国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決の効力を争う請求異議訴訟の差し戻し控訴審(岩木宰裁判長)で6月2日、進行協議が行われました。和解協議を始めるよう福岡高裁が提案(4月28日)してから初めての進行協議で、国側は和解協議についてさらに「検討したい」としました。

 進行協議後に「よみがえれ!有明訴訟」弁護団・原告団が報告集会を開催。馬奈木昭雄弁護団長は「国は和解提案を拒否できなかった。解決に向けた話し合いが開始された」と強調し、「和解を支持する世論を大きくし、声を結集して頑張りぬこう」と呼びかけました。

 事業をめぐっては、これまで長崎地裁や福岡高裁で和解協議に入りましたが、「非開門」が協議の前提とされたため決裂しています。今回、高裁が示している「和解協議に関する考え方」では「開門」「非開門」の前提条件を設けずに協議するよう促しています。

 報告集会で、佐賀県太良町で漁業を営む原告の平方宣清さんは、「希望の和解案ですが黙っていたらだめ。世論を動かし、国を動かすためにも行動しなければ」と訴えました。

 弁護団の仁比聡平氏(日本共産党前参院議員)は「ついに国も和解協議が拒否できなくなりました。私たちの手で解決に向けた運動を広げていきましょう」と呼びかけました。(しんぶん赤旗 2021年6月4日)