○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
田中参考人、御苦労さまでございます。
まず、補正予算の在り方について。
この間、本来、本予算編成後、特に緊要となった経費についてのみ認められるべき補正予算の規模が巨額になって、当初予算からその様相が大きく変わるということが繰り返されているわけですけれども、四年間検査官をお務めになられて、参考人のこの問題についての、この問題についてどうお考えになっておられるか、まず伺います。
○参考人(田中弥生君) 御質問ありがとうございます。
補正予算に係る御質問と伺いました。これについては、会計検査の経験から申し上げたいと存じます。
おっしゃるとおり、補正予算については、毎年巨額の補正予算を投じているということは私どもも認識をしております。そのような中で、平成二十七年になるんですけれども、補正予算の執行状況にという報告をさせていただいております。この中で、補正予算の四六%が公債によって担われていたこと、また、その補正予算が、大規模な経済対策や災害対策が打たれた後にその補正予算がつくられますので、どうしてもその繰越しが多額になっているようなことについて意見を述べております。したがいまして、補正予算を適切、効率的に執行することが必要であるということを所見で申し上げております。
補正予算については、今もその額は相当な額が投入されておりますので、引き続き検査を進めてまいりたいと存じます。
○仁比聡平君 大変大きな問題を抱えているということも今のお話からも分かるんですけれども、続けて、予備費の問題についてお尋ねをしたいと思うんですけれども。
憲法八十三条は、国の財政処理権限というのは国会の議決に基づかなきゃいけないと。その例外として、予備費について八十七条で、「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」と求めているわけですけれども、会計検査院にとってみますと、この予備費の支出について、全てこれ検査しなきゃいけないということじゃないかと思うんですが、そういう理解でいいですか。
○参考人(田中弥生君) 予備費に係る御質問と承りました。
おっしゃるとおり、予備費は、歳入歳出に計上されている場合には、当然、歳入歳出決算の対象になりますので、これは会計検査の対象になります。ただ、使用決定というのは、予備費の使用決定というのはこれは計画でありますので、会計検査院は決算から検査をするということでございますので、やはり検査をする上では一定の困難を伴うことはそれは事実でございますが、実際には検査をしております。
例えば、令和二年度の決算検査報告においては、コロナの予算全体を俯瞰をして掲上しておりますけれども、この中で、予備費に関する経費の性質別の使用決定の状況や、予備費の予算で計算、計上された繰越しや不用額、これについても記載しております。
また、現在、昨年の六月ですが、国会から御要請をいただきまして、コロナ関連の予備費の検査、これを承っておりますので、鋭意検査を進めていきたいと存じます。
○仁比聡平君 この予備費の巨額計上というのは、安倍政権下の二〇二〇年、令和二年度の第二次補正予算で、補正予算編成の三分の一、十兆円というところから、もうその後、巨額の予備費が計上されるということが度々行われてきているわけですけれども、その積算根拠については明らかにしないと。状況の変化に応じた臨機応変な対応ができるよう、今後の対応に万全を期すと言うだけで、その審議の中で、国会に適時適切に報告するというふうに政府は言いましたけれども、現実には非公開で議事録も残らない、衆参の予算委員会理事懇談会にその使用に先立って報告をするということで説明責任を果たしていると言い続けてきたわけですね。
野党が予算委員会における集中審議あるいは臨時国会の召集ということを求めてもこれに全然応じないということで来たわけですが、その下で、憲法八十七条は、予備費の意味について、「予見し難い予算の不足に充てるため、」と定めています。
閣議決定では、予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費という定義をしているわけですけれども、予備費の検査に当たっては、この時間的に対処し難いとか緊急かどうかとか、それが基準になる、あるいは基準の一つになるということでよろしいんでしょうか。
○参考人(田中弥生君) 予備費に関する御質問と承りました。
まず、検査の基準につきましては、現在検査を進めているところでございますので、これについては意見を差し控えさせていただきたいと思います。
