○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私は、二院制と参議院の意義、役割について述べます。
日本国憲法制定に当たり、総司令部案の一院制ではなくあえて二院制を採用すべきとした日本案の理由について、松本烝治説明書は次のように述べています。
世界各国の例に倣うとか、貴族院の伝統を墨守するといった横並び、後ろ向きのものからではなく、それは不当なる多数圧制の抑止と行き過ぎたる偏奇の制止にある、議会政治はややもすれば多数党の専制を生じ、多数党の政策は時には一党の利害に専念する弊害があることは、従来幾多の実例が示すところであり、二院制を採用すれば衆議院多数派の横暴なる提案はある程度参議院においてこれを抑止し得るだけでなく、こうした抑制機関の存在自体が多数党をしてもとよりその横暴を戒める機能を生み出すことになるというのです。
かつて本院憲法調査会二院制小委員会において、高見勝利参考人が、この松本説明書を引用しつつ、参議院の抑制機能がいかにあるべきかについて、我が憲法は法律案再議決要件を特別多数決とし、参議院の構成についても国民代表である議員によって組織されるものとした結果、参議院は民主的で強力な抑制の府へ、すなわち強い参議院へと憲法制定当初からその役割を与えられることになったと述べられたことは、今日の我々にとっても大切だと思います。
全国民の代表であるからこそ、国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関なのです。参議院の緊急集会の根拠もそこにあります。衆参の両院が、共に多様な民意を反映し、三権分立と議会、議院内閣制を国民主権のために全うならしめていくことが重要です。
地方の府を強調する議論がありますが、地元を思うが余りに、参議院議員が全国民の代表であることを曖昧にしてはなりません。それは、かつて松本説明書がまさに指摘したように、不当なる多数圧制による行き過ぎたる偏奇をもたらすことになりかねません。同僚議員の皆さんに、我々自身、熟議の府、再考の府として徹底した審議を十分に尽くし、国民の負託に応えていくことを改めて呼びかけたいと思います。
この会期末に当たっても、統一協会問題に係る被害者救済新法案について、被害者や弁護団を始め関係者の意見をよく聞き、法案の条文一つ一つに照らして被害救済の実効性を明らかにするとともに、求められる法案修正を行うこと、そのために必要な会期は延長すべきであります。現実の政治の中で、憲法が、そして国民が我々参議院に負託をする、その願いに応えること、そのことが国民の信頼を深めていくその王道であるということを改めて申し上げ、発言といたします。
ありがとうございました。