国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りによって漁業被害を受けたとして、長崎、佐賀、福岡、熊本の有明海沿岸の漁民らが堤防開門などを求めた「よみがえれ! 有明海訴訟」の控訴審で12月6日、福岡高裁(古賀寛裁判長)は、一審の佐賀地裁に続き、国に対し、判決確定から3年以内に5年にわたる潮受け堤防の開門を命じました。

 判決は、一審判決で請求が認められなかった9人についても請求を認める判断を示しました。

 判決は、潮受け堤防の閉め切りによって諫早湾やその近辺で「魚類資源の減少に関与する可能性のある要因が複数生じた可能性が高い」と指摘。「潮受け堤防閉め切り以外の有明海特有の要因も存在する」という国の主張は「抽象的なものにすぎ」ず、潮受け堤防閉め切りと漁業被害の「因果関係が否定できない」と認定しました。

 国・長崎県の「開門には費用がかかる」との主張について「排水門を常時開放することによって過大な費用を要することになるなどの事実は認められない」と否定。開門しても防災機能は「相当程度確保できる」としました。

 勝利判決に裁判所前で待ち受けていた原告漁民や支援者から「万歳」「万歳」と歓喜の声があがり、勝利を喜びあいました。

 馬奈木昭雄弁護団団長は報告集会などで「私たちの言い分が通った。直ちに開門へ予算措置をすべきだ。民主党政権は上告せず、開門するべきだ」と語りました。

 一方、長崎県に対し、公金の支出の差し止めを求めた裁判では、「営農の見込みはあると言うべき」だとし、一審判決(長崎地裁)と同様に原告住民の控訴を棄却しました。

 国営諫早湾干拓事業 農林水産省が「防災機能の強化」「優良農地の確保」を理由に1989年着工したもの。総事業費約2500億円。諫早湾(長崎県)を潮受け堤防で閉め切り、干拓地と調整池を造成。堤防は長さ約7キロで「ギロチン」といわれ、1550ヘクタールの干潟が失われました。2000年には有明海一帯の養殖ノリの大凶作が発生。沿岸の漁民が開門調査を求めています。

(しんぶん赤旗 2010年12月7日)