今、御説明に絡めまして、国会要請の中身について少し言及させていただければと存じます。
これはコロナ感染症対策のために打たれた予備費を対象にしておりまして、これは、予備費を使用して新たに設け、金額を追記をした項の執行状況、そしてもう一つとして、予備費の使用状況、特に使用理由及び使用額の積算基礎の状況、これが国会からいただいている検査の内容でございます。
○仁比聡平君 そのような検査要求を私どもがし、あるいは決算審査の措置要求決議をですね、に当たっての措置要求決議を全会一致で行っているんだけれども、これが正されないということになっているわけですね。
その下で、昨年四月の参議院決算委員会で財務省主計局がこういう答弁をしています。予備費は当初予算、補正予算に溶け込んで執行されると。つまり、本予算に計上していない新規事業について予算措置をするという場合は別だけれども、既に項、目がある事業に予算を追加するということになれば既定の予算と一体になって執行されると、そこで基本的には区分経理はされてないと。となると、予備費が執行されているということが本当に検査できるのかと、そもそも検査できないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○参考人(田中弥生君) 予備費の執行の検査に係る御質問と承りました。
令和二年度の決算検査報告、それから令和三年度の決算検査報告におきましては、コロナ予備費全体の推移について掲記をしております。
その中で、予備費に係るものも実は執行状況というのは見ているんですが、これは報告書にも記されていますが、おっしゃるとおり、一旦各省に配賦されますと当初予算と一体になって管理はされるのですが、それとは別に、自発的に区分管理をされている事業というものが令和三年度におきますと千三百七十七見付かっておりまして、これをベースに検査を進めさせていただいております。
○仁比聡平君 区分管理されているものは一部なんですよね。やっぱりそれは大問題だと。こうしたやり方を繰り返していくことは憲法と財政民主主義を没却するものにほかならないということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
古谷参考人に、中小・小規模事業者をめぐる問題についてお尋ねをしたいと思います。
コロナ禍に異常な円安と物価高騰が重なる中で、過剰債務という問題も深刻で、中小・小規模事業者をめぐる経営環境というのは極めて厳しいと思うんですね。
例えば、懇談をさせていただきますと、資材価格の上がり方が半端じゃないと。加えて、二度三度とこれ値上げされると、そのたびに値上がり分の交渉を二度三度と取引先とやらなきゃいけないんだけれども、それはもう極めて難しいとか、あるいは、得意先に単価交渉をしたんだけれども三か月もほったらかしと、挙げ句の果てに値上げはできないと言われたと。あるいは、建設資材など高騰している上に納期が極めて遅れますよね、で、そこに関する損失を全部かぶらなきゃいけないと。つまり、中小・小規模事業者は取引先との力関係で人件費や原材料費の上昇分を価格転嫁できないという、こういう構造的な問題がある。その下で利益が圧迫されて経営が一層困難になるという悪循環に陥っていると思うんですけども、いかがでしょうか。
○参考人(古谷一之君) 御指摘のとおりの場面が経済の実態には多いのだろうというふうに思っております。
したがいまして、先ほどから申し上げましたように、公正取引委員会としても、適正な価格転嫁を中小企業や下請の方ができる取引環境の整備ということでこのところ大変力を入れてやらせていただいているということで、もう具体的な話は省略をいたしますけれども、御理解をいただきたいというふうに思います。
○仁比聡平君 力を入れているとおっしゃっているわけですけども、下請法の違反行為に対する勧告の数を見ますと、二〇二一年、令和三年度で僅か四件なんですね。今年度どうだろうと事務局の方にお尋ねをいたしましたけれども、二二年度、令和四年度、これまでのところですが、一件と。現場で伺う深刻さからすると、もっとこの数が増えていてもおかしくないと思うんですけども、これまでのところ、僅か一件と。この取組についてはどんな御認識でしょうか。
○参考人(古谷一之君) 御指摘のとおり、令和四年度の四月から九月までの半年間での下請法違反の勧告件数は一件であります。
