救護被爆・「黒い雨」 被災者の思いに心よせ
今年2月、原爆投下直後に被爆者の救護などに携わったにもかかわらず3号被爆者健康手帳の交付申請を却下された福原義則さん(71)=広島市安佐北区=らの話を聞きました。3号被爆者訴訟を支援する会の山根智事務局長が同席。訴訟で昨年3月、広島地裁が手帳交付申請の却下処分を取り消した判決を被災者救済に生かしています。
10年前に申請して却下され続ける福原さんは「証人を出せと言われ、探しあてて提出したら、また別の見解を言われ、脅されるようだ」と訴えました。仁比さんは「不合理な審査基準をふりかざして切り捨ててきた国に、申請者を見下ろす資格はない」と応じ、さっそく国会で取り上げるなど奮闘。福原さんは6月2日、手帳を取得できました。
「私にとって念願の原爆手帳申請で、やっとの思いで最高の結果が出まして、涙の出るのが止まらないくらいうれしく感謝しています」。福原さんは山根さんに感謝の手紙を寄せました。
山根さんは「厚労省の誠意のない態度には怒り心頭だったが、『現場主義』を原点に一つひとつ解決していく仁比さんは、すごい人だと思いました」と言います。
仁比さんは昨年10月、広島市佐伯区の「黒い雨の会」が開いた総会に出席。国の降雨指定地域から外れた場所で原爆投下直後に降った「黒い雨」に遭遇した小川泰子さん(69)ら12人の証言を聞き取りました。3号被爆者訴訟原告団副団長の森智昭さん(69)=広島市西区=も出席し、仁比さんとともに小川さんらを激励しました。
降雨指定地域の拡大を求める運動は、広島市が指定地域の3倍の広さで降雨があったとする調査報告書を公表するなど実現まであと一歩。仁比さんは国会で厚生労働大臣から「『無い雨』被災者と会ってもいい」との答弁を引き出しました。