鹿児島 地元合意なく実現不能

 政府が米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)の移転候補地としている鹿児島県・馬毛島(まげしま)の売買交渉について、目標としていた2018年度内の妥結ができませんでした。防衛省担当者は4月1日、交渉が長引いていることを認めました。期限内に売買契約を締結できなかった理由については「公表していない」と述べました。

 同省は1月、当初査定額として提示した45億円の3倍超の約160億円で馬毛島を買収することで、島の大半を所有する地権者の「タストン・エアポート社」と合意。3月中の正式な契約締結を目指していました。

 日本共産党は、同社の島での違法開発の疑いや、土地登記簿に極度額140億円の抵当権が設定されていることを明らかにし、住民の頭越しに不当な交渉を進めるのをやめるよう要求。当初、原田憲治防衛副大臣は抵当権が設定されたままの取得は「ありうる」(田村貴昭衆院議員の質問=2月27日、衆院予算委分科会)としていましたが、仁比聡平議員の追及を受けた岩屋毅防衛相は3月18日の参院予算委員会で、抵当権が設定されたままの取得はできないと認めました。抵当権が設定されたままの取得は「ありうる」とした答弁を修正した形です。

 岩屋氏は3月26日の記者会見で「もう少し時間が必要だ」と述べ、売買契約が4月以降にずれ込む見通しを示していました。

 FCLPは現在、硫黄島(東京都)を中心に実施されていますが、空母艦載機部隊の岩国基地(山口県)移駐に伴い、馬毛島が新たな訓練場として浮上していました。

住民の意志結集 移転阻止へ運動

 「馬毛島の米軍施設に反対する住民の会」の清水捷治副会長の話 地元の合意もなく、予算措置などもないため、訓練移転は絶対に実現できません。違法開発した土地の経費を国が払う、あるいは(タストン社が)債権者に払わなければいけない借金を国が面倒をみることになれば、財政民主主義、予算審議権のじゅうりんです。

 今の政府は問題点を無視して、やりたいことは何でもやる政府です。主権者たる地元住民の意志を結集し、市民団体、行政を巻き込んだ運動が移転阻止のため決定的に重要です。(しんぶん赤旗 2019年2019年4月2日)