ただ、その時期は、先ほどから申し上げておりますけれども、緊急調査を、これは受注者側八万件、発注者側三万件という規模で、優越的地位の濫用のおそれがある件数に調査を進めてきておりますし、一方で、勧告までには至りませんけれども指導をした件数が五千件を上回っておりまして、その中で下請事業者が被った不利益については、下請代金の減額、返還といった指導をしておるんですけれども、総額で十億円弱の原状回復が行われておりまして、これは、令和三年度一年間で六億円ぐらいだったのに比べますと増えているというようなことで、下請法の勧告件数は取りあえず今年度上半期一件にとどまっておりますけれども、いろんな取組をしながら努力はしておるということは御理解をいただければと思います。
○仁比聡平君 そうした取組の中で、先ほど来御紹介いただいている緊急調査と企業名の公表と、これはインパクトあるものとしてもっと進め、もっとというかな、抜本的に強めていかないと実効ない、あらしめられないんじゃないかと私は思うんですけども。
先ほどもちょっと議論ありましたけども、自動車産業の関連でいうと、公表された十三社のうちデンソーと豊田自動織機があるんですが、これ、つまりトヨタ自動車の下請、一次請けなんですよね。トップのトヨタの原価低減という掛け声がある下で重層的な下請構造のこの価格転嫁できないという事態を正すには、トヨタ自動車そのものをきちんと正さないといけないんじゃないですか。そうした実効性ある取組が必要なんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○参考人(古谷一之君) 年末に行いました公表というのは、独占禁止法四十三条というのがありまして、一般的な公表権というのを私どもいただいております。ただ、通常私どもが公表しますのは、命令を出したり警告をしたりという、違反なり違反のおそれを認定して処分をする場合に公表ということを行うんですけれども、今回は、価格転嫁が極めて大事な政策であるということも踏まえまして、多数の受注者との間で協議をしないで価格を据え置いているという事実が確認をされた企業十三社を公表したということでありまして、これまでの取組に比べるとかなり異例の対応をいたしました。
それを踏まえていただいたんだと思いますけれども、年明けになって経済三団体の方は、パートナーシップ宣言の実効性向上ということで、発注者側からもきちんと協議をして価格に上乗せをするんだと、それを、そういう行動を取っていこうじゃないかというような文書も会員企業に配っていただいておりますので、そういうことも含めて、本当の意味で価格転嫁が経済取引の中でうまく進むようなことになることを期待しながら、私ども、私どもがやるべきことを続けていきたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 業界での自主的な取組とか、あるいは政府からの要請などももちろん取り組んでいただきたいと思うんですけども、その下で、要請とか期待するにとどまらずに、権限ある公取がいかに独禁法やあるいは下請法、これに基づいて環境の公正をつくり出すかと、あるいはそれに違反する業者に対して、取引者に対して正すかということが大切だと思うんですね。
二二年十月四日の新しい資本主義実現会議に古谷委員長出席をされて、独禁法や下請法に違反する事案についてこれまで以上に厳正に対処したいと御発言なさっておられると思うんですけれども、るるお伺いをしたこれまでの取組を総括した上で、これまで以上に厳正に対処したいという、その具体的な取組についてお聞かせいただければと思います。
○参考人(古谷一之君) 一年掛けてやってまいりました緊急調査で注意文書を出したとか公表したと申し上げましたけれども、どういう実態になっているかということを、私ども、それぞれの企業ごとに把握もできております。
こうした調査結果も踏まえて、御指摘のありましたように、独占禁止法や下請法の本来の執行をやっていくということが大事なんだと思いますので、そこは、文字どおりこれまで以上にそこを強化をして取り組んでいくということだと思っておりまして、そういうことも期待されてだと思いますけれども、この年度中に五十人の増員をいただきましたし、来年度予算でも更に定員を増やすということで、八百五十人の公取の定員を、九百二十人を超える約七十人、異例の定員増もお認めをいただきました。それだけの体制強化を厳しい予算の中でやっていただけるということでありますので、私どもとして更に力を入れていかなきゃいかぬというふうに思っております。
○仁比聡平君 今最後にお話しになった下請Gメンの抜本的な強化も含めて、中小企業・小規模事業者の経営しっかり守っていただきたいとお願いして、質問を終わります。