々、四項の調査を予定しておりますが、家族については、氏名、生年月日、国籍及び住所以上のことを調査をする予定にはなっておりません。

○仁比聡平君 集めるだけでためておくというあなたの答弁を、いや、国民は本当に信用するほど甘くはないと思いますよ。
 そこで、二十条で、適性評価の実施について関係行政機関の長は相互に協力するものとするというふうにしていることからも、公安当局に調査が広範に任されて、まるでこの法案によってお墨付きを得たようにプライバシーを根こそぎ恒常的に調べることになるのではないのかという強い疑問が国民の中に大きく広がっています。こうした仕組みがつくられたら、これまで自衛隊の情報保全隊を軸にして行われてきた恐るべきプライバシー侵害と監視があらゆる行政機関や民間の契約業者、その下請も含む労働者や派遣労働者とその家族、その知人、関係者らにまで広がっていくということになるんじゃないんですか。
 しかも、これまでは情報保全隊の活動について法的な根拠がなくて、国民に対する監視活動は仙台地方裁判所では違法とされました。ところが、この法案によって、第三者である知人等の関係者に対する質問権だとか関係機関への照会権だとか照会先の協力義務、先ほど審議官明言されたような、そうしたものまでが法定されて強化されることになるんじゃないんですか。森大臣、担当大臣としてどう考えているんです。

○国務大臣(森まさこ君) この適性評価の運用がしっかりとプライバシーに配慮して行われるように、有識者会議等の御意見を聴いて基準をしっかり定め、それを公表してまいります。そして、十八条によりまして、内閣総理大臣は、その適性評価の実施の状況に関し、適正を確保するため、行政各部を指揮監督するものとされております。そして、有識者会議からの報告を受けて、また適性評価の実施について、行政機関の長に対し改善すべき指示をすることもできます。さらに、この条文に、この法律の適用に当たって、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならないと明示してありますので、これが全ての条文の解釈指針になりますので、適性評価の実施に当たっても、これが国民の人権を不当に侵害することがないように運用をしてまいりたいと思っております。

○仁比聡平君 法律家出身とは到底信じられない答弁だと思いますが。
 知人その他の関係者にも質問するとあるんですよね、十二条に。この知人その他の関係者というのは、行政機関の長はどうやって知るんでしょうか。自衛隊の場合は、その対象者本人に子供のころからの知人ってずらっと出させているんですけど、この法案に言う適性評価でもそうやって本人に知人、関係者の名簿を出させるわけですかね。

○国務大臣(森まさこ君) 自衛隊については承知をしておりませんけれども、本法案につきましては、調査を実施するために必要な範囲内で本人又はその上司、同僚等の関係者に質問をすることを予定しております。これは全て本人にその手続の内容も説明をした上で、同意を得た上で行ってまいります。

○仁比聡平君 結局、知人や関係者というのは、部下の知人や関係者ってみんな分からないじゃないですか。まして、大臣が発注先の企業の労働者の知人、友人なんて知るわけないじゃないですか。それ、出させるしかないでしょう。で、出させるのかということと、それから、その知人らへの質問というのは、調査者の身分だとか調査目的を明らかにしてやるんですか。それから、質問を実際にしたときには、評価対象者らには、あなたの知人の何とか君に質問をしたからねというふうに知らせるわけですか。

○国務大臣(森まさこ君) 適性評価は、調査対象者の本人の同意を得た上で、まず評価対象者に調査事項が記載された質問票を提出をしていただきます。その内容について、必要な範囲内において公務所又は公私の団体等へ照会をしていくということをするわけでございます。ですので、その質問票に記載をされた範囲において知人等にも調査をするということになっていくというふうに思います。

○仁比聡平君 いや、答えていない。何で、こういう法案をこうやって提出する以上、その法案に皆さんが提案している用語じゃないですか。この十二条の四項に関して書いてあるそうした概念について、とりわけ今の知人、関係者らはどうやって把握するのかについて、次回の委員会までに明確な御答弁をいただけるように、あるいは資料を提出していただけるように理事会で諮っていただきたいと思います。

○委員長(中川雅治君) 後刻理事会で協議いたします。

○仁比聡平君 そういう中で、結局、そうやって身辺調査をどんどんやるということになれば、疑心暗鬼で友達もなくす、デートもできない、そういう適性評価ということになるんですよ。
 それで、先ほど来、何度もそれは本人の同意があるからいいんだと繰り返して言うんですけど、プライバシーという権利のデリケートさを考えたときに、こうした洗いざらいのプライバシーを包括的に事前に放棄する、何でも調べてくださいと、そんな同意なんてあり得ないですよ。何の事実について明らかにするのかということを限定した、本当に本人の真意に基づく真摯な同意でなければそれは無意味でしょう。法的には無効なんじゃないですか。にもかかわらず、同意を強要してプライバシーを洗いざらい侵害されるか、その仕事を奪われるか、これ理不尽極まりないと、大臣、思いませんか。

