イスラエル軍がとうとうガザ最大のシファ病院を攻撃しました。世界保健機関(WHO)は″病院が「死の領域」となり「絶望的な状況」にある″と強調し、患者と職員の即時退避を求めています。それでもイスラエルは大規模攻撃をやめないのか。「自衛権」で許されることでは断じてありません。

 かつて訪ねたヨルダン川西岸自治区の難民キャンプは、狹い土地に人があふれ仕事もまともにありませんでした。そうした難民キャンプや多数の民間住宅、病院、学校、人道支援施設までもイスラエルは攻撃し、保育器がなければ生きられない新生児をはじめ子どもと女性たち、民間人を無差別に殺りくし、傷つけ、壁と武力封鎖で水も食料も燃料も電気も医薬品も絶って人々を野ざらしにしています。これを「戦争には民間人の犠牲がつきまとう」(イスラエル高官)と開き直るのか。

 目の前で進行しているのは国際法が固く禁じるジェノサイド――集団殺害・集団殺りくにほかなりません。大勢の人々を無差別に死に追いやり、生活基盤の全てを奪う深刻な人道的危機によってもたらされるのは、暴力と憎悪の最悪の連鎖でしかありません。

 イスラエルはガザ攻撃を即時中止せよ。ハマスは即時人質を解放せよ。双方は即時停戦のための交渉のテーブルにつき、少なくとも人道的休戦を求めた10月27日国連総会決議を順守せよ。圧倒的国際世論こそ命を救い平和を取り戻す道です。

 ここに至ってなお岸田総理は「現実の状況を確認できない立場にあるわが国として法的判断をする立場にはない」(11月1日参院予算委答弁、共産党・山添拓議員の質問に)とアメリカの顔色ばかりみて抗議もしないのか。

 かつて日本政府は中東問題解決の原則として、パレスチナ人の自治権、国連憲章に基づく正当な権利の承認と尊重、イスラエルの占領地からの撤退を掲げ各国に働きかけました(1973年二階堂官房長官談話など)。9条をもつ唯一の戦争被爆国。ガザの危機はこの国のありかたにつながっています。(しんぶん赤旗 2023年11月22日)