仁比そうへい参院議員

介護を必要とする人を排除する制度でよいか

 熊本市で市田忠義書記局長を迎えて開かれた日本共産党演説会(4月10日)で語った仁比そうへい参院比例候補の演説を紹介します。

 私は今度の国会で「介護の苦しみが分かるのか」と鳩山首相にただしました。介護保険が始まり10年たちましたが、介護疲れ、介護の苦しみゆえの心中や介護殺人といわれる事件が急増しています。

83歳を82歳が

 ある83歳の女性は要介護3で寝返りもうてません。以前、がんで胃を全部摘出して食も細い。その食事を82歳の夫が1日に何度も作り、排せつやお風呂の介助もしています。年金が月5万円そこそこしかなく、病院の窓口負担も心配です。1割の利用料が払えず、週2回しか訪問介護が頼めないからです。

 最初介護に、そして障害者福祉(自立支援法)にもちこまれた1割の利用料。この介護や福祉をお金を払って買ってくる商品のように考える「応益負担」という考え方が、もっとも介護を必要とするとりわけ収入の少ない方々を排除しています。この「応益負担」をやめ、国の責任で減額免除の制度をつくり、せめて住民税非課税世帯の利用料は無料にすべきではありませんか。

 ところが鳩山首相の答弁は、保険だから「応益負担」は必要、所得が低ければ利用料は月1万5000円までという上限があるから理解いただきたいという、前政権とみまがうものでした。

 国民年金の平均は月4万8000円しかない。わずかな年金から介護保険料も、2年前からは後期高齢者医療の保険料も天引き。電気代もガス代もとことん切り詰めて、食事はスーパーの弁当や総菜の見切り品を買ってきて、しのぐ。こうした方が広がっていることを直視しなければなりません。大企業がもうかれば家計に波及すると言い張って、自民・公明がごり押しし、お金のあるなしで命や健康まで差別してきた、この「構造改革」の傷跡をどうあっても正さないといけません。

 熱い信頼結ぶ

 質問直後からたくさんの反響がありました。60歳代の男性は「がちがちの自民党支持者だが質問を聞いて本当に感激した。自民党や政権交代した民主党ではだめだということがよくわかった。日本に共産党がいないと高齢者が大変なことになる」と。

 共産党が国民のみなさんと熱い信頼を結ぶことができるのは、国民の苦しみ苦難をわがものとして、その打開のためにどんな困難があってもたたかい抜くことが立党の原点だからです。

 同時に苦難の根源にある、アメリカいいなり、大企業の横暴という二つの異常から抜け出し、本当に国民が主人公の日本をつくるという確かな羅針盤をもっているからこそ、決してぶれずに、党派を超えた共同の力を広げ、現場からの要求の力で政治を前に動かしてきました。ご一緒に、この党を大きくし、憲法25条の求める通り「予算の主役は社会保障」の日本をつくろうではありませんか。(しんぶん赤旗 2010年4月25日)