○国務大臣(森まさこ君) 特定秘密については、国民の生命と国家の存立を守るために特に秘匿する必要のある秘密、その特定秘密を保全するために、本人の同意を得て、そして、かつ、この条文に規定をされている七つの事項に限って調査をするわけでございます。また、その調査方法等については、本人のプライバシーを侵害することがないように、しっかりと有識者会議の御意見などを賜った上で、細目を明らかにし公表してまいりたいと思います。

   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕

○仁比聡平君 国家の存立のために、プライバシー権あるいは知る権利は侵されても構わない、踏みにじられても構わないという、そういう考えで成り立っている法案だからこそ、国会の周辺に大きな怒りの声が噴き上がっているわけですよ。そのこと、ちゃんとわきまえるべきです。
 しかも、大臣の言う同意というのはあくまで評価対象者本人のものでしょう。たとえ家族であっても、他人の、別の人格のプライバシー権を他人が放棄できるはずはないんですよ。家族や質問対象とされる知人や関係者は何の同意もしていない。その包括的な調査なんて許されるはずがないと私は思います。
 そうした調査をどんな体制で行うのかということにかかわって、これ官房長官にお答えいただけるのかどうかなんですけど、総理は、せんだっての本会議で私の質問に対して、こうした適性評価が具体的にどのような体制で行われ、収集した情報はどのように扱われるのかという質問に対して、各行政機関においてこれを担当する部署を定めて行うこととしており、適性評価により収集した情報は、適性評価を実施する部署で管理責任者を定め、適切に保管し、保存期間経過後、確実に廃棄することを検討しておりますと答弁されているんですね。
 この検討しておりますというこの検討は、どの所管大臣の下でいつまでに行われるわけでしょうか。

○国務大臣(菅義偉君) 総理の発言はこれ極めて重いと思いますので、これから施行まで、森担当大臣が第三者機関とか様々なものについてこれから実際実行へ移していくのでありますので、それについては森大臣から答えさせていただきたいと思います。

○仁比聡平君 ということは、これ森大臣なんですか、この検討は。

○国務大臣(森まさこ君) はい。適性評価で得た情報の管理、保存期間を満了した上での適切な取扱い等についても私の下で検討してまいります。

○仁比聡平君 運用についてもそうなのかということと、それから、本法案は、この適性評価の問題のみならず、質疑をすればするほど、元々広範かつ曖昧な秘密指定だったり、その提供の要件だったり、重罰の法規だったり、この適性評価のありようだったり、その危険な本質があらわになって、修正協議の事項も含めてたくさん検討課題というのがあるわけですよ。

   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕

 次々に毎日毎日検討事項が山積みになっているみたいになっているんですけど、この法案及び国会答弁において、これからの検討事項というふうにされているものは今までに結局何件あるのか。どんな検討事項なのか。そのうち政令に委任されるとされる事項はどんなものが何件あるのか。その検討はそれぞれどの大臣の所管の下でいつまでに行われるのか。これ、資料を提出をいただきたいと思うんですが、これの所管はどちらになります。

○国務大臣(森まさこ君) 例えば、特定秘密を指定した際に作成する記録でございますが、条文に規定してあります事項以外の細目、特定秘密の保護に関して必要な事項、また適性評価の、今御質問の適性評価の運用の指針、また特定秘密の指定等に関する統一的な基準の内容、基準の公開、策定スケジュール、それから有識者会議の設置やメンバー、第三者機関の設置等について検討をしてまいります。

○仁比聡平君 私の問いは、何件、どんなものがどれだけあるのか、それぞれどの大臣の所管の下でいつまでに検討が行われるのかということなんですよ。
 これについては、森大臣の責任になるのか、省を超えて官房長官の責任になるのか、というか所管になるのか私分かりませんけれども、委員会に一覧表の形できっちり提出すべきだと思います。
 委員長、よろしくお願いします。

○委員長(中川雅治君) 後刻理事会で協議いたします。

○仁比聡平君 それで、そうした今後の検討においても、官房長官、法案の附則六条で内閣法の二十条が変えられて、特定秘密の保護に関する事務は内閣情報官の所掌に属するというふうにこの法案自体でなっているわけなんですね。すると、さきに成立、強行された国家安全保障会議の下で、国家安全保障局の言わば事務局的にも動くことになる内閣情報調査室に、この国家安全保障に関する事項や実質的な権限とともに、この秘密保護法に関する秘密だったりその運用だったりということが集中していくという、そういうことになるわけでしょうか。
 加えて、例えばこの間からここの委員会で議論になっている、修正附則九条に独立公正な新たな機関など必要な方策を検討するというのもあるんですが、それはこの内閣情報官や情報室が主導というか、事務を担っていくと、そういうことになるんでしょうか。

○国務大臣(菅義偉君) この法案が成立をした中で、その秘密保護法の保護全体については内閣情報室で所管することになっています。これは今委員の御指摘のとおりであります。ほかの現在の情報収集、分析、そこについては従来どおり行っていくということであります。

○仁比聡平君 いや、よく分からないし、そうした内閣の下で検討されるということになったら第三者でも何でもないんじゃないかという元々の疑問も改めて出てくるわけですけれども、ちょっと今日時間がないので、その議論については、先ほどの検討事項の資料を是非いただいて、じっくり検討させていただきたいと思うんです。
 それで、この法案の刑罰規定の適用に当たってのことについて最後伺いたいと思います。
 令状、起訴状、あるいは判決に、特定秘密の情報そのものが罪となるべき事実としては記載されないと。したがって、攻撃防御対象が明らかでないまま捜査、公判の危険にさらされることになるではないかというのは前回の質疑で私はっきりしたと思うんですけれども、特定秘密の情報そのものについて、森大臣はこれまで何か刑事裁判の中で明らかになるかのようにおっしゃってきたわけです。ですが、インカメラというのは、あくまで非公開で、裁判官が、証拠開示の手続の手順として、検察官の手持ち証拠を提示してくださいという命令を掛けて裁判官だけが見るという手続ですよね。しかも、例えば平成二十四年度の証拠開示請求事件の裁判所の実績を見ますと、弁護側が最後まで証拠開示を争った事件というのは百件あるんですが、このうち裁判所が全面開示決定をしなかったのが七十七件。つまり、弁護側の要求は八割方退けられているわけです。
 事が特定秘密の開示が争われるということになれば、これは検察官は徹底して争うでしょう、絶対に明らかにしないと。という下で、証拠開示手続において裁判所が被告人側に開示する決定をしない限り、被告人や弁護人には分からないでしょう。そうした下で、行為の可罰性、当罰性、あるいは法令やその刑罰適用の違憲性判断をまともに争うことは私できないと思うんですけれども、森大臣、違うんですかね。

○国務大臣(森まさこ君) これまでも御答弁させていただきましたとおり、秘密漏えいに対する罪、これは現行法でも国家公務員法、自衛隊法等がございますが、これに対する例えば刑事訴訟の裁判については、これは秘密でございますので、これを明らかにすることが難しいという一つの秘密保全の要請、それからやはり被告人の防御のために開示をするという要請、その二つがございまして、インカメラにより証拠開示を争うという制度があるわけでございます。
 これによって、裁判官が証拠開示命令を出した場合には、これは証拠が開示をされまして、その秘密の内容が、明らかにして、そこを争うことになります。それが明らかにされなかった場合は、これは検察官の方にそれが秘密であるという立証責任があるわけでございますので、明らかにしない上で立証して、それで罪を争うことになりますので、これは一般的には被告人の防御権を侵害するものではないということで外形立証という、そういう立証方法が取られているわけでございます。

○仁比聡平君 谷垣大臣、ちょっと一問だけなんですけど、先ほど私、質問の中で申し上げたんですが、そうした事件、特定秘密保護法違反刑事被告事件ということになったら、検察は、私、弁護側がどれだけ情報を明らかにせよと迫っても、断固として争われるでしょう。

○国務大臣(谷垣禎一君) 特定秘密に指定されているわけですから、通常はそれに対して検察官は争うと思いますね。ただ、最終的に、もちろん裁判所の判断として、証拠を開示すべきだという判断が下ることはあり得ます。その場合は、政府部内におきまして、司法判断を尊重して、関係機関の長において当該決定の理由を踏まえて特定秘密の指示を解除することになる、こういう手続ですね。だから、その場合は検察官はその解除をもって特定秘密を被告人側に開示することになると、こういうことだろうと思います。

○仁比聡平君 たとえ特定秘密の保有者の証人尋問が実現しても、ちょっと場面が違いますが、紙としての証拠じゃなくて、秘密の保有者の証人尋問が実現をしたとしても、事実は明らかにならないんですよね。
 例えば、情報保全隊の違法性をめぐって今仙台高等裁判所で元情報保全隊長の証人尋問が行われているんですけど、これ、元隊長は、その当時の報告書面を見たことがあるかという問いに対して、防衛大臣の承認が得られていないため守秘義務の観点からお答えできませんという答弁をされ、原告代理人の質問に対して、業を煮やして裁判長が一般市民に調査が及ぶことがあるかどうかをイエスかノーですかと聞いても、守秘義務上お答えできませんなんていう、そんな答弁になっているんですよ。本当に真っ暗な、こんな裁判で万が一にも有罪にされることなんてあってはならないということを私の思いとして求めて、質問を終